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ある世界の出来事~光の勇者編~  作者: 山崎世界
第四章:光射す世界へ
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光の王レイ

 お前は、どうして戦う。お前の兄が間違っているとでもいうつもりか。

「まさか。俺も昔は同じだった。俺が記憶を無くしていなければきっと…いや間違いなく同じように戦って、同じように選んだと思う」

 そうだ。そして、お前たちを導くのは光の王である必要も無い。お前の兄は、間違いなく、お前が生まれ、育まれた環境…世界における英雄だ。

「けれど、俺は望む。光の王であることを」

 何故だ?

「それは…本当に俺達が望んでいたことだから。そして、俺が守りたかった世界だからだ」


『また倒れたのか…全くだらしのない』

 誰かの優しい手が、ボクの頭を撫でた。

『だらしのないというのはな…体力がないとかそういうことじゃない。お前は自分のことすらも見えてない、ということについてだ。自らの限界すら見えぬ、で光の勇者になれると思うのか?』

 ごめんなさい。兄さん。

『…まあいい。お前には、お前のことを見ている人間が居る。そのことを忘れなければ、な』


 光の勇者…

「そう。確かに俺が目指していたものだった。かつて…俺達に光をもたらし、導いた光の王。どんな時でも真実を求めた、戦い続けた彼の王の姿を。彼は、きっと伝え聞いた、異世界からやって来た王、その人だったのでしょう」

 だがそんなものが一体何になる?光の勇者…原初の光の王も万能ではなかった。お前たちの世界の人間でもなかった。それでも…

「それでも俺達は目指した。そして、いつの間にか見失ってしまった。だから、取り戻したい。兄さんの心にも、皆の心にも」

 えらく傲慢なことだな

「はは…そうですね。でも…俺は知っているから。兄さんが…確かに変わってしまった部分も多かったけれど…確かに兄さんだったということを。それに辿り着けたのは、光のお陰だとそう思ったから」

 そうか…

「ところであなたは一体…」

 力を貸そう。俺の生きた、原風景。しかと受け取ってくれ。


「ん…」

 箱庭が揺れる。ノアラバルトは、遠く離れていようとしかと感じた。

「そうか…辿り着いたのだね根源に」

 遠く離れた地でも十分に感じる鼓動。この世界の、本来の姿を取り戻す蠢動。

「精々力になってあげなよ…原初の光の王―光の勇者アーレンバルス」


「これは…何だ…」

 現れた世界。二つの太陽が並ぶ、光輝く都。

 誰も知らぬ原初の光の王アーレンバルスの根源。箱庭と呼ばれる以前、異世界における光の王の支配していた地。

 そこで光の王は、光を受け、吸収し、超常の魔力を操ることが出来る。レイの持つ剣。光によって鍛えられた、アーレンバルスからこの世界へと受け継がれた剣。その真の力を開放し、今、全てを薙ぎ払う。

 アルゼルフの本における最後の頁。それは、王達が心に刻む原風景。既に失われてしまった、原初の王達の故郷。深く世界と浸透した者だけが開眼できる奥義。

 そして、それはレイとゼロスの間に決定的な差を生み出す。

「バカな…」

「っうああああ!!!」

 光を吸収し、光輝く髪。光を纏い、無数の剣と盾とする。

 それは、伝説に無い、光の王の姿。だから、神王は持ちえない境地。

「だが!それでも!負けるわけにはいかない」

 肩を刺し貫いた。無我のまま振るった、執念の一撃。彼は、彼らは、最後まで王として立っている。

「この一撃に、全てを込める!」

 全てを剣に込め、ぶつける。レイは、その剣を、しかと受け止めた。

「俺もけして負けない。兄さん…もう一度…光の勇者を目指そう」

 折れた。偽りの光の王の剣は、まるで堰が切れた様に、その力を失っていく。

「…まだだ…まだだぁああ!!!」

 何故か…自分の中の力が急激に衰えたのを感じた。けれど、止まるわけにはいかない、と。その剣を振るおうとした。しかし、そこに光の軌跡はなかった。

「これは…」

「何故だ…俺はまだ戦える…それなのに…何故…何故だぁ!」

 ゼロスは、膝をついた。そして、光を掴もうと手を伸ばし、けれどその手には何もつかめなった。

「またなのか…また…俺は…」

「いや、ゼロス。君たちは確かに、世界を変えた」

 二人の戦いが終わりを告げたその時、そこに現れ立つ人影があった。

「ハルバー…お前、その傷は…」

 そこには、足を引きずりながら歩くハルバーがいた。全身に渡って怪我をしながら満身創痍ながらも、その表情は、晴れやかだった。

「ちょっとね。君たちの世界に行ってきた」

「!?お前…何故…」

「そこで説得をしてきたのさ。レイ君とゼロスこの二人が戦う…そんなものが、君達が望む世界なのかと、そう訴えってきた」

「ハルバーさん…」

「まあ簡単ではないけれど…途中から、何故か君たちが戦っている様子が境界の闇から映し出されてね。そして、それを見ていた彼らは…」

「そうか…光の王の伝説は、ここで終わったのか」

「ああ…相争った二人は、手を取り合って、世界の再生へと向かう。そんな…結末だ」

 ゼロスは、レイは、涙を流した。

「そうか…もういいんだな。お前と…お前たちと、戦わなくて」

 そこにあるのは、神王ではなく、偽りから解き放たれた、ゼロスの真実の感情だった。


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