鋼の王の前日談
東とか西とかだったからごっちゃでしたね
これで間違いはないはず…?
それは、ある世界の出来事。
二つの国があった。東の国と西の国。
永き戦いに疲れた東の国は、西の国の侵攻に、いつしか無気力に為すがままとなっていた。しかし、ある日、東の国の男が西の国へ仕官した。
「裏切り者め…」
そう罵られた。だが、その男は述べた。
「俺が、世界を変えてみせる」
誰もが戦うことを忘れた東の国で、唯一、彼だけが強靭な意志を持っていた。東の国を、虐げられるしかなかった自らの故郷を救うために。彼だけは本気で戦うことを決意した。
その男はめきめきと頭角を現し、親しまれた。そして、東の国への攻撃を止め、対話を繰り広げるべきなのではないか、と。そう考える者も増え始めた。
しかし、それは、容易く裏切られる。
「お前の故郷を襲えと、そう命令された」
西の国で出来た友に、そう告げられた。
「俺は、故郷を裏切ることはできない。けれど、それは、お前も同じなはずだ」
「俺は、お前たちと分かり合うなんてできなかったのか?」
「さてな。だが、友というのは遠慮なく殴り合えるもののはずだ」
男は決意した。再び、東の国に戦を起こすと。
「お前は自らが王となりたいだけだ。西の国で出世できなかったのが悔しかったか?その為に今度は俺たちを利用しようというのか!?」
故郷に戻った男を待っていたのは、罵倒だった。それは、男が常に心の中にあった問い。そえもあったから彼は故郷を離れたのかもしれない。
「俺は、故郷を守りたいと思ってる。戦わないで、必死に耐えることが平穏だと思っているのか?罵られ、殴られ、虐げられるのが当然だとそう受け入れて、何もしないままでいることが本当に友好だと思っているのか?戦う意志を捨てて守るべきものも守らないまま零れおちて朽ちていくのを、俺は認めない」
けれど、彼の中には今も昔も変わらない、確固とした思いがあった。だから彼はひとりでも戦うつもりだった。それで死んでも悔いはないと。
「どこまでもついていきます」
しかし、彼の元には戦士が集まった。西の国で育み、彼個人に心酔した部下。そして、立ち上がることを思い出した彼の故郷の人間も
そして、彼はなった。鋼の王に。その男の名は―――バトウ、といった。




