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ミルクティ色の仔猫の話  作者: おーもり海岸
1.サラちゃん はじめてのおつかい In 学院へ
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6. 仔猫は、おやつと、お昼寝の時間です。

サラちゃん、ぶらり旅を満喫中です。

副隊長さんが、お仕事に行ってしまって、少し寂しいけれど、エドさんと、ベルさんが学院まで、一緒に言ってくれることになりました。よかったですー。


学院までは結構遠いから、と言われて、今はベルさんのお背中に乗っています。

手触りのいい毛なみにスリスリしながら、ベルさんに懐いてみます。

うわぁ~ん、気持ちいいっ♪


「そんなにベルの毛なみが気に入ったのか? 戯れ付き過ぎて落ちるなよ、サラちゃん」

エドさんに笑われました。 白いサラサラで緩やかな巻き毛は、サラの理想なんですもん~。

サラは、こんな風に綺麗な髪になりたかったんですよ! 嬉しくてずーっとすりすりしちゃう!


「そんなモンかねぇ、サラちゃんのミルクティ色の柔らかい毛なみも、すごく可愛いと思うよ?」

エドさんは、優しいからそう言ってくれますけど、親戚から「薄ぼんやりして、はっきりしない髪色の上にくせっ毛だなんて。どこまでも出来損ないな子ね!」って言われたのは、本当だと思うし・・・。


『サラ、そんな事を言う奴は、目が悪いか、どうしようもない馬鹿だ。気にすることはない』

ベルさん、やさしい。エドさんにも褒めてもらっちゃったし、嬉しいなっ!

でもお姉ちゃまは、本当に綺麗なんですよ!銀というより、白金プラチナな輝きを持つ髪の毛がとっても綺麗で、お兄ちゃまは、柔らかな優しい金色の髪なんです。そして、サラは、ちょっとでも、お姉ちゃまや、お兄ちゃまに、似てたらよかったなぁ。


そうしたら、もうちょっと一緒にいられたかな。



○~○~○~○~○~○~○~○~


「ああ、アル兄貴? 俺、ウォルフだけど」

魔道具を使って王宮で仕事中の兄、アルフレードに、近況の報告とサラが居なくなった事を伝える。

一般には、まだ普及していないが、「伝声器」としての魔道具が王宮には、配備されている。

なかなか便利で、助かる。今度、アレクのとこにも一つ置きたいなぁ。


『うむ、わかった。しかし、サラが急にアレク達に会いに行ったのは、あの親戚を名乗る連中のせいもあるのではないのか?』

「・・・あの連中、また来ていたのか」

最近、当主が長期不在な上、アレクに、カールまでも学院に行きだしたせいで、シェンブルク家には、サラしかいないのを判っていて、わざと親戚を名乗る連中がやって来ては、我が物顔で屋敷内を物色していくらしい。

血縁者を強調されると、執事キスリングも無作法な事はできず、対応に苦慮している。

一度などは、アレクの私室にまで入り込み、アクセサリー類を盗もうとした。それに気づいたサラが必死で止めたところ「泥棒扱いされた!」と逆ギレをされて、怒鳴られたサラが随分落ち込んでいたのだ。

ああ、思い出すだけで腹がたつっ! 


『親類と言っても、確か、ご当主の父方の従兄弟の妻の兄弟、だろう?法的にも何の権利も持たない者たちであるのに、どこまでも恥知らずだな』

「あんな連中を、アレク達の近くに居させることだって腹がたつのに、いつまで我慢すればいいんだ?」

この話を聞いてすぐにあの親戚連中を殴り飛ばし、屋敷へ出入り禁止にして、あの連中の顔をサラが見なくて済むようにしたいのに、長兄がそれを止めていた。曰く“一回で効率よく、二度とアレク達と関わらせないようにする”そうだ。

この長兄がそういうのであれば、必ずや連中は痛い目を見ることだろう。・・・というか、痛い目というレベルで済むかどうか。 しかし、俺としては命があるだけマシだと思え!という気持ちなので、長兄のすることを止める気はない。


『奴らは、サラに向かって『レイブンの教会がやっている全寮制の寄宿舎へ入れる』と言ったそうだからな。』

「レイブンって、国境近くの山の中じゃないか! 誰がそんな処にサラをやるもんか!!」

泥棒騒ぎの件でいよいよサラが邪魔になったらしく、どうにかしてサラを家から追い出そうとしている。俺は「出て行くのは、お前らの方だ!」と、言ってやりたい。


『まぁ、彼らには、自分がそういう目のあったら どう思うか、その少ない想像力をせいぜい使ってもらおうじゃないか』

「兄貴、ヤルなら、さっさとやっちまってくれよ」

うん、この兄のすることに間違いはないが、昨日の今日では手際が良すぎる。


『もちろんだ、サラが家に帰る頃には、カタがついていることだろう』

「サラには、解らないようにしてあるんだろうな?」

思わず、疑いの眼差しを向けたくなった俺は悪くないと思う。


『ウォルフ、お前は、兄を信じないのか?』

「・・・失礼しました、兄上」

長兄の声が一段低くなる。こういう時の長兄には逆らわない方が絶対にいい。触らぬ神に祟りなし、だ。

長兄は、もう成人して王宮で文官をしている。かなり忙しいハズだが。義妹サラの為なら、さっさと仕事を終わらせて帰ってくる。・・・きっと結婚したら家族溺愛することだろう。その家族溺愛系の長兄を相手に怒らせるのは、余りにも無謀だ。

まあ、いいだろう、ヤツらはサラを虐めたからな。そんなの万死に値する!

今日の夕飯は、サラと一緒にシェンブルク家でとる事を長兄と約束をして、通話を切った。


さて、サラの好きなデザートでも、買いながら行くか。


○~○~○~○~○~○~○~○~





「さて、そろそろ商店も少なくなってお屋敷街に入るからね。その前にちょっと休憩してオヤツにしようか、サラちゃん、甘いもの好きだろ?」

そう言って、エドさんが可愛い赤いテントのお店で買ってきてくれたのは、真っ白なライスプティングでした。


「にぁっ!」

元気に、いただきます!をして可愛い陶器の器に入った白いプティングを覗き込みます。そおっと手で触ると、弾力があってフワフワしますよ!


「大丈夫、熱くないからね。 ゆっくり食べな」

エドさんは、ベルさんには、軽い塩味のクッキーを。自分に温かいお茶を買ってきたようです。

陶器の器から、一生懸命に手ですくいながら食べるサラを見ながら、器用に食べるなぁと感心していました。

んん? 猫さんは手で食べないのかな?

ミルクの風味と、少し残ったお米の食感にお砂糖の優しい甘味が、本当に美味しくていつの間にか、ぺろりと平らげてしまいました。


「よしよし、美味しかったかい? 食べたら少し休みな。昼寝する位の時間はあるからね」

エドさんが、やさしく前足を拭いてくれます。そのあと、背中を撫でてもらっていたら、ふわぁ、とあくびが出ました…。


お姉ちゃまのところへ行かなきゃいけないのに、眠くて、眠くて、もう、瞼をあけていられません。

ちょっとだけ、寝ていてもいいですか?

起きたら、ちゃんとお姉ちゃまのところへ行きますから。

エドさんのお膝の上で、サラはすっかり眠ってしまいました。


「いい子だね、サラちゃん。少し位休んでも、サラのお姉ちゃんは、怒らないよ。

ねぇ、そうでしょう、 保護者さん?」


そのとき、ウォル義兄ちゃまが、サラを探しに来ていたなんて、全然知りませんでした。




ここまで読んでくださいまして、ありがとうございます!

アレク姐さんの婚約者くんちの、長兄強し! 次は、少し位進んでくれるといいんですが、サラちゃん、起きるかしら…(心配)

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