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ある世界の出来事~光の勇者編~  作者: 山崎世界
第一章:集う王たち
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別れの前兆

「どうかな?美味しい?」

 料理の感想を上目遣いに求められ、

「うん、美味しいよ。」

 と、レイは笑顔で返す。

「そう、良かった」

 リーリアは、それにちょっと顔を赤らめて、嬉しそうにする。そんな様子を、ウインドウ含め、周りは温かい目で見つめる。

「なあウインドウさん。レイとリーリアが結婚相手とか連れてきたらどうするんすか?」

 と、クラウドは笑いながら聞く。

「け、けっこん!?」

 突如出たそんな話題にリーリアは顔を赤くした。

「ん?そうさなぁ・・・やっぱり二人が選んだ相手なんだからやっぱりいい女といい男だろうよ」

「やっぱ親心として色々あるでしょう?どんな相手がいいんすかね、ウインドウさんとしては」

「う~んそうさなぁ・・・なんつうか、二人がくっつけばそれはそれでいいな。うん、悪くないどころか、それが一番のような気がしてきたぞ」

「お、お父さん!何言って」

「俺は結構本気だぜ」

 リーリアの動揺にウインドウは笑う。しかし、本当に悪くないと思ってる。レイにならリーリアを任せられると思うし、リーリアならレイに相応しい相手だと思う。

「レイ、お前はどうだ」

 そして、ウインドウはレイに話を振る。この場にいる全員の視線がレイに注目する。リーリアの視線は少し期待に満ちている。が、微かに気付いた。レイがためらっている。

 それは、自分が記憶喪失で、その記憶が戻ったらこんな毎日が送れなくなると漠然と感じているから。

 しかし、その逡巡は一瞬。これは本気で話をしているわけじゃない。現実じゃない。こうだったらいい、こんな未来もいい、と、そんな空想、ある世界の出来事。難しく考えることはないし、深刻な答えは相応しくない。

 明るく、それもいいなと、何も考えない振りをして、答えようとした。

 が、まるでそれを嘲笑うかのように、世界はまわる。

「なあなんだあれ?」

 一人の子供が、後方にある山に向けて指を伸ばす。そこには、闇の向こうから光が差し込む光景。絶対の闇、世界の果てより何かが再来してきたかのような、そんな光景があった。それはまるで、いや、それはまさに

「あの時と…同じ」

 レイの記憶の初めの場所。十年前と同じ光景が広がっていた。


「あの時…」

 レイは、ウインドウの呟きに思い当たった。

「あの時、と言うのは、俺が父さんと会ったときのこと、ですか?」

「…」

 察しが良すぎるな、とウインドウは舌打ちをした。十年前のこと。今回と同じように突如闇の向こうから光が発し、その光の下にレイは居た。

 今回は、どうなのだろうか。また新たな存在がこの世界に訪れたのか。そして、それは何をもたらすのか。それは、もしかしたら

「…確かめに行く必要が、ありますね」

 誰もが黙るこの状況で、バレリアは提案する。ウインドウは、その言葉で我に返り、どうすればいいのかを考える。

「…二つ?」

 レイは呟く。光は二つあった。一つはレイも出現した場所、もう一つはそれより少し離れた場所にも光が確認できる。

 二手に分かれるべきだろう、とウインドウは判断して、

「レイとクラウドはあっち。俺とバレリアはあっちだ」

 と指図する。レイとクラウドには、レイが居たあの場所。バレリアと自分はもう一方の場所。

「分かりました」

「レイ兄ちゃん…行っちまうのか?」

 と、首を縦に振り、向かおうとしたレイの足を、子供の言葉が止めた。どういうつもりで言った言葉か。レイだけではなく、その場に居た全員が黙る。

「…行こう、クラウドさん」

「…ああ」

 それでも振り切っていこうとする。見据えるのは自分の記憶の最初の場所。

「待って!」

 そして、また止められる。止めたのは

「私も行く。ダメかな?お父さん」

 リーリアだった。ウインドウは多少驚いたが、すぐに気を取り直して

「レイに聞きな」

 リーリアが望んでいることが分かるから、そう促した。

 レイは考えた。この先、何が起こるのかわからない。何故か自分には嫌な予感がする。それが何なのかすら分からない。自分にはリーリアを守りきれるのか。色々なことが頭をよぎる。だが

「リーリア、俺とクラウドさんの傍を離れないようにね」

 守りたいと思う。自分と一緒にいたいと思う、その願いも。

「それじゃあ…」

「おうレイ!ちょっと待ちな」

 背中を向けようとしていたレイにウインドウは声をかける。

「これは…」

「忘れ物だ」

 幼い頃、失って、そしてまた取り返した。自分自身の剣。

ウインドウは投げかけた。やっぱり、もう少し早く返しておけばよかったのにな、なんてそんなことをしんみりと考える。

「…ありがとう。父さん」

「!」

 ウインドウは、レイに背中を向ける。ああ…心構えなんて出来ていたと、そう思っていたのに。

「…ガキども。他の連中もこのことに気付いていると思うが、俺たちが向かっているってことを伝えに行ってやってくれ。出来るか?」

 そして、ウインドウは子供たちに最後の指示を伝える。子供たちは必死に首を振り、駆けていった。そして、一同はそれぞれ、別々の方向へ走っていく。

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