3-15.白いドレスと、真っ赤なゼリー
某有名サイトでいちごジャムを買いまして。。。あんまり美味しかったんで、サラちゃんには、ゼリーにして食べさせてみました。・・・超贅沢っ!(笑
朝起きて、窓の外をみると、雪で真っ白になっている事が増えました。
そして、エドの朝のお仕事に、各部屋で使う暖炉の薪運びが増えました。
沢山の薪を運ぶので、両手がふさがって何かと不便になるエドをサラも一緒について行って、ドアを開けたりお手伝いをするんですよ。
こんにちは、サラです。
気が付いたら、もう明日がお誕生日会なんです!
時が過ぎるのって早いですね~。もう、何もできていない気がするのです・・・。
頑張るって言ってしまいましたので、ちゃんとお作法の勉強も頑張りましたし、招待状もちゃんと出して、お返事をもらった人たちのリストを作ったり、大忙しではあるのです。
でも、何かまだ足りないんじゃないかと、心配になっちゃいます。
今回お迎えするお客様は、親戚の人達と、おにいちゃまたちがお仕事でお世話になっている人たちです。
これからは、おにいちゃま達だけでなく、サラもよろしくお願いしますっ!っていう意味なんですって。
親族にお披露目のお誕生日会が終わったら、少しずつ社交を増やしていって、7歳のお誕生日になったら、今度は王宮で、貴族の子弟の一員となったご挨拶と、お祝いをして貰うのだそうです。
樹木祭に開かれる王宮での晩餐会には、その年に7歳になった貴族の子供たちが全て集うので、とても賑やかなのだとか。
・・・で、ですね。
どういうわけか、7歳になった時にお会いするべき、王様が・・・ウチにいらっしゃいます。
おうちの馬車の音がしたのでアルにいちゃまが帰って来た!と思って、「おかえりなさい!」って言おうと玄関に走っていったら、頭痛を堪える様にこめかみをさするアルにいちゃまと一緒に知らない男の人がいました。
「サラ、ご挨拶なさい。国王陛下がお見えだ」
「ふえっ?」
えと、えと、こーゆーときは…おねえちゃまと練習をしたご挨拶です!
「初めてお目にかかります、サラです! ようこそ、我が家においでくださいましたっ!」
スカートをゆっくり開いてレベランス。慌ててばたばたしてはダメっておねえちゃまが言っていました。
「おお、サラちゃんかーっ! うんうん、たまに遠くから見かけるんだが、過保護な君の兄たちが、なかなか会わせてくれなかったんだよー。
酷くないかい? 王妃も、ナサニエルも、ノルベルトも!
みーんな私より先に仲良くなっているだなんてっ!
私だって、仔猫ちゃんと遊びたいのにっ!」
王様がおっしゃるには、みんなばっかり仲良しであんまり悔しいので、アルにいちゃまのお帰りの馬車に一緒に乗って来ちゃったんですって。
えーっと、それは、いいことなんでしょうか?
アルにいちゃまは、困ったようにため息をつきます。
王様はノリノリで、抱っこしてもいいかい?とか、高い高ーーい♪をしてくるくると回っておられます。
サラは、どうしたらいいんでしょう~?
☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡
アルにいちゃまが、サラが目を回してしまうので、やめて欲しいとお願いをして、やっと王様のくるくるから解放されました。
その後は、警戒してアルにいちゃまの影にいます。
王様の近くに行くのは危険ですっ!
「やはり女の子はちがうなあ、ウチは男ばかりだから抱っこしても、つまらないったらないよ」
「・・・そういう問題ではありません、陛下」
サラちゃん、こっちにおいでー、と王様がいうのですが、サラはおにいちゃまの影から出ていくつもりはありません! がっちりおにいちゃまの上着をつかんでいたら、よしよしって頭を撫でてもらいました。
玄関ホールで立ち話をするのもどうかと思いますと、お客様用の大きなリビングにご案内しました。
大きなソファーに、ふかふかクッションをたくさん、あったかいラグを敷いてある、ほかほかするお部屋なんですよ。サラはクッションに埋もれたいんですが、お客様用なので、我慢しますっ!
仔猫の姿の時に、クッションの山に飛び込んで出られなくなり、エドに引っ張り出してもらったので、今度は人間でやれば・・・お客様のお部屋ですから、やりませんよー。
「急に決めて来たので、土産も用意できなかったんだが・・・ノルベルトのところから、これを貰ってきた。マディがサラちゃん用に用意していたお菓子だそうだ」
王様がニコニコしながら、大きなバスケットを持ってきてくれました。
「わざわざ、ありがとうございます。」
サラには、もてない位大きかったので、アルにいちゃまが受け取ってくれました。
遅れて帰ってきたエドたちが、バスケットを受け取って厨房へ運んでくれました。重そうですねー。
王様が、アルにいちゃまの馬車に乗ったので、エドたちが護衛で周囲を警戒しながら帰ってきたそうです。
鎧の近衛隊の人も来たのでしょうか? こちらも重そうですね。お馬さんに乗れるんでしょうか。
そんなことをぼんやりと考えていたら、エドがワゴンを押して応接間に入ってきた。
「せっかくのお土産なので、さっそくお出ししてみることにしました」
ワゴンの上には、大きな銀のボウル? あ、蓋だぁ。
そっと銀の覆いを開けると、中には真っ赤なゼリーが!周囲には、生クリームとブルーベリーとクランベリーがペパーミントリーフと一緒に飾られています。
「ほお、中を見ないでもらってきたが、これは凄いな!」
「わあぁ、すごぉーい、真っ赤なイチゴのゼリーだぁっ!」
サラも驚きましたが、王様も中身は知らなかったようで、びっくりしていました。おっきくて重かったのは、器の周りに、氷がたくさん入っていて溶けないようにしていたからなんですって。
マディってば、おまけで焼き菓子もつけてくれました。
最近、サラが王宮に行かないので、せっかく作ったお菓子が余り気味なんだよ。たくさん食べてねって伝言まで貰いました。
外出禁止がとけたら、ちゃんとお礼を言いにいかなきゃ!
そぉっと、アルにいちゃまを伺ってみます。う~、まだ外出禁止、だよねぇ・・・。
「サーラ、まだ懲りないのかい?」
視線に気づいたアルにいちゃまに苦笑いでぽんぽんと、頭を押さえるように撫でられました。
こ、懲りてますっ!ちゃんとおにいちゃまの言いつけは守りますっ!! サラいい子だもんっ!!
慌てて意識をお菓子に戻します。
真っ赤なゼリーの下は、白いブラマンジェがあり、二層構造になっていました。お祝いっぽいね、とエドが笑ってくれます。
そっかー、お誕生日のお祝いも兼ねているのかな?
真っ赤なゼリーは、イチゴのフルーツソースでつくったもの。甘酸っぱくて中に甘煮にした丸ごとイチゴも入っています。
嬉しいー、サラはイチゴが大好きなんですもんっ!
下のブラマンジェは優しいミルク味。口に入れるとふわりと溶けて、ごはん前なのにっ!いくらでも食べられてしまうーーっ!!
「ほーお、ノルベルトのところのマディは、こんなに菓子を作るのが上手いとは、知らなんだな」
・・・あ、王様を忘れていました。
アルにいちゃまのお膝に抱っこしてもらって、お菓子を食べるのに夢中だったんですもん。
アルにいちゃまに、どうしたらいいのかしらって目線を送ると、
「大丈夫、今回はお忍びだからね、気にしなくていいよ。」
頭を優しく撫でてくれました。
「少しはかまってくれ。そして、サラちゃん、私のお膝においで~!」
・・・さすがは、ナールさまと、ノルちゃんのお父さんですね、いう事が一緒です。
「やです。サラは、おにいちゃまのお膝以外はのっちゃいけないんですもん」
あ、いつもの調子で返しちゃった。
王様が肩を落としてがっくりしています。
ごめんなさいね、王様。でも、おにいちゃまがそういうから、ダメなんですっ!
「くぅっ! では、王宮でやる舞踏会の7歳の時の誕生日ファーストダンスは・・・」
「サラは、アルにいちゃまに踊ってもらうんですよー。次はカールにいちゃまで、ウォルにいちゃま、最後はイーちゃんなんです」
この間、夜ごはんのあとに、じゃんけんで順番を決めたんです。お姉ちゃまは「別枠」なんですって。いつでも踊ってくれるっていう意味だって教えてもらいました!
おにいちゃま達が、変な顔をしていましたが、どうしてかしら?
結局そのあと、帰ってきたイーちゃんが王様に捕まってアルにいちゃまと一緒にお酒を飲むことになりました。サラは、その横でエドの持ってきてくれた特製のサンドイッチを食べさせて貰いました。
チーズやハムの入ったポテトサラダとサラダ菜を挟んだものと、卵サンド!大好きなんですー。
王様は、お酒を飲みながら機嫌よくアルにいちゃまと、イーちゃんとお話しをしていました。
サラは途中で眠くなってしまって、クッションに埋もれて寝てしまいましたが、一体いつまでお酒を飲んでいたのでしょう。
「あー、くそっ!あのオヤジ、酒強すぎだろうっ! あんだけ飲んだのに、足元もブレずに帰るとか、どんだけ強いんだよっ!」
と、痛む頭を抱えながら呻くイーちゃんを尻目に、アルにいちゃまも平気みたい。
エドいわく「イースの一人負け、だな」ですって。
急きょやってきた王様は、何がしたかったのか解りませんが、ウチのお酒をたくさん飲んで帰って行ったそうです。サラは、マディのお菓子が食べることができて、大満足です!
このとき、酒宴でされたお話しは、内緒の秘密、教えてもらえませんでした。
おとなって、内緒が好きなんですねっ!
生のブルーベリー、クランベリー、イチゴとそろったので、三種のベリーのフルーツソースを作ろうと・・・したら、家族にイチゴを食べられ、断念っ!
現在、どうやって消費するか模索中・・・orz




