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ある世界の出来事~光の勇者編~  作者: 山崎世界
第四章:光射す世界へ
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神王ゼロス

「兄さん」

「レイ、か」

 闇の王の封印から抜け出て、再び顔を合わせた。

「何故だ」

 問いかけが響く。

「なぜ、お前は俺を解き放った。俺と再び言葉を交わす必要など、ないはずだろう」

「俺は光の王となることを誓った。だから、真実からけして目を逸らさない」

「は…」

 嘲笑う。そして、次の瞬間には剣をレイの首筋に突きつけていた。

「そんなことにこだわるためにお前は、何もかもを失っても構わないというのか?」

「やっぱり兄さんは兄さんだったね…」

「…何を言っている」

「兄さんは一度、俺達の元から去ったのは、何で?」

「お前を敵にしたままというのは得策ではないと思ったからだ。ハルバーを打ち倒し、お前の記憶を取り戻せば、きっと俺と同じ道を選ぶと、そう考えた」

「違う…そうじゃなかった。兄さんは言った


『…いいだろうお前たちを殺すのは後回しだ。先に、闇の王との決着を着けなくてはならない。レイ…―――――』


お前は…きっとそのままの方がいい…


「兄さんは…自分たちのことを忘れても構わないんだと、その方がいいのだと俺にそう言った」

 ゼロスの剣は震えた。

「だから…何だというんだ。そんなものを抱えてなんになる。俺はお前の敵だ」

「うん。分かってる」

「だったら、分かるだろう?そんなことを知ったところで、考えたところで辛いだけだ。戦う覚悟が鈍るだけだ。ただ俺を踏み倒せばそれでいいはずだ」

 離れる。そして、ゆっくりとアルゼルフの本を展開する。

「俺は戦うしかない。言って置くが、手加減など考えるなよ」


「さて、それじゃあ特別サービスで、ゼロス…彼の持つ世界について解説しようか」

「そもそもな話、王というのは私達以外に存在する余地があるのか?」

「今回の闇、光、風、水、鋼、法、心…以外の王がいるのかってことかい?そりゃあいるさ。この儀式は所詮、ボク達の世界の一部の再現でしかないからね。王達の中からたまたま何人かが選ばれているにすぎないし、何が起こるのかってのもアバウトなんだ」

「…なるほど。では、具体的にどれほどの王の形があると…」

「あーゴメンそれボクも知らない」

「おい!」

「言ったじゃん?元々生きてるって感覚が薄いってさぁ。だから一々知ったこっちゃないよ。で、話し続けていい?」

「…はぁ」

 グレイスは溜息を吐いた。しかし、それだけにした。レイが、早く促そうと視線を向けていた。

「彼は神霊の王だ」

「神霊の…王?」

「魔力ってやつは世界を変えようとする意思を指向性を持たせて発揮させるものだけれどそういう形になり損ねた思いってやつもある。

 それが何がしかの共通認識を以て塊となり、魂となる。これが神霊と呼ばれる。

 簡潔に宣べるなら伝説を伝説として再現する世界ってとこだね」

 そして求めた。光の王の伝説を。

「まあ本来なら召喚という形をとるはずなんだけどまさか自分自身を依り代にするとは無茶をするよハルバー…彼の心を覗いた君なら分かるだろう」

「はい…幾重もの思いがその心に折り重なり、彼を圧迫していた。幾ら干渉しようともどうしようもなかった…」

「なるほど…世界による戒め、か…」

「そうだね。神霊というのはイメージに従う存在でそれが強さでもあり弱さでもある。闇を晴らす英雄とそう人々が願ったのならそうであるように、補正が働く。ま、限界はあるけどね。そして、望まれていないことは出来ない」

「そうか…やはり、そうなんですね」

「そうだよ」

君がいた世界は、他の世界を滅ぼしてでも、と。本気で願っている。


「…っ!」

 鏡合わせのように、光がぶつかり合う。光速の軌跡を、全てを見通す目で以て見切り、離れ、一瞬で詰め寄り、時に正面からしのぎを削る。

 二人の戦いは互角…のように思えた。しかし、徐々にレイの体に傷が増え始める。

 要因はある。神王であるゼロスの体はたとえ傷を受けようがたちどころに治っていた。

 光の王にそのような力はない。しかしゼロスは光の王ではなく神王である。人の間で増幅された想像は、奇跡の加護を与える。

 そして、もう一つ。迷いという程ではない微かなものではあるが、二人の間に躊躇いがある。レイは、あと一つの所で踏み出せない。しかし、ゼロスは止まらない。いや、止まることが出来ない。世界の想いを背負う、その重圧により、ゼロスの精神は既に、彼のものとは言えない。

「は…」

 ゼロスは笑う。勝利を確信し、相手を消し去ろうと。

「く…」

 レイは睨む。しかし、それは違うのだと。負けられはしない。そう、心折れぬように戦う。

「ぐぁあああ!!!」

 速く、強く。今度こそ、世界を救うとその想いをけして絶やさない。光に溶け込む中…ふと、そこに声が響いた。

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