自分のせい
運ばれた雫殿は医者に見せたところ
「腹の子が流れるかもしれませぬ。とにかく安静にして体を温めてください。あとはこの方や腹の子の生きる力次第です。」
と言われた。
「近くに居たのに気がついてやれなくてすまぬな。」
布団の上からお腹あたりを摩る。
今は少し落ち着いたのか疲れでうつらうつらとしていた。
絵を見せた時に肯定してくれたと言うのに、その優しさに甘えて、どこかで雫殿は変わらず居続けてくれると思ってしまっていた。
もちろん井上氏の件やその後の家中の立て直しに忙しくしていたのもある。
その間にこんな事になっていたとは。
父上も何故息子が3人もいると言うのにと思ったが、きっと父上が事を起こした原因は自分だ。
尾崎局と子が出来ぬ。側室も持たぬ。そうなれば心配性の父上が子を作ろうとするのは当たり前だ。
「儂のせいじゃな…。」
うっすらと目を開けた雫殿が
「隆元様のせいでは…もちろん…元就公のせいでもないです。最後は私が未来を守りたくて…私の知っている歴史の流れに合わせるために妊娠しただけなので…。」
いっその事責めてくれたらいいのに。彼女は自分が選んだんだと言い張るんだ。
「……分かった。ただ今日みたいな無理はしないでくれ。出産は命懸けの戦じゃ。とにかく自分と腹の子のことだけ考えてくれ。」
「分かりました…。」
眠そうに答える雫殿に布団をかけ直し、規則正しい寝息が聞こえるまでそばに居た。
「隆元様、ここは女人の場、いくら若様でもあまりここに長居するものではありません。」
「乃美の方。」
「事情は聞きました。今は私にお任せを。」
仕方なく部屋から出る。
出会った時に抱き上げた雫殿より、今日の雫殿は重く熱かった。それだけ大変な中、平気なフリをしたと思うと、申し訳なさで言葉が出ない。
「兄上。」
「元春。」
「いいか、話がある。」
「もちろん。」
元春は明るく元気でなんでそんなことに悩んでいるんだよ!兄上!みたいに言ってくる弟だ。
その弟が真剣な顔で声をかけてきた。
「景の話をしたい。」
「景の…?」
「ああ。とりあえず二人で話をしたい」
「分かった。」
話とはなんだろうか。




