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ミルクティ色の仔猫の話  作者: おーもり海岸
1.サラちゃん はじめてのおつかい In 学院へ
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閑話 女帝さまは、子育てに悩む(弟と妹)

困っているようでいて、お姉さまは幸せなんです!

「誰が、女帝よ!」


15歳の乙女に向かって、女帝って…、言い出したやつ、出てこい!という気持ちでいっぱいなんですが、それよりも今の私には、解決すべき難題があるのです。


そう、私の愛する、弟と妹のこと。

簡単にいうと、この弟と妹は、ある種の天才たちなのです。


弟は、数学の天才で10歳にしてすでに、アカデミー(大学院)レベルの知識と能力を持つ、天才児。


3歳の時に、歩きながら「倍数」で歩数を数えていた時には、腰を抜かすかと思いました。

一歩あるくごとに、倍数をつぶやくのです。それも、すらすらと…。


「お姉ちゃま! あのね、ここからは、ばいすうでかぞえるの!

 1、2、4、8、16、32、64、128、256、512、…ね、僕、ちゃんとかぞえられるでしょ!?」

数学が嫌いな私には、考えられないことですが、楽しいそうです。(泣


5歳の時には既に税率計算と、領地の面積換算についてマスターし、私の仕事を手伝ってくれるようになりました。

あ、6歳には、金利計算も完璧にこなしていました。

私なんて未だに毎回苦しむのにっ!


そんな弟に勉強を教えるなんて凡人の私には無理なので、カールが5歳の時点で出来の良さでは引けをとらないアル義兄様へ早々にバトンタッチしました。

アル義兄様は、もともと自分の弟たちの面倒もみていらっしゃったので、教えるのも大変に上手。

学校の先生になったら、きっと人気モノだったことでしょう。


難しい数学でも聞かれたらどうしよう!とヒヤヒヤしていた私は、お義兄様に心から感謝した。


「アレクは、カールの事をどんどん褒めてあげなさい。それだけでいいよ」

もう、うちの馬鹿父に聞かせてやりたいお言葉ですー!


そう、ウチの馬鹿父が暴走してサラを連れて出ようとした時は、本気で焦ったわ。

満足に自分の着替えの用意もできない父が何を血迷ったのか、サラを連れて研究旅行に出ようとしたのだ。

まだ3才になるかどうか位の幼児を、砂漠だのジャングルだのに連れて行くだと!?

そんな事、この私が許す訳がないでしょう!


こそこそと出かけようとしていたのを見つけてサラだけを取り上げて、父は叩き出しました。

元々、研究ばかりに熱心で、家のことには無頓着な父でしたので、家の仕事に関しては居ても居なくても一緒です。

ですから、どこへなりと行っていただいていいんですよ。


ええ、どこで倒れても、結構です。その後は自己責任でよろしくお願いしますね!


元々体が弱かった母も、亡くなる寸前までサラを気にしていました。

当然ですよね、殆ど抱っこもしてあげられなかった末っ子を不憫にも思ったのでしょう。くれぐれも頼むと、父が暴走した場合には、放り出してよし!との言質もいただいていましたしね!

ええ、私は母似ですが、何か?


サラがその天才っぷりを発揮し始めたのは最近でした。

貴族の子女のたしなみとして、レース編みなどを教えていた時のことでした。

小さな花のモチーフを覚え、蝶のモチーフを編んでいた時のことです。


「お姉ちゃま、みて、ちょうちょが 飛ぶのよ?」

白いレース糸で編まれた蝶が、ふわりふわりと風にのって飛んでいるではないですか。

・・・サラ、貴女までですかっ!


ウチの天才ちゃんは、レース糸に魔力を籠め、更に魔法陣をそのモチーフの中に入れることで、自立型の魔道具として浮遊させてしまっているんですね。

ちなみに、レース糸に魔力を籠めた人の特性が出るらしい。私が魔力を籠めた糸で編んだ蝶モチーフは、細かい氷を撒きながら飛んでいた。

・・・なんで、上級魔法を使う自立型魔道具が、一瞬で作れてしまうかなっ!


まあ、仕方がない。

だって、シェンブルク家の子なんだもの。


ということで、保護者会を作りました。

アーティファクト三兄弟に、警備隊のエドを入れて万全の体制だ。


通常の魔道具は、魔石などを媒介にして作成するのだが、サラの場合は、レース糸でも毛糸でも魔力を込めてもらえば、その魔力を魔法陣の織り込んだモチーフで活性化させ、最小限の魔力で魔法を起動することができるのだった。


こんな事が出来るのは、例をみない。


今までは変態だけを気にかけれいればよかったが、今度は稀少な魔道具を欲する権力者まで相手にしなくてはならない。


サラが自分でその力をコントロール出来るようになるまでは、年長者がちゃんと守ってやらないとっ!


「サラは、お姉ちゃまを守るのよ」

と言ってサラがせっせと作るのは、守護の魔法を織り込んだレースのストール。

淡い光を放つそのレースは、中程度の魔法であれば無力化することができる。


う、ウチの妹は、マジ天使ですっ!

こんな小さい子が守ってくれようとするとか、お姉ちゃまはもう、涙が止まりませんよ!!

いい子になっちゃって、もう、嬉しいですー!


色々と心配ゴトは多いけれど、弟も妹も、超可愛くて、お姉ちゃまは幸せですよっ!!

弟妹を幸せにする為に、頑張りますっ!!


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