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ミルクティ色の仔猫の話  作者: おーもり海岸
1.サラちゃん はじめてのおつかい In 学院へ
26/72

その後. エドさんの日常

その後のエドさんはこんな感じで頑張っています。

「只今、戻りましたー!」

とりあえず、サラちゃんも無事に送り返して、一段落したので西地区の詰所に戻ってきた。

あの昼間に襲ってきた連中が西地区の詰所に留め置かれている場合、事後処理と書類作成がごっそりと残っているハズだ。

嬉しくない事実だが、これを片づけないと、明日からの仕事に差し支える。


「あれ?」

珍しく机の上に書類の山がない・・・。

いつもは先輩たちがめんどくさがった未処理の書類が山になっている。

たまに雪崩を起こしているのに、まだ積もうとする猛者もいるのに。


「おう、エド、戻ったか? 」

「あ、隊長、只今戻りました。 あの、書類が…」

「ん、ああ、エド、お前転勤になったから、明日から王宮警備に加われ。

 で、もう少ししたら迎えが来るからな、頑張れよ!」

「う、え? はあぁ!?」


オタオタしているうちに、迎えの馬車とやらが来て、自分は放り込まれました。

この手際の良さには、どこか覚えがある・・・手配をしたのは、多分あの家の兄さんだな。

笑顔の隊長と副隊長に見送られ、俺は王宮に逆戻りさせれられたのだった。



☆彡・・・☆彡・・・☆彡・・・☆彡・・・☆彡・・・



「エド、エドぉ、おっきしてー! 朝よ、ご飯食べないとお仕事におくれるよ」

ぺちぺちとサラの小さな手が、顔を叩いてくる。

うーん、もう朝かよ~。ご飯、朝ごはんは大切だよなー。


「あー、わかったわかったー、サラちゃん、起きるってー。」


おはようございます。エドです。

あの後に、王宮で説明を受けて、王宮警備の担当に変えられると同時に要人警護も命じられ、「アーティファクト家」付きの警護担当となった。


私兵とは別に王宮から貸し出される警護としてアーティファクト家の人たちに付くのが役目だ。

ついでに、下宿先であるシェンブルク家の人の警護もしている。


「おはようございますー、アルさん、早いですね」

「おはよう、エド。まだ、眠そうだな、大丈夫か?」

「アル兄ちゃま、抱っこしてー」

「ああ、エドを起こしてきてくれたのかい、ありがとう、サラ」

朝食の席には、既にきっちりと官吏の制服を着込んだアーノルドが居た。

お茶を飲みながら、仕事の書類に目を通していたらしいが、サラが来たので、さっさと片付けて膝の上に抱っこしてあげている。

うーん、兄さん、仕事もできて、家庭も大事にするって出来すぎでしょう。


普通は、雇い主というか上司と一緒に飯を食うなんて有り得ないが、アルさんは打ち合わせを兼ねて一緒に食べようと言う。

おかげさまで、毎日雇い主と同じか、俺の方が多いくらいでイイモノを食べさせて貰っています。


今日の朝食は、シャキシャキ野菜のグリーンサラダに、カリカリに焼いたベーコンとふわふわに仕上がったプレーンのオムレツ。パンは、アルさんはトーストで、俺はバケットにポテトサラダを乗せて焼いたモノだ。

サラはふんわりとたロールパンがお気に入りらしい。


アツアツのポテトサラダを気にしながらバケットにかぶりつく。ドレッシングのほのかな酸味とジャガイモの甘味に玉ねぎの辛味、食感が一緒になって美味いっ!

あー、下宿させて貰ってよかったなぁ、と思う瞬間だ。飯が美味いって最高だよな!


食事時のサラの面倒は、大抵アルさんが見ている。

本当にマメな人だ。


オムレツを崩して、ベーコンと絡めながら、つらつらと最近の出来事を思い出していた。


俺は、今まで下町の警備隊だったので、要人警護とかは門外漢だ。

なので、放り込まれました警備隊の養成学校に。

要人警護と王宮マナー、更に一般教養(王宮編)まで、再教育だそうです。もう勉強したくないから、さっさと警備隊に入ったのに!


朝から晩まで、要人警護の訓練で基礎を叩き込まれ、その後は実習と称して警備にあたる物凄い詰め込み教育だった。


「おー、促成栽培でもなんとかなるもんだなぁ!」

詰込み教育担当の部隊長が、しみじみと言っていた。

いや、人で実験するのは、止めていただきたい、絶対に!


やりたくない学生生活をもう一度繰り返し、諸々の試験になんとか受かったのは3ヶ月だった。

通常の警備隊の予備学校が1年なので超短縮版にして頑張った自分を褒めたい。

そして、もう教科書とか見たくないっ!


いきなり引っ張ってきたのは、やはりウォルフの報告を聞いた長兄のアーノルド・アーティファクト様で、出会った初日にすべてを手配してくれた。


「面倒なので、私のことはアルで構わない。公式の場以外では敬称もいらん。

 君の下宿の荷物は、勝手にシェンブルク家に運ばせてもらった。あそこに下宿したまえ。

 私もシェンブルク家に殆ど居るので警備上の問題はないだろう。

 執事には、連絡をしておいた。今日からでも住めるので安心したまえ。

 何か質問は?」


濃い栗色の髪に、仕事中は整った顔立ちに似合う細いフレームの眼鏡を着用。王宮の眼鏡大好き女子の注目の的である。まあ、メガネの中で光る淡い若草色の瞳が人によっては冷たく見えるかも。


・・・ここは抵抗しても無駄だと思うので、この状況にのることにしよう。


「いえ、ありません、アル兄さん」

この人を少し視線を少しでも書類から離したかったんだが、成功したらしい。

書類から目を上げて、アルさんがニヤリと俺に笑ってみせた。


「今日は、サラが失礼した。その上、ウォルフやアレクまで世話になったらしいな。」

「いえ、俺の方こそ、色々と助けてもらいましたから」

ペンを置き、改めて俺に正面から向き合う姿は、流石の迫力だ。思わず後ろに下がりたくなる。


今はもう慣れたけれど、アルさんは正面から見ると視線がキツい。大抵の人はビビる。

本人も解っていて、なるべく目線を合わせないようにしているらしい。


キツい印象があるけど、実際は細やかな気配りをする優しい人だ。

俺も結局、お世話になっているしなぁ。

これからも宜しくお願いしますよ、上司さま。と心の中で拝んでおく。


「エド、今日はサラも王宮に行くので、後宮の方まで連れて行ってもらっていいか?」

「は、了解です。書類、多そうですから執務室まで持っていきますよ」

「ああ、助かる。 書斎にある本も幾つか持っていきたいから」

「わかりました。馬車へ運んでおきましょう」

我が上司殿は、既に大量の書類に目を通されていたようで、資料を含み、王宮に持っていかなくてはならない。めぼしい物は全部持っていった方が良さそうだな。


幸せな朝食を終わらせ、身支度を整えて馬車に向かう。

途中、執事さんに笑顔で「お弁当をお持ちください」とサラちゃんのおやつ用と、俺の昼飯用の弁当をもらった。助かります~っ!! 会議の護衛だと飯食えない事も多いので。

サラちゃんのおやつは、マディに渡しておこう。きっとお茶の面倒も見てくれる。


サラちゃんは、週に何度か後宮の正妃さまのところへ通っている。

名目は、「正妃さまに、手芸を習っている」なんだが、実際は、サラちゃんが他の人に教えている。

それも、『魔法陣のレース編み』を。

前にアレク様が、「ウチの弟と妹は、天才枠だから気をつけてね」と言っていた意味がわかった。

今はまだ情報は公開されていないが、バレたら各国から引き合いが来ること間違いなしだ。


ということで、最近はトップシークレット扱いのサラちゃんを連れて、アルさんと王宮通いだ。


王宮に着くと大量の書類と資料を詰め込んだ箱を担ぎ、サラちゃんと手をつないでアルさんの執務室へ行く。


アルさんの執務室では、副官のクレマンさんが笑顔で出迎えてくれた。

クレマンさんにアルさんの資料を渡して、サラちゃんを後宮へ送っていく。


「エド、後でお迎えに来てくれる?」

「お昼に一度様子を見に来るよ。何かあったらマディのとこに行きなさいね」

「はーい」

サラちゃんのいいお返事を聞いて、アルさんの執務室に急いで戻る。

この後は、アルさんのお供をして会議。終わり次第に別部署への視察が入っている。事前に会場をチェックしないと。早足から駆け足に変わる。


こうやって、慌ただしい一日が始まった。


ついこの間までは、自分が王宮の中を走り回っているなんて想像もしなかったけれど、これはこれで満足している。

多少、ハードではあるけれど、飽きの来ない生活だと思っている。


「エドさん、サラちゃんが居なくなっちゃったよー。どこに行ったのかなー」

「うぇ、またか! 探してくるから、マディはアルさんとこ見てきてくれ」

「わかった、行ってくるよー」


うん、こんな毎日を俺は頑張っています。



長くなりそうなのを、必死で切りました(笑

アーノルド兄さんだけ、単体で書こうかしら。。。兄好きの血が騒ぐわー!


もうすぐ、第二章。頑張ります!

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