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ある世界の出来事~光の勇者編~  作者: 山崎世界
第三章:つながる世界
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もう一人の光の王

「お前たちは…そうか。お前たちも王の一人なのだな」

 ゆっくりと、値踏みをするようにその碧い瞳を向ける乱入者。

「お前は…一体何者だ?」

「俺が何者であるかなどということに意味はないな」

 瞬間、バトウとグレイスは後ろに跳ぶ。

「俺はお前たちの敵だ。それ以上のことは、お互いに必要ないだろう」

 先ほどまで二人が立っていた場所には大きな亀裂が走る。目の前の王が振り上げた攻撃によって出来た跡。

 しかし、見た。目で確認する暇もないほどの疾い軌跡。そう、閃光の様に。

「光、だと…」

 それは、紛れもない光。かつて見た、仲間と紛れも無く同質の種類の魔法。

「バカな…光の王、だとでもいうのか」

「ん?お前達、まさかレイのことを知っているというのか」

「レイ、だと…」

 男の顔に僅かな感情が乗る。

「…っ…ぁ…まあいい。たとえ何があろうとも、俺のするべきことは変わらない」

 しかしそれを振り切るように剣を構える。二人の狭間に佇むその姿に隙はない。

 それは世界の全てを光に照らし、あらゆる真実を見据える光の王の姿そのものだった。

「なるほどお前は法王か…だが俺には通じないぞ」

「なっ…」

 人を越えた速度で動くことは出来ない―――と世界に定めた。しかし、それを平然と破り、閃光となりて世界を駆ける。

「なるほど中々に頑強な装備だな。だが光はそれを切り裂く」

「…何故だ…何故…」

「ん?何だ…光を武器にするということがどういうことかと分かっていないのか。光は絶え間なく隙間へと浸透しそして広がり…切り裂く」

(なるほど…粒子レベルでの干渉か…魔法に対する対策はしてきたがやはり余地はある、か…だが…そうじゃない)

「まあ聞きたいことはそこではないだろうな。いいだろう冥土の土産に教えてやる。法王よ、お前は他者を縛る戒めを施す王だが俺はあえて戒めに飛び込みその中で力を得る王だ」

「どういうことだ…やはり君は…光の王ではない、のか」

「これ以上語るつもりはない。さあ疾く死ぬといい」

「そう簡単にさせると思うな!」

 後ろからの攻撃を振り返りもせず剣で受け止める。

「何故お前が止める鋼の王。先程までお前と戦っていた相手だぞ…ああそうか。とりあえず俺を倒すことを優先するかなるほど利口な判断だ」

「そうじゃねえよ。こいつは、俺が向き合わなきゃならなかったものだ。」

 叫ぶ。これは戦いだった。己との。相手との。何かを決めるための。

「下らないな」

 しかし、目の前の王は吐き捨てた。

「そんなものに意味はない。鋼の王よそんな些末にかかずらい、お前が守るべきものすら」

「…なるほどやっぱりお前は光の王ってやつじゃないんだな」

「あいつはたとえ見失いかけようとも見過ごすことなんてしなかった。自分が見て、聞いて、感じた全てに向き合おうとしていたんだよ」

「レイが…そんなことが…いったい、なにが…っく…」

「…お前…」

 突如頭を抱え、苦しみだす。しかし、すぐに感情の無い目を向け、バトウに剣を振るおうとしたその時、

「く!」

 一筋の閃光が走る。

「…一体何が…あなたは…!」

 光の王、レイ。何が起こっているのか、それを考える前に止めに入った。

「あなたは…一体…」

 レイは見る。金髪碧眼の、自分に似た男の姿。純白の、緻密な意匠が施されたその衣装は…

「…ぁ…」

 涙が零れた。それは、確かに心の内にあると分かる。郷愁と、そして魂が強く願ってもなお思い出せない悔しさが、レイの頬を濡らす。

「レイ…そうか…お前は俺のことを覚えていないのだな…だから…そう、か…」

 謎の男は背中を向ける

「ハルバー…やはりお前は俺を、俺達を裏切っていたのだな……」

 それは憎しみに満ちた呟き。

「…いいだろうお前たちを殺すのは後回しだ。先に、闇の王との決着を着けなくてはならない。レイ…―――――」

「待ってくれ!待って…!」

 呼び止める名前すら持たず、最後の手向けの言葉を、意味も分からぬまま聞くしかなかった。

「お兄ちゃん…行こう」

 そして彼らも向う。全ての真実を求めて。


そこは光射さぬ不毛の地。誰が訪れるわけもないそこにひっそりと闇の王は隠れ住む。

しかし、そこに光が捻じ込まれる。畏れも無く堂々と。

「そうか…君は、王になったのだね。ゼロス」

 そしてその前に立ちはだかる姿があった。侵略者の名を、当然のように呼んだ。

「ハルバー…か」

 名乗るまでもなく侵略者然とした王ゼロスは確認する。

「そうか…やはりお前は俺を止めに来るか」

 二人の間に芽生える感情。それはどうでもよいものだった。何があろうと二人の道は敵としてでしか交わることは無い、と。そんな改めるまでもないことが分かったに過ぎない。

「…これ、は…そうか…ゼロス…君は…」

 ハルバーは理解した。彼はいかなる王で、これは、自分ではけして敵わないのだと。

 彼の心を…動かすことは叶わないのだと。

「…」

 血に濡れた剣。一振りして血をまき散らし、止めを刺そうとした瞬間、周囲を照らしていたはずの光が急激に閉じ込められ、闇に浸食されていく。そして、敵意が迫る。

「く…俺を殺したいか…闇の王」

 ならば行ってやろう、と。その手招きに応えた。

「今度こそ届かせてみせる…世界を…救ってみせる」

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