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ミルクティ色の仔猫の話  作者: おーもり海岸
2. はじめての舞踏会
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2-9. 焼きリンゴと、チョコレート

今回は、子供たちの会話が多いので、平仮名が多いです。

読みづらくて、申し訳ありません。

お茶会でイロイロやりすぎてエドに叱られたあと、アルにい様にも叱られました。

恐い顔でお説教されて、ちょっぴり落ち込んだサラでしたが、復活です!


だって、今日は、みんなでピクニックに行くのですよ!

アルにい様や、ウォルにい様が、一緒に行ってくれるのは、初めてかもっ!!


それにね、へんたい・・・じゃなくって、ノル様も、ナール様も一緒なんですよ~!


この間マディに「今日はへんたいさん、いないの?」って聞いたら、ちょっと困った顔をされました。

「ノルベルト様を王宮でも、へんたいさんって呼ぶのは、どうかなぁ~・・・」って言われたので、マディとエドと一緒に考えました。


「確かに、へんたいは、拙いよなー。じゃあ、ノルベルト殿下ってお呼びしたほうがいいのかな」

「んー、多分、それだとノルベルト様は、拗ねるとおもうよー。ナサニエルさまの事は、ナールさまって読んでいるんでしょう? お嬢」

「うん、ナールさまって呼んでいいよって、言ってくれたから」

「・・・我が国の王太子様なんだけど、一応、様もつけてるし、まぁいっか」

「いや、エドさん、保護者としてそこは止めようよぉ~」

などなど、一生懸命考えて「ノルさま」って呼ぶことにしました。


気に入ってくれるといいなっ!


お天気もよくって、風も冷たくありません。

おうちから馬車で1時間位のところに、小さい別荘があります。ここは元はおじいさまが釣りに行くのに使われていたセカンドハウスで、近くに川があり、そこで水遊びや、釣りができるのです。


「今回は、少し寒くなってきたから、川遊びは控えて景色のいいところでピクニックランチね」

とお姉ちゃまがいいました。


「男手も多いから、色々できるわねー!」

と、お姉ちゃまが楽しそうにいうのに、ウォルにい様や、エドがびみょーなお顔になったのは何ででしょう。不思議です。


今回のピクニックでは、試してみたいことがあったのです。


「エド、エド! まえに教えてくれた『焼きリンゴ』食べてみたいっ!!」

エドが、前に、お外で火を起こしてダッチオーブンで焼きリンゴをすると美味しいんだよって、教えてくれました。聞いた時から、それがやってみたくて仕方がなかったのです。


「はいはい、執事さんや、料理人さんにお願いして材料を揃えておいてもらおうな」

「わーーいっ!!」

やっきリンゴ~♪ 甘くてアツアツで、ジュワってするリンゴ~!!


おうちでは、リンゴをまるごとって、食べたこと無いのです。

大抵は、料理人さんが綺麗に切ってくれます。お願いするとうさぎリンゴもしてくれます。

でも、一度、あっつい丸ごとリンゴを食べてみたかったのですっ!


そんなわけで、すごーく楽しみにしていたんです、ピクニック!


おうちの馬車に、いっぱい食材や、調理器具も積んで、お出かけです。

あんまり楽しみにしすぎて、昨日はよく眠れませんでした。


「サラ、目が赤いわよ?」

とお姉ちゃまに、笑われてしまいました。うう、昨日は全然眠くなかったんですもん。

「着くまで寝ていなさい」と言われたので、お姉ちゃまのお膝をかりて眠ることにしました。

ガタゴトの馬車の揺れも気持ちいいです。


あっという間に寝てしまい、気がついた時は、フカフカのピクニック用の毛布の上でした。


「ああ、起きたのか、寒くないか?サラ」

「ん、へーき、さむくない」

アルにいちゃまは、腕まくりして、珍しく上着も脱いでシャツだけです。


「アルにいちゃま、寒くないの?」

「ああ、動いていたから暑いくらいだな」

みんなで火を起こしたり、お水を汲んできたりしたそうです。大変そうだけど楽しそうっ!


「サラも! サラも、やりたいっ!!」

「判った、判った。乾いた枝を集めておいで。手を引っ掻いたりしないようにな」

「はーい!」

毛布の中から這い出て、慌てて靴を履く。ウォルにい様が火を起こして炭を足していました。

アルにい様も、ウォルにい様も、何でもできちゃうんだね!


薪になりそうな枝を探しながら、歩きます。途中で可愛いお花があったので摘んでみました。

お姉ちゃまに教わった『押し花』にするんです。


夏にお出かけをした時に、摘んだお花をとっておきたいの!とお願いしたら、お姉ちゃまが氷漬けにしてくれました。すごーくキラキラして綺麗だったんですが、アルにい様がため息をついて「やめなさい」って言うので、押し花にしました。


今回は、一緒に来られなかった王妃さまにお土産にするんです。

綺麗な葉っぱも持っていこうー。


枯れ枝も両手いっぱいになったし、ポケットには、可愛いお花が挿してあります。


「あ、木苺っ!」

少し離れた茂みのマディが、タルトやジャムにしてくれるので覚えた甘酸っぱい赤い実が見えました。

嬉しくなって走り寄ったら・・・


「いたいなっ!」


茂みの近くには、知らない男の子がいました。

サラと同じ位か、少し小さい子でしょうか。

あ、痛いって言われたのは、サラが座っていたその子の手を少し踏んでしまったみたいです。


「ごめんね、大丈夫?」

「まったく、さわがしいうえに、ぶさほうきわまりないな、これだからげせんのものは・・・」

・・・なんでしょう、自分より小さい男の子に、ため息をつかれてしまいました。落ち込みます。

でも怪我をしたのなら、手当が先です!


「怪我をしちゃった? 痛い?」

「おまえのめはどこについているのだ。よくみろ。けがをしているようにみえるか?」

ううう、だって、痛いっていうからー!

どうやら、少し踏んでしまっただけで、怪我はしていないみたいです。

でも、その子の手を見ると少し赤くなっていたので、持っていたハンカチで、そおっと、包んで巻いておきました。


「まだ痛かったら言ってね、おうちのお薬持ってくるから」

「・・・おまえ、このちかくのものか?」

男の子は、手のまいたハンカチを珍しそうにみています。気に入らなかったのかな。


「おうちは遠いけど、近くに別荘があるの。ここへはお姉ちゃまとおにいちゃま達と来たのよ」

「ふぅん、こどもだな」

こ、子供ですが、何かっ!? てか、この子だって子供じゃないーっ!


「おねえちゃまとかいうのは、こどものすることだろう。あねうえや、あにうえとよべよ」

「うう、ダメかなぁ・・・」

だって、言難いんだもの。お姉ちゃまもいいって言ったものー。


「おまえ、いちおう、きぞくだろう。そんなことでは、なめられるぞ!」

「貴族だといけないの? お姉ちゃまも、おにいちゃまも、いいよって言うよ?」

「ばかだな! なんでも、いっていることが、ほんしんとはかぎらないだろう」

「・・・でも、サラは思ったことを、ちゃんと言うよ。言わないと通じないでしょう?」

「・・・・・・」

あれ、男の子が黙ってうつむいてしまったよ! 何か悪いことをしちゃったかな。

どうしよう、困ったよう~。


「えっと、えっと、始まりを間違えたみたい。ちゃんとご挨拶だよね!

 こんにちは、サラです。初めまして!」

「・・・ホント、ばかだな。めうえのものに、さきにあいさつしてはいけないんだぞ」

「えっ!そうなの、ごめんねっ!! どうしよう、やり直しする?」

「いい、おまえだから、ゆるしてやる。エトガルトだ。初めまして、サラ嬢」

おろおろしていたら、その子は少し笑って優雅に会釈をした。


おおお、すごーい、お兄ちゃまたちみたいっ! カッコイイ!!

女の子は、スカートを少し広げるように手ですくい、片足を後ろに引いて軽く膝を曲げるレベランスなんですが、男の子は、軽く胸に手をあてて、お辞儀をします。簡単に見える分、姿勢が悪かったり、所作が目立ちますが、エトガルトくんは、完璧にやってのけたのです。

・・・サラ、ばかって言われても仕方ないかもです。


「エトガルトくん、一人で来たの? おうちの人は?」

「サラ、おまえ、けいかいしんとか、そういうものについてかんがえたほうがいいぞ」

・・・なんでしょう、名前が似ている人から、同じようなお説教をついこの間受けた気がします。

名前が似ていると、言う事も似ちゃうんですね、うん、きっとそうだ。


うんうん、悩んでいたら、エトガルトくんがしょうがないなーって顔をしています。

サラは、悪くないと思うのです!


「お姉ちゃまや、お兄ちゃまが心配するから、戻らないといけないんだけど、エトガルトくんも一緒に行く?」

「いや、おれはいい。おれももどらないと」

エトガルトくんは、思い出したように言いながら、ポケットの中から小さな包みを取り出しました。


「これ、やる!」

「え、なあに?」

包みに入っていたのは、綺麗はチョコレートでした。お茶会で見たときのような、ピカピカのチョコです!

エトガルトくんのおやつでしょうか、だとしたら、くれるのは勿体無いよ。

美味しいんだよ、これ!


「ハンカチのおれいだから、きにするな。じゃあな!」

言った途端に、エトガルトくんは走って行ってしまいました。


うーん、どうしたもんでしょう。

知らない人に物を貰ってはいけません、と、アルにい様に言われています。

とはいえ、折角もらったものを、勝手に捨てるのもなぁ。うーん、困りました。こういう時は・・・


「ねー、エドー、これ、どうしよう~」

「んー? へえ、王都で人気のお店のだろ。高級品だよ。初めての貢物みつぎものにしては、なかなかじゃないか?」

振り向いて尋ねると、エドが包みを覗き込んで、楽しそうに答えてくれました。

そう、エドは、ちゃんと近くに来ていたのです。

さっきのやりとりも、殆ど聞いていたことでしょう。


「もらってもいいのかなぁ」

「毒は入っていないと思うしね。まあ、アル兄さんには、別の意味で報告かな?」

エドがニヤニヤと笑っています。知らない子からもらって、アルにい様に怒られるかなぁ。


よく解らないまま、みんなの居るところへ戻る事にしました。


・・・あれ、エトガルトくん、って、どこの子だったんでしょうね。



題名は、書いているうちに食べたくなったものを。

平仮名地獄、お疲れ様でした。読んでいただいてありがとうございます。


サラちゃん、人生初のモテ期突入でしょうか。

大人たちの反応は、次回となりますー(笑

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