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ミルクティ色の仔猫の話  作者: おーもり海岸
2. はじめての舞踏会
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幕間: アーノルド氏の多忙な日々 その3

後で直しをいれるかもしれませんが、とりあえずアップさせてください。


アーティファクト家と、シェンブルク家を行き来する生活も慣れてきた。


そして、その中に学院の生活も入ってきたが、学院の寮に入るという選択肢はなかった。


私が学院に入った頃は全員寮に入るとなっていたが、「家庭の事情により、消灯後の時間は自宅へ戻らせていただく」と学院長に直談判して帰宅を勝ち取った。寝ている時間まで拘束される必要はないだろう?


さっさと単位を取りまくり、必要最低限しか学院には居なかったので、『王立学院の影の支配者』などというありがたくもない呼び名があったらしい。・・・支配したつもりはないのだが。


とは言っても、どうしても家に不在の時間が出来てしまうのは仕方がないことだが、そういった保護者や、年長者が不在の時を狙ってやってくる奴らがいる。


所謂、『覚えのない親戚』と言われる連中だ。


どうやって探し出してくるのか、最近景気のいいと言われている家や、親、兄弟を亡くして気落ちしていたりする家に、さも親切心に溢れている素振りで近寄り、家に入り込む。

そして、その家の金目のものをいつの間にか持ち逃げしてしまうのだ。


もっと悪質な例では、家の乗っ取りまで画策していたものもあった。


さて、比較的景気が良くて、家族に不幸もあったりして、煩い年長者達がいないシェンブルク家にも、そんな得体の知れない親戚を名乗る連中がやってきた。


親族に宛てた訃報の通知を持って、わざわざ遠方からお悔やみを言いに来たといい、王都に知り合いがいないので、ここにしばらく滞在させて欲しいと、執事に強引にねじ込んできたのだ。


「アーノルド様、如何いたしましょう?」

親戚であることを盾に強引に話を進めてくる連中の対応に困った執事から相談を受けたのだが、叔父上からの紹介状もあった関係で、一時的に滞在を許可するしかないようだ。


「カールや、サラの部屋からは離れた客間を用意してくれ。そして彼らには、最初に挨拶をさせたら、その後は接触させないように。」

「承知致しました、アーノルド様」

まだ幼いカールや、サラをああいった連中が、どう見ているのか、よく解るからな。上手く懐柔して自分の味方につけようとするに違いない。


「『親戚』を名乗ってはいるが、胡散臭い連中だ。叔父上の紹介状も怪しいものだからね。改めて叔父上には、問い合わせを出してある。結果がはっきりするまでは、目を離さないように。屋敷の皆にも伝えておいてくれ」

「はい、アーノルド様」



☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡


「ねぇ、アーノルド様。お若いのに二つの家の面倒を見るのは、大変なことでしょう? せめて学院をお出になるまでは、私たちがお助けしましてよ。」

「そうだよ、もっと大人を頼ってくれたまえ!」

晩餐を一緒に、と言われたのを断ったので、せめてもとお茶の席を設けたら、出てきた話題がこれだ。


「お気遣いありがとうございます、デントさん。家の者も手助けしてくれますし、問題ありません」

人の家の事に口を挟むな!と思いながらも、にこやかに対応してみた。


親戚を名乗るデント一家は、主のデント氏と奥方、その息子と、娘を連れてきていた。

着いた初日から、我が物顔で屋敷内を歩き回り、もっといい部屋に変えろとか、王都見物をする自分たちの為に馬車を買えとか、家人を困らせるような事ばかりを起こしていた。


お悔やみを言いに寄ったと言いながらも、家族連れで来てるのは、王都で息子や娘の結婚相手をみつけようと云う算段らしい。婚約だけでもしてしまえば、こっちのものだと思っているのか。


デント氏は商人らしいが、その内容はよく解らない。

まあ、どう見ても筋のいい商人とはとても言えないようだが。


どうやら、これは親戚だとしてもお付き合いをしたくない類の連中のようだ。


「いやいや、最後に頼りになるのは、やはり親戚だよ! 第一、君はシェンブルク家とは何の関係もないのだろう? 領地の運営などは、やはり親族があたるべきだよ!」

「そうですわ、貴方もまだお若いのですし、あそびたい盛りでしょう?」

貼り付けた笑顔のままで、お茶を飲みながら曖昧に笑ってみせる。


遊びたい盛りなのは、貴方がたの息子でしょう。毎日、深夜まで酒場を渡り歩いていると聞いているし、あまりいい遊び方ではないようで、何度か店でトラブルを起こしているとも報告が入っている。彼らはそれを知っているのだろうか?


「どうだろう、うちの娘と、カールくんを結婚させるというのは。歳も丁度いいし、お似合いだと思うのだが」

「まあっ!素敵ですわ! きっとお似合いの二人ですわ!!」

「お嬢さんでしたら、もっといい御縁がありますでしょう。カールはもうすぐ学院に入りますし、まだまだ結婚は、難しいですね。第一、子煩悩な叔父上がそれを許さないでしょう」

にっこり笑いながら牽制してみる。


改めて、カールやサラに、絶対に会わせないように手配しなくては。

彼らは、シェンブルク家をどこまでも食いつくそうとする害虫のような連中だ。できるだけ証拠を掴んで警備隊につきだしてやるのが、正しい王国民としての義務だろう。


こんな連中が、ウロウロしていたら、心配でおちおち学校にも行っていられないというものだ。


笑顔で応対しながら、どうやってコイツラを潰してやろうかと、せっせと計画を練るのであった。


デント氏は、ターゲット選びを間違えたんだと思うよ。

死亡フラグ立てまくりだと思うー!

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