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ギルマスの不在  作者: ragolun
1章
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1

ログホライズンの二次創作です

その日は久しぶりのエルダーテイルの大型アップデートの日だった。

大型アップデートに関わらずギルマスは夜勤、ギルメンの一部はFPSのオフ会、そんなわけでログインしていたギルメンは俺を含め3人だった。

ラゴ武闘家レベル90革細工職人レベル90、ブラ守護戦士レベル90調合師レベル90、ング付与術師レベル90オカルトダブラーレベル43、全員人間である。

ギルハンでミナミ付近まで遠征に行った帰り、ミナミに立ち寄った時に俺たちの視界は真っ黒になった。


後に大災害と呼ばれるネットとリアルの入れ替わりである。


俺が目覚めたのはブラの第一声だった。

「オキュラスリフトとダンチだわ」

やけに金色の鎧を着たガーディアンが笑顔でやってきた。

「おーイルさんも起きたわ」

黒いエンチャンターもこっちを見て笑っている。

ングだ。

ちなみにイルとはギルメン全員で前にやっていたオンラインゲームでの名前だ。

この状況はなんだ?ングとブラがリアルに存在するように見える、今日俺リフト付けてたわけじゃないんだが・・・・。

しばらく理解できずにいたが、その時俺も理解した。

「俺たち直接エルダーテイルを見てる」

3人の声が重なった。

「ログアウト・・・できない・・・・」

ゲームの世界へ飛ばされるゲームが好きだった3人はネタで楽しみながら言っているがそれが俺たちの現実だった。

「スバも夜勤やなくてINしてたらよかったんやけどなー」


しばらくそうやって遊んでいたが腹が減ってきたので近くの露店で食事を取ることとなったが味というものが存在せず、俺は日ごろ苦手だからあまり食べないサラダを食べ、ングは味がしない事にショボクレ、ブラに至っては何を飲んでも同じだからと大量に余っている原価の安いポーションをがぶ飲みした。

「食事だけはまともにしてくれへんかなぁ・・・ああん?これ味あるわ」

ングが食事終わりのデザートとしてミカンを食べているときに気付き、俺とブラもミカンを頬張った。

「確かに味がする、サラダは味はしなかったけど、ブラポーションは味した?」

「いや全然」

「これは素材アイテムなら味がするビレゾンやな」

食べ終わると同時に市場に移動したが、既に市場の素材アイテムは買い占められた後だった。

ブラはまぁ落ち着けよと2人にポーションを進めたが2人とも飲むことはなかった。

「前のゲームだったら課金厨だった俺にもワンチャン回ってきたのに、あんまりだ」

「イルさんアイテム課金制はもうコリゴリやで、前のゲームやって運営の集金でガチャからレアアイテムばらまいてサービス終了したやないか、月額課金制がちょうどいいねんて」

「課金してクリティカル率が100%になるクリデールもやりすぎたと思うわ、ポーションでも飲もうぜ」

そんな会話をしながら素材アイテムの購入はあきらめる事になった。


数日が立ち素材アイテムを自分たちで取りに行ってることで気付いたことがいくつかあった。

ボイスチャットの要領でスキルを発動できることスキルを使わない攻撃も可能なことだ。

これは今までの戦闘スタイルだけでなく新たな戦闘が可能なのではないか?という事を表していた。

「イルさんブラ、思ったんやけどコレって応用すれば今までにない動きだけじゃなくて今までにない武器とかも作れるんやないか?近接武器とか?むしろ鎌杖やろ」

ングは開発ブログでWhat's this? CRAZY Enchanter!!と言われた魔法乱射のスプリンターというビルドでありながら近接戦闘を好む変わり者中の変わり者で、人がしない事をするからゲームは楽しいというギルドの一部が共有している理念を持っていた。

俺たちのギルドムルティはギルドマスタースバのそれぞれのやることを尊重する理念の元に前のゲームで集まったギルメン同士で構成されていて、前のゲームがレアアイテムばらまきをしてゲームバランスが崩れてサービス停止してからスカイプで集まって一気に移動してきたのである。

元々はムルティストラーダ(それぞれの道)という名前のギルドであったがエルダーテイルに来てからそのギルド名で作成しようと試みたものの既に作成されていて作ることはできなかった。

それぞれの道と言うだけあって変わった戦闘スタイルのものも多く独自の戦闘スタイルでもお互いに許容しあった仲であった。

ングの提案を受けて俺も新しい戦闘スタイルをやってみる決意を固めた前のゲームでは使える種族が限られていることや範囲攻撃が主流だったこともあり忘れられていた武器、アトラトルの事だ。

専用の槍を投げるつっかえのある棒に槍をセットして腕を全力で振るってテコの原理で威力を増して槍を投擲する武器である。

太古の昔はマンモスなどを狩るのにもつかわれていたが、マンモスほど硬い皮をかぶった外敵がいないことや、弓ほど連射性が効かないことなどから淘汰されていったが原始的な遠距離武器の中ではおそらく最強クラスの威力を発揮するはずだ。

ブラはノウキンがぶ飲みポッターだったので興味を示さなかったが新しい戦闘スタイルや武器に俺とングは興味津々で、その日のうちに新しい武器の制作を依頼するため旧知の友のいる鍛冶屋「美少年」に向かうことにした。


「スバさへいればすぐ作れたんだけどなぁ、アイツ鍛冶90にしたばっかりだったし」

「スバ君ほんま何かあるタイミングでおらんからな」

「やぁ!二人とも!」

スバの事を話してる間にいつの間にか美少年の店主ろぜりんが目の前に来ていた。

ろぜりんは背の小さいハーフアルヴの妖術師で鍛冶師だ。

「ろーさんこっちに来ても相変わらずやな」

「うん!いつも元気!こっちに来てから甥っ子も来ないからやりたい放題ー」

「早速だけどレシピにない新しい武器が作成できるか挑戦してもらいたいんだけど」

ろぜりんは最初はヒーっと言ったが、すぐに道具を取り出しにかかっていた。

「俺が鎌杖作ってもらおうと思うんやけど、試作品として力の杖とブラックククリ溶接してもらって鎌にしてもらえへん?」

「ングは試作品作るつもりだけど俺は一発本番で頼むよマッドカルーセルゴーレムの柱があるからそれから掘り起こしてくれアトラトルなんだけど、ろーさんも前のゲームで俺が使ってるの見てるよね?原理もわかるっしょ?槍は適当なの作ってくれればいいから」

「はい!今日はもう遅いから明日までにやっておくからまたきてね!」

「んじゃ頼むわ、ろーさん」

材料を預けて俺たち二人は美少年をあとにした。


宿屋にて俺は槍用の鉱石を渡し忘れたことに気付いた、手持ちの鉱石の量はあまりなくングも持っていなかったのでポーションを寝酒のように飲んでいるブラから貰うこととなった。

「にしても格闘家は投擲武器装備できる補正あるけどングは杖と短剣合体させちゃって大丈夫なわけ?」

「そりゃエンチャンターでは忘れられてるけど短剣の装備適正もあるから大丈夫やろ」

今までのングはエンチャンターでありながら近接戦闘をする時点で変わっているのだが近接向けの武器を使うわけではなく杖を使っていた、理由はその方がかっこいいからだ。

俺たちはレイドにポンポン参加するようなプレイヤーではなかったので持っていないが鎌杖自体は少量ながら秘宝級や幻想級で存在していた。

どれもスプリンター向けの性能でもないという事もあってングは買おうという事もしていなかったが新しく作ることのできる可能性や見た目のカッコよさから作る気になったのだ。

「あぁ、短剣適正もそういえばあったのね」

「せやから大丈夫やろ、ほいじゃ俺は先に寝るで明日の完成が楽しみやな」

ングは先に寝たが俺はまるで遠足前の小学生のような気分でなかなか寝れなかった。

ブラもポーションを飲み終えて既にもう寝ていたが少し顔が赤かった。

「まさかとは思うけど、これポーションで酔っぱらってるんじゃないか・・・・・まさかな・・・・」


一睡もできなかった。

昼食をとってから美少年にングと行くことにした。

冒険者の体は寝不足でも十分に動けることが驚きだった。

リアルだったら確実にお昼前に眠気に負けていただろう。

「やぁ!オリジナル武器できてるよ」

「ろーさんコレ足りなかった分の鉱石ね」

鉱石の受け取りとともに手渡されたアトラトルは奇岩のスロースピアで作成級アイテムだ。

説明文いやフレイバーテキストにはこう書いてあった「かつて巨人の使い手だった者のために武器工ろぜりんが制作その威力はスキルを発動せずとも中伝に等しい。」

思いっきり前のゲームの種族の事がフレイバーテキストに書かれていた。

昔からの知り合いだからこのようなフレイバーテキストになったのだろうか。

もう一つ渡された鉄の投槍は通常品で1000個だったリアルで革細工の経験があるので槍筒つくりは自分でまかなえそうだ。

続いてングの鎌杖を持ってきた、黒い力の鎌杖作成級アイテムだ。

フレイバーテキストは「危険を欲する者の為に武器工ろぜりんが作成。」とだけ書いてあった。

「試作品やし、こんなもんやろ」

「ありがとな、ろーさんお代は?」

「結構です!新しい挑戦が出来てそれだけで十分もらった!」

流石ろーさんである。

前のゲームでも材料だけでほぼタダに近い感じで鍛冶品を作ってくれたのがろーさんだ。

「流石ろーさんやわ、そこに痺れる憧れる!早速試してくるわ新武器ありがとな」

この時はングの黒い力の鎌杖がすぐ壊れるとは思ってもみなかった。


新武器の性能チェックにミナミを出て徒歩2時間ぐらいのところまで来ていた。

敵ブライアウィーゼ2体、平均レベルは45。

「タウンティングブロウ」

「ヘイスト キーンエッジ」

ブラがタウンティングブロウでブライアウィーゼ一匹を引き付けングがヘイストで自分の速度とキーンエッジで攻撃力を増加させて殴りかかるそして俺の新しい武器の見せ所。

「ハンティングホーク」

もう一体のブライアウィーゼに攻撃してヘイトを取る中々に高火力がでる、思った通りテコの原理と冒険者の肉体が威力を跳ね上がらせているようだ。

「ソーンバインドホステージ キャストオンビート」

ソーンバインドホステージで火力を底上げして、キャストオンビートで詠唱時間短縮を行って殴り終わったらCRAZY Enchanter の真価を発揮する準備ができた。

4発殴りかかったところでングの黒い力の鎌杖の鎌の部分が折れた、道中戦闘はあったものの作ってから4時間立っていない耐久減少の速度が速すぎたのだ。

ングは構わずシューターモードになった。

「エレクトリカルファズ」

「シールドスマッシュ」

ソーンバインドホステージの最後の追加ダメージが入ってからシールドスマッシュが入り一匹のブライアウィーゼが消滅した。

「ワイバーンキック」

「パルスブリット マインドボルト パルスブリット マインドショック パルスブリット ナイトメアスフィア パルスブリット」

「オーラセイバー」

ングはスプリンクラーだが廃装備なわけではないのでパルスブリットの間に何か魔法を挟まなければ乱射ができないがそれでも十分なDPSを叩き出せるCRAZY Enchanterだ。

単に近接をするだけじゃなく下がりながら魔法乱射モードに移り変わるのだ。

「シールドスイング」

2体目のブライアウィーゼも消滅した。

「杖折れたし帰ろうや」

ングの鎌の部分が折れて、ほぼ元の力の杖と同じようなものが残ったブラックククリを加工に使っていたので色が黒くなってるぐらいの違いだった。

「まぁ、また美少年でいいの作ればいいよ」

ブラがポーションを飲みながら言ったのだが、やはり顔が赤かった。

そのまま帰還呪文で一気にミナミまで帰ることにした。


今度は3人で美少年にやってきた。

「ろーさんお邪魔するで」

「はい!」

「鎌杖壊れたんやけど、今度は試作品じゃなくて耐久高いの作るわー」

「あららー わかった!」

「今度はコレで作ってもらえへん?千眼の生杖とデュアルブレイドなんやけどな、まかせられる?」

「大丈夫!今日は他に仕事来てないから今作っちゃいます!」

鍛冶台に千眼の生杖を置いた瞬間に杖の上部の目の付近から触手がニュルっと生えてきてデュアルブレイドを飲み込んだ。

「ろ、ろーさん何か特技使った?」

三人の声が重なった。

「いえ!特に!」

武器が合体して一つの鎌杖となった、淵より来る生霊の鎌だ。

魔法級アイテムでフレイバーテキストは「所有者の望みを叶え武器を取り込む能力がある、キーンエッジを自身に使ったとき効果増加、耐久減少緩和。」

とてつもなくング向けの何か危なそうな装備ができた。

「自分が作ったわけじゃないから今回もお代は結構です」

「これや!これが欲しかったんや!ありがとうろーさん」

ングのテンションは鰻登りだった。

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