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深淵
「やあ闇の王。ご機嫌はいかがかな」
投げかけられる言葉は虚空に溶けるように響きだけを残す。深き闇の中にあり、しかしどうでもいいと言わんばかりに、言葉を続ける。
「やあ闇の王。ご機嫌いかがかな」
「ノアラバルトか。なんだ?この前の非礼でも侘びに来たのか?」
やれやれ、と肩をすくませる。しかし、ノアラバルトと呼ばれた人物は、あくまで自分のペースで話を続ける。
「この前の非礼って…?」
「今もそうだが、私の世界に勝手に侵入したときのことだ」
「あれはボクの血族が勝手にやったことだからねぇ」
「白々しいことを言うな。お前の冗談など聞かなくても一向に構わんのだが」
「はっはっは。ま、そうだね。正直君にとっては同で見い事なのだろうけど、一応伝えておくよ。ちょっと、留守にするから」
「何をする気だ?」
「んー…?ちょっと王たちの邂逅も終わりが迫っているしボクも仕事しないとね」
「…」
「だから、乳繰り合うなら今の内だよ。思う存分若いツバメと戯れるといいさ」
「それ以上さえずるなら消すぞ」
「あはは…これでも結構真心が効いたアドバイスなんだぜ。ま、いいけどねそれじゃあお望みどおり消えるよ」
「…」
暗闇の中。闇の王は思案する。
「また…世界は動き出す、か…」
しかしすぐにどうでもいい、と。静かに眠りについた。




