エピローグ
「はぁ…ようやくどうにかなったな」
バトウとグレイスが、肩をすくめながら現れる。
「ん?」
「おう…上手くやったみたいだな」
レイ、ハルバー、それにゼロス。この三人が、並んで談笑しているのを見て、笑みを零しながら労う。
「鋼の王か…」
「まあ別に謝る必要は無いぜ。色々あったんだろうしな」
何と声を掛けたものか、と考え込んでいたゼロスに、バトウは余裕を以て出迎える。どうにも面白くはないが、まあいいかと。そのままそうか、と軽く返した。
「しかし、大丈夫なんですか?バトウさんの故郷は、戦争中だったと聞きましたが」
「はは。これから世界が変わるって時に内輪でドンパチやってる場合じゃねえだろってな。うん。多少強引にな」
「流石に肝を冷やす場面が何度もあった…が、まあしばらく大丈夫だろう」
「そうですか」
「…ハルバー!」
ドンッと。ハルバーの背中に抱きつく存在があった。
「ふ、振り返るな」
聞かなくても分かる。はい、とハルバーは静かに返事をした。
「は!随分とご機嫌なようだな闇の王」
「ふ…貴様も憑き物が落ちた様だな…が、礼儀が足りぬぞ」
ゼロスとダルク。険悪な空気が流れ始めたその時、
「もう駄目ですダルク様!」
「そうだよ。もう…折角可愛くいこうって作戦を…」
「て…アリアとリーリア…一緒にいたんだ」
「うん。まあ報告することも特になかったからね。だからアリアちゃんと一緒にダルク様に女子力指導を…!」
何やってんだ、と。出かかった言葉をその場にいた全員、呑みこんだ。
「…何だ…?」
じぃっとこちらを見てくるリーリアに、ゼロスは問い質す。
「ゼロスお兄ちゃん、でいいのかな」
「…はぁ!?」
絶句する。そして、次の瞬間には、全員くすくすと笑い始めた。
「お前が…レイにとって義妹であるとは聞いたが…何故」
「え?だって皆にも聞いたよ」
『お兄ちゃんに実はお兄ちゃんがいたんだって』
『ほぉ…よかったなリーリア。滅多にないぞ年上の兄弟が増えるなんてなはっはっは』
「…何だもしやレイと懇ろになりたい、とでもいうのか」
「えぇ!?…もうえっとぉ…その…」
反撃のつもりで軽口をたたいたが、何か思いの外悶えていた。
「レイにはまだ早い」
「君は何を言っているんだ…」
あーそういえば度が過ぎて兄弟思いだったかな、と。そんな、どうでもいいようなことをハルバーは思い出した。
「やあやあ久しぶり。さて、全員揃ったところで始めようか」
全員で円陣を組む。その中心に、渦のようなモノが発生し、その中に、それぞれのアルゼルフの本が吸収されていく。
「さあみんな…準備はいいね。君たちが思い描く世界を…」
手を繋ぎ、目を閉じる。そして伝わる。世界が一つになっていく。闇が取り払われ、混乱はあるけれど、それでも、恐れず、対話しようとしている。
「ま、君達の知らない世界ってやつもあるし、問題は山積みだろうけど…それでも」
「それでも俺達は選んだ。この世界で、俺達は生きていく」
そうか、と。光の王の力強い言葉を聞いた。
「それじゃあ皆…お元気で」
そして、再びそれぞれの世界へと旅立っていった。




