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ミルクティ色の仔猫の話  作者: おーもり海岸
2. はじめての舞踏会
57/72

お礼小話. 家族の肖像画

先日、サラちゃんの絵をいただきまして、余りの嬉しさに小さなお話を一つ。

そして、またブックマークが増えて415を越えたお礼。

更に更に、35万アクセス超えました。すべて読んでくださる皆様のおかげです。


仔猫たちの毎日のひとコマをお送りします~。

「私の肖像画はいらないと思うのですが…」


社交界デビューをした後に、せっかくなのでアレクの肖像画も作っておくか、という話になったが、アレクはどうも乗り気ではないらしい。


「だって、ずっと同じポーズをとらなくてはならないし、盛装をして絵を描いてもらうだなんて面倒なんですもの」

最近は、写真をとる家も増えたが、やはり貴族の家は肖像画を欲しがるものらしい。

屋敷の中に飾るにしても、やはり絵の方が様になるということだろうか。この辺にこだわりはないので、記念に作っておこうかと思ったのだが、アレクが乗り気でないのなら…。


「えっ、描いてもらおうよ、俺、小さい細密画がいい!アレクの細密画、持ってないから!!」

「あー、俺も兄貴とサラのが欲しいー。ちっさいの、いいよね。持ち歩き易いし」

…なんで、ウォルフとイアン、弟たちが、こんなに乗り気なんだ?


「あ、僕も欲しいです。姉上とサラの二人が描いてある絵がいいなぁ」

カール、お前もか…。


まさかの盛り上がりに少し驚いたが、考えたら弟たちは、みな外に出ていて家族に会える時間が少ない。

なので、せめて持ち歩ける細密画や、肖像画なりが欲しくなるものだろう。


「お兄ちゃま、サラは、みんなのおっきい絵が欲しいの!」

サラが嬉しそうに膝に上がってくるので、抱き上げてやる。つい最近まで赤ん坊だと思っていたが、随分大きくなったもんだ。


サラも、もう少しで6歳となる。

まだ小さいと思っていたが、もう幼児ではなく、すぐに少女と言われるようになる。


…やはりサラの今の可愛らしく幼い絵姿は残しておくべきだな。


「サラもかい?」

「うん、おうちにね、大きなお兄ちゃまとお姉ちゃまの絵があったら、いっつも見られるでしょう?」

絵など必要がないくらいに、いつも一緒にいてやれればいいのだが、一般の家庭より寂しい思いをさせてしまっているのかもしれない。心配だ…。


「そんなに寂しかったかい?」

「んーん、アルにいちゃまも、エドも夜におうちにいるからへいきなの。

 でもねサラはお兄ちゃまとお姉ちゃまが、大好きだから、いっつも見ていたいなぁって。

 それにね、サラのおにーちゃまは、みんなとってもカッコいい『イケメン』さんだから、みんなに見てほしいの!」

…うちの妹は、一体どこで『イケメン』だなんて、こんな言葉を覚えてきたのだろうか。そして、簡単に大好きとか兄たちの心を鷲掴みにする台詞を言うからなぁ。殺し文句だな。


「えー、サラ、お姉ちゃまは、見てほしくないのか?」

「だって、ウォルにいちゃまが、嫌っていうから」

ウォルフ、小さい子にまで独占欲を心配されて、どうするのだ。


「まあ、私は家族にだけ見てもらえばいいわ。今更、お見合い用の肖像画を描いてもらう必要もないし」

そうだな、年頃の男女が肖像画を描いてもらうということは、お見合い用という色合いが濃い。

有力な貴族に絵姿を配って回って、相手を見つけてもらうというものだ。


ただ、絵姿の場合、写真と違って多分に依頼者の意向が加味されているので、すべてを鵜呑みにするわけにはいかないのだが。


どうやらお互いの肖像画が欲しいようなので、画家を手配してもらうとしよう。

執事に肖像画家の手配を頼む。


「細密画と、大型の絵もあるので、幾つかに声を貰えるか?」

「承知いたしました。幾つかの画房に声をかけましょう。きっと皆よろこんで参りますよ」

にこにこと嬉しそうに執事が請け負う。


「よろこんで、とは、仕事があって嬉しいということか?」

「いえ、今まで何人もの画家から、お嬢様方をぜひモデルに絵を描かせてほしいと言われておりまして、その都度、お嬢様の時間が取れないとお断りをしておりましたので。」

何度か報告を受けていたが、まさかそんなにも人気があったとは。アレクとサラで描かせて欲しいという依頼も、何件かあったらしい。


「そ、そうなのか?」

「はい、今回、声をかけてもらえるような事があれば、何をおいても駆けつけていらっしゃるでしょう」

知らない間に、妹たちは世間の人気者だったようだ。不審な輩には今まで以上に気をつけておかないと。


「そのうちにサラお嬢様の絵姿を、お渡しする日も…」

「「「「「まだ、早いっ!」」」」」


…全員の声がそろってしまったようだ。


兄姉全員で答えたので、サラが私の膝の上でびっくりして固まっている。


「…まあ、当分は無理、ということでございますね」

にっこりと執事がほほ笑んで、サラに焼き菓子を渡している。


そう、仔猫は、当分の間、兄たちの腕の中だ。




読んでいただき、ありがとうございます。


今度こそ、第三章、仔猫は、走りますよ~!

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