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ミルクティ色の仔猫の話  作者: おーもり海岸
1.サラちゃん はじめてのおつかい In 学院へ
21/72

20. 仔猫は、探し、捜され中です。

ぶらり観光のはずですが、なぜでしょう。

逃げ回っています・・・あれ?

エドさんに抱っこされながら、近くの教室を見て回ります。

もう、授業が終わっているせいか、生徒の姿もまばらなので、気にせずに歩きまわれます。


巻き込まれた縦ロールちゃんも付き合ってくれました。

へんたいさんと、おしゃべりをする余裕も出来てきたようです。


「まあ、では、ノルベルト殿下の仔猫ちゃんでは、ないのですか?」

「ああ、あの子は自分の意思で、ここへやってきている。

 私は偶然に出会っただけなのだよ。是非うちの子になって欲しいのだがねぇ」

ため息をつくへんたいさんに、縦ロールちゃんも、微妙にうなづきづらいですよね。

それは、そうでしょう・・・。

サラに引き続き、殿下もご迷惑をおかけします、縦ロールちゃん。


そんな風に和やかに会話をしながらも、教室を見て回ります。

1年生、2年生、普通教室を見て回りましたが、お兄ちゃまは見当たりませんでした。


うーん、もういないのかなぁ。

でも、今日も帰れないカモって、連絡がくるくらいだから、多分まだ学校にいるはずなんです。

特別教室にいるのかな。お兄ちゃま、クラブとかあるのかなぁ。


探しながらも、一応、学院見学はさせてもらっています。

中央のホールがとっても広くて大理石床に天井はドーム状になっているのを見せてもらいました。

エドさんの肩の上で、ドーム型の天井を見上げて、見上げすぎて後ろに落ちそうになりました。

マディさんが、落ちる前に支えてくれました。ありがとうー!


正面玄関のところには、大理石の大階段。ここには、ふかふかの絨毯がひかれています。

歩かせてもらったら、ふかふか過ぎて足が埋まってうまく歩けませんでした。

よたよたしていたら、エドさんが「な、だから無理って言っただろう?」って抱っこしてくれました。

でも、でもっ、大きくなったらきっとこんなフカフカのとこでも上手に歩けますよ!

きっと、大丈夫なんですからねっ!

エドさん、何で笑うんですかーっ!?


学院の有名なところを案内してもらいながら、お散歩しているようで、楽しいです。

それに、エドさんに抱っこしてもらっていると安心で、温かいし、眠くなってきてしまいました。


「サラちゃん、眠いのか?

 それなら、懐に入ってな。こっちの方が眠り易いだろう」

エドさんの懐の中に入れてもらったら、すぐに眠ってしまいました。

あったかいんだもーん。


「あーあ、眠いのに無理して頑張っていたんだね、お嬢は」

「まだ小さいのですから、当然でしょうねぇ。少し眠らせてあげましょう」

「では、その間に移動もしておこう。」

マディさんになでなでしてもらっいながら、寝ているって贅沢だよね。

縦ロールちゃんは、優しい上に面倒見がいい。結局付き合ってくれているんだもの。



エドさんSide>


一階の各教室や、玄関ホール等をみて、階段で二階に上がった。

二階は、特別教室もないので、順に教室を回って終わった。


三階は、噂話から、ちょっとした魔窟状態となっていらしい。どうやら、ノルベルト殿下が仔猫を捕まえて来たっと。そして、溺愛していて人前に出さないようにしている、などなど。

その中で、ひときわ不思議な噂が流れていた。


「仔猫に、触ると幸運がやってくる!」と。



・・・何かどうして、そんな変な話題が出てきたのか、教えて欲しいものだけれど。


さっきから、男女問わず、

「仔猫はどこですか?」

「仔猫に触りたいんですけど」

と言ってくる生徒がなんと多いことか。


流石に、殿下がいるので、無理に見たいとか、触りたいとか、言ってくる人間はいないが、これ以上増えると先に進むのも困難になってくる。

今は懐で寝ているサラちゃんも起きれば確実に標的にされるなぁ。なんてのんきに思っていた。

所詮、学生のすることなので、逃げるのは造作もないことだ。大丈夫逃げきれる。


なんて、思っていた、さっきまでの自分、今の俺に謝れっ!


「こっちだ!」

バタバタとした足音が近づいてきた。一人や二人ではない。十数人にグループの足音だ。


「? 何事だ」

「ノルベルト殿下、未認証の不審な仔猫が入り込んだとの通報がありました。

 速やかに、お渡し下さい。 警備隊の方で身柄を預かります!」

かしこまった言い方をしているが、彼らがこちらの味方ではないのは、明白。

いま捕まって、サラちゃんと引き離されるのは得策ではないな。


学生に警備隊、両方から捜されてしまっているようだ。

「とにかく、ここは、エドを逃がして、仔猫ちゃんを隠さないと。」

ノルベルト殿下が、マディに小さく囁いた。

マディが小さくうなづいて、警備隊の前にでる。交渉を一手に引き受けてくれるらしい。


そのスキに、俺は別行動をとることにした。

マディが声を大きくして、引きつけてくれている。

体の影でこちらに向けた手のひらで、「行け」と示している。


本当に、サラの旅は、一筋縄ではいかない。

ゴールまで、あと少しのはずなのに。


胸元の暖かさを撫でながら、そっとその輪から抜け、脇道に逸れたところで走り出した。


「見守っているハズのウォルフ義兄さん、そろそろ助けてあげてくださいよー」

未だ姿の見えない救援を待ちながら、校舎内を走るのだった。



サラちゃんは、おネムなんです。

エドさん、頑張ってください。そろそろ、あの方が来てくれるハズ!

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