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ミルクティ色の仔猫の話  作者: おーもり海岸
3.はじめてのお誕生会
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3-5. おともだち探しと、甘いお菓子

仔猫ちゃん、何やら決意をしたようです。

自分が方向音痴だって自覚するのでしょうか…。

「やっぱりお友達は、探しに行かないとダメだと思うのっ!」


エドとイーちゃんは、お外で出会ってお友達になったそうです。

([「イアンにいちゃまって呼びなさいっ」て言うけど、サラとしてはイーちゃんて呼びたいんですもん。お外ではちゃんと呼ぶようにします。…たぶん)


貴族の子供たちはお茶会や、両親に連れられてちょっとしたパーティに行って、お友達を作るのだそうです。

お茶会、出ましたが、仔猫の姿でしたし、お友達を探す暇もありませんでした。

両親とパーティ参加は、お父さまがお出かけしたままなので、行けません。


これは、もう、自分でお出かけするしかありませんね!


お誕生日会の招待状に、アルにいちゃまに教えてもらったように署名と「ぜひ、いらして下さい」と書きます。だいぶ慣れてきましたよ!


まずはお友達を作るための調査に出かけましょう!

調査って、いうと、なんだかアルにいちゃまのお仕事みたいですっ!うふふ、楽しみっ!


サラは、女の子のお友達が欲しいんです。同じ年くらいの女の子とお話がしてみたいのです。


男の子のお友達は、エトガルトくんがなってくれましたからね。おうちが遠いそうなので、誕生日会には来てもらえそうもないですが、とりあえず招待状は出しておきましょう。


招待状を出したいと言ったら、アルにいちゃまが、ちょっと困った顔をしました。

やっぱり、遠いと大変なんでしょうか。


そう、調査ですよ、調査っ!

今日は、アルにいちゃまとエドが王宮でお仕事。イーちゃんは魔法省へ引っ張られていきました。

アレクお姉ちゃまと、カールにいちゃまは、学院で行事の準備。忙しいんですって。


…ということは、今です! 今日、調査にお出かけするのですっ!


仔猫の姿になるのも、もう慣れたものです。本を読まなくても変身術使えるんですよー(ちょっと自慢です)

最近は、リボンの種類も増えたんです。王妃さまと侍女さんたちが、紅色のリボンに刺繍をしたのを作ってくれたのです〜♪ 

お姉ちゃまがそのリボンに魔石を縫い込んでくれました。お出かけするときの護身用ごしんようだそうです。…ごしんよう、って何でしょうか。

えっと、たぶん、おでかけに必要ってことだと思います!


あとは、自分で作った魔法陣付きのレースを重ねて巻きます。

これで、準備は完了です!


仔猫の姿で階段を降りることも覚えました。

木を伝って降りるより怖くないですもん。階段を一個ずつ、ぴょんぴょん飛んで降りるんです。上手なんですよー。


午前中のお掃除でばたばたしているメイドさん達に見つからないように、そぉっとお外に出て、食材配達の馬車へもぐりこみます。


お友達になれそうな子に会えるといいなぁ。



☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡



「はい、これお土産ねー。帰ったらお嬢に渡してねー」

マディから渡されたのは、甘い香りのするバスケット。マディ特製の林檎とサワークリームのパイに、オレンジを輪切りにした甘煮を飾ったチョコレートパイが入っている。


どちらもサラちゃんの好物だ。


チョコレートパイは、空焼きした生地に、薄くチョコレートコーティングした上にチョコレートのババロアを詰めたもので。パイのぱりぱり感と、ババロアの食感両方が楽しめるマディの得意菓子だ。

チョコレートのババロアがほろ苦いので、大人にも人気なんだよなー。サラちゃんは、オレンジの甘煮のところを貰うのが好きらしい。


「悪いな、マディ。いつもお菓子貰って。サラちゃんも喜んでいるよ」

「他のお菓子を作るのと一緒にやっているからね、手間は一緒だよ。それに、お嬢はそろそろ限界でしょう?」

マディが笑いながらバスケットを差し出す。限界?何が??


「お嬢さー、このところ家でお留守番ばっかりでしょう? そろそろ家の中だけ生活も限界だと思うよー」

「あー…、それは」

確かにそうだった。アル兄さんの仕事や、王宮の会議の警備に駆り出されて、サラちゃんを外へ連れ出していなかったなぁ。


「確かに、そろそろ…」

「抜け出すね。お嬢なら」

有り得る。ああ、なんでその可能性を忘れていたんだか。


「珍しくこの処おとなしくしていたから、すっかり忘れていた…。うちの仔猫の脱走癖を…」

「まあ、しょーがないよね、お嬢だし。あんまり叱らないようにね」

ちょっと待て、マディ。既に確定で話しているよ!? てゆーか、抜け出しているのは、確定なんだ!


「とりあえず、今日は早く帰るよ…。」

「だねー」

忙しいこの時期に、街に出るとか言わないでほしいなぁ。街は樹木祭と年末を前にしてすごい人出なのだ。サラちゃんは、この時期の街を見たこともないはず。


人と荷車でごった返している街の出ても、サラちゃんでは人混みに紛れて、自分のいる場所もわからなくなってしまうだろう。迷子になるのは、得意だからねぇ。


「おとなしく家にいてくれるといいんだけどなぁ」

無理だとは思っても、一応、希望は持ってみる。一応ね。


年末の築地やアメ横の賑わいを思いながら、街の喧騒を想像していただけると、嬉しいです。

サラは、無事に街を歩けるのでしょうか?

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