辿り着く場所
「俺も同じだった。自分の世界を救う為といって、何もかも見ない振りをした」
「同じだと?知ったようなことを言うな…」
「闇の王ダルク。あなたは」
世界を愛していた。
「そしてそれだけは忘れないために、自らの心さえ闇に閉ざした。自らの嘆きを、怒りを、憎しみを、苦しみを…そうでなくては守れなかったから。闇の王として、世界を」
闇の王。それは真実を覆い隠し、世界を閉ざす者。世界を救う為に、何も見ない様にし全てを犠牲にした。だからこそ、ダルクは闇の王だった。
「けれどそれは闇の王だからこそだった。それこそが闇の王が闇の王たる由縁だった」
だからこそ、レイは敗れた。自らを閉ざし、目を逸らした。知らず知らずのうちに、光の王の矜持を自ら捨てていた。
「光など取り戻して何になる?私は…私は…!」
確かに真実を照らす光は、ダルクを切り裂き、どうしようもない苦しみを誘うだろう。それは避けられない。しかし、それだけではないことを、レイは知っている。
「あなたには故郷があった。そこで、あなたの伝説を、必死に守ってきた人がいる」
「黙れ!」
自分が嫌いだった。だからこそ、称賛など要らないと、そう閉ざした。だから、アリアとの出会いは辛かった。
「そして、あなたのことを大切に想う、ハルバーさんがいた!」
「…ハル、バー…」
「俺の記憶を奪ったのは、きっとあなたがいたからだ」
闇に閉ざされた揺り籠のような世界。あの時、何もかもを見ようとしていた自分に、闇を与えたのだと、そう気付いたのだ。
だからこそ、今こうして自分は闇から出でることが出来た。だから、今、目の前の闇の王に…いや、ダルクに。光を見てほしい。
「ありがとう…闇の王ダルク…」
それが、光の王レイの戦い。
「…ぁ…」
世界が、割れた。闇の世界が終わりを告げ、光が差し込み、崩壊していく。
「…ダルク様!」
戦いは終わり、元の世界へと戻る。その瞬間、力尽きた様に倒れようとしたダルクの元に、駆けつける影があった。
「ハルバー、か…」
あぁそうか。こうして、抱き留めて、受け止めてくれる存在が出来た。今まで、見えなかった…見ようとしていなかったけれど。
「ダルク…様…」
「ハルバー…はるばぁ…!」
「…ダルク様」
その様子を見守るアリアも、涙を流した。彼女は、どこまでも彼女自身であり続けたのだと。そして、ようやく救われたのだと分かった。
「…」
ハルバーは、静かにその小さな体を抱き締めた。そして、その胸の中でダルクは、叫び、泣いた。孤独に戦い続けた、闇の王の物語は、今、ここに幕を下ろす。




