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ミルクティ色の仔猫の話  作者: おーもり海岸
1.サラちゃん はじめてのおつかい In 学院へ
22/72

21. 仔猫は、眠り、 保護者は踊る

保護者さんたち、ご苦労さまです。

もう、そろそろ、の筈なんですが。

この時のことを、エドさんの胸ポケットの中で眠っていたサラはほとんど知らないのですが、

なかなかに大変だったそうです。


学院の中に詳しい殿下や、マディさんと別れて、単独行動となったエディさんは学院の中では、浮きまくり、どこからどう見ても不審者です。

場所を聞こうとしては、女子学生に悲鳴をあげられ、そのことで地味に傷ついていました。

簡単に言うと変質者扱いですね…。サラが起きていたら、そんな事はなかったんでしょうが。


それでも、なんとか追手をかいくぐり、人気のない中庭の東屋に来た時はほっとしたようです。

「キャーって叫ぶ、女の子がいない場所って、平和だ…」

…女の子がトラウマになりそうですね。



エドさんSide>


とりあえず避難した東屋で、助っ人が来るのを待っていた。

ここは、あの人に助けてもらうしかないだろう。

そんな事を考えていたら、あの人は、背後から見事に気配を消してやってきた。


「…おっせーよ、ウォル義兄さん」

悪態はついてみたが、走り回った末にここへ辿り着いたのに、よくこの場所がわかったものだ。

やはりずっと監視してくれてたらしい。普段なら監視は嫌だが、こうなると心強いな。


「文句言うなって、俺だって学院ここじゃ部外者なんだぞ!」

「知るかよ、こっちは、もっと部外者だよ!」

文句を言いながらも水筒を渡してくれた。流石に準備がいい。

ウォルフの支援があれば、結構逃げ回れそうだ。騎士学校の首席は伊達じゃないなぁ。

その上、エリートの割に付き合いやすいのは、本気で助かるわー。


「あれ、サラは?」

「ん、ああ、ここにいる」

上着の襟を広げると、内ポケットにすっぽりと嵌ってすやすやと寝ている仔猫がいた。

仔猫は狭い処にすっぽりハマると安心するらしく、サラは、すっかり内ポケットがお気に入りになってしまった。


「あーあ、やっぱり途中で寝ちゃうか。まだまだ一人では外に出せないなぁ」

「しょうがないだろうよ、まだ、こんなに小さいんだ。エネルギー使い切ったら寝ちゃうよ」

ウォルフはそう言うが、小さい子が食事の途中や、歩いている途中で眠りに落ちないだけマシだ。

魔力を使いすぎて、その場で寝落ちする奴もいるくらいだからなぁ。


「しょーがない奴だなぁ、こらー、ウチ帰ったらアル兄貴に叱られるゾ~!」

と、優しい目で眠っているサラを見ながら小声で呟いている。


「・・・なぁ、サラちゃんは、人間の女の子、なんだよな?」

「ああ、このふわふわの毛がこのまま髪の毛の色にしたら、ウチの可愛い末妹だ。

 姿が戻ったら、挨拶させるよ、楽しみにしてろよ~!」

・・・ウォルフも、なかなかの妹バカらしい。

それならと、ずっと気になっていることを、聞いてみることにした。


「変身魔法術を使っているなら、なんで今、元の姿に戻れないんだ?」

「あー、それねぇ。ちょっと複雑なんだけど、エドだから、まあ、いっか・・・」

ウォルフは、ガシガシと頭を掻きながら、言い淀みんでいたが、決心したように教えてくれた。


「サラが自分で術をかけたんだが、まず、自分で、解術ができない。

 その上、アレクの魔法が込められたリボンに、『解けないように』術をかけたもんだから、

 サラの力だけでは、元に戻れなくなっているんだよなー。本人は、気づいてないけど」

「はぁ!?」

それって、・・・そんな危険な事をさせておいて、いいのか、ねぇ!?


「ああ、アレクがこの手の解術は、完璧にしてくれるから平気だよ。

 どうやら、サラはアレク姉さまに見て欲しかったらしくてね。

 そう考えたら、後先なんて考えないからなぁ・・・」

「まあ、確かに・・・サラちゃんだからね」

下手に止めると、あさっての方向へ暴走することは、今回の事でよくわかったからなあ。

でも、子供の行動力にしてみたら、有り過ぎるだろう!


「だろ?・・・・・・まぁ、帰ったら、みっちり叱らないとなぁ」

「お兄ちゃん、ご苦労さまです。」

叱られた位で、サラちゃんがおとなしくなるとは思えないけれど、それでも、いけないと言わないとそのままになっちゃうからなぁ。保護者は大変だ。

その時は、結構自分の事は棚に上げていた。自分が叱る立場になるなんて、思いもしなかった。


とりあえず、二人で逃走経路を相談し、更に、みんなで落ち合う場所について、簡単に目安を付けた。

どうやら、さっきのイヤミ貴族がしつこく絡んで来ているらしいが、振り切れば後の始末はやってくれるとの事。

誰がって言えば、今回の事に、大変お怒りのサラちゃんのお姉さまが。


・・・イヤミ貴族御一行様は、この学内で、一番怒らせてはいけない人を、怒らせてしまったという事実をまだ知らない。

ってか、知らない方が幸せなんだろうなぁ。


噂に聞く、冬の女神様、氷の女帝様のお怒りなんて、受けたい訳がないんだから。










ここまで、読んでいただいてありがとうございます!

今回は、おにいちゃん達会議でした。


ウォルフは、「腹減ったし、シメるヤツをちゃっちゃと締めて、ウチ帰ろうぜー」って思っています。

シメるのは、決定なんですね、お兄さん(笑


そろそろ、姉さまの出番ですかね?

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