13. 仔猫は、抜け道を教えてもらいます!
ハイスペック変態さんと、交流。
エドさんに叱られたへんたいさんは、色々と言い訳をしていましたが、
結局は、
「仔猫にへんな事を教えるんじゃありません!!」って、
もう一回怒られていました。
エドさんに、叱られたもの同士、ちょっとだけ、親しみが湧いています。
「ん? 王立学院に行きたいなら、抜け道を教えてやろう」
て、へんたいさんが言いました。
抜け道なんて、あるんだー。 へんたいさん、詳しいですね!
「助かりますけど、教えちゃっていいんですか、その抜け道。」
「かまわんだろう。王宮警備隊の連中でも知っている方の抜け道だ。
王族専用の方でなければ教えても支障はない。
それに、抜け道を使った方が、人目にもつかないだろう?」
わあ、いい人だあ! エドさんは、心配そうだったけれど、王宮警備の人も知っている道なら、後で問題にもならないだろう、って言っています。
「・・・もしかして、ノルベルト殿下、その道を通学路になさってました?」
「ああ、よくわかったな。面倒な連中にも会わずに済むので、いいぞ。」
通学路なら、まだセーフかなぁ・・・。とエドさんがぶつぶつと言っています。
なんでも、秘密保持の為に、捕まっちゃったりする事もあるんだって! そ、それは、怖いっ!
あれ、へんたいさんって、王立学院の学生さんなの!?
・・・なんだか、似合わないんだけど。
「ノルベルト殿下は、これでも前生徒会長だよ。今は最高学年なんで、役職はないみたいだけどね」
「優秀な者が高等部に上がってきたのでな。さっさと会長職を譲ってしまったのだよ」
・・・あれ、お姉ちゃまが今の会長で、へんたいさんが前の会長さん。
へんたいさん、お姉ちゃまの先輩さんですね!
わあ、お姉ちゃまに会ったら、へんたいさんの事言わなくっちゃ! きっと知っているよねっ!!
段々、へんたいさんと、叱られ仲間以上になれそうな気がしてきました。
「・・・サラちゃん、面白そうって思っても、知らない人に近寄っちゃだめだよ。
お菓子くれるって言っても、ついて行っちゃダメだからね!」
エドさんに抱っこされながら、厳重注意を受けました。
うーん、なんでバレたんだろう。エドさん、鋭い。
お菓子は、ちょっと欲しいかな~・・・、はい、ごめんなさい。気をつけます。
ますます、エドさんの信用を無くした気がする。
全然、歩かせてもらえなくなりました! うう、自業自得でしょうか。
エドさんに抱っこしてもらったままで、へんたいさんに道案内してもらいながら、学院を目指します。
さっきは、巨大迷路だと思っていた生垣も、抱っこされて高いところから見ると、ちゃんと出口がわかります。
サラだって、きっと大きくなったら、この位の迷路、ひょいって抜けられるようになりますよ!
今は、ちっちゃいから上手に抜けられなかっただけですからねっ!ってエドさんに主張したら、ハイハイって撫でられた。うー、絶対にできるんですからね!!
へんたいさんに教えてもらった道をちゃんと覚えておこうっと。それで、お姉ちゃまとおにいちゃまをびっくりさせるんだ~♪
アレク姉さんSide>>>
ようやく底が見え始めた書類箱を見ながら、ため息をついた。
「これなら、サラが来たら帰れそうだな。」
「そうですね、でも姉上でもこれだけ大変なのに、前任者はよくやっていましたね」
カールも、とりあえず山場を超えた判断したのが、ほっとしている。
折角、サラが会いに来てくれても、一緒に帰れないのでは、さみしすぎるからな!
「前任者は、ハイスペック変態のノルベルト殿下だからな。
年中、警備隊の犬や、街中の猫を追い回しているのに、仕事は全部片付ける。
その上、学業でも今まで首席以外とったことがないだろう、あの人は。」
「・・・この学院の生徒会長には、代々、ハイスペックの呪いでもかかっているんですか?」
カールが嫌そうに言う。心配するな、数年後の生徒会長は、カール、お前だ。
第四王子で、王位を継ぐつもりのないノルベルト王子は、なんとも好き勝手をしている。
仕事や、学業に於いては抜群の評価を受けながら、社交界では、変人で通っている。
夜会に出ても、特に相手探しをする様子もなく、犬や猫、珍しい動物の話を延々として周りを煙にまいてしまう。ドレスの貴婦人よりも、警備に来ていたウルフ・ハウンドを選んだとして、変人扱いである。
狙ってやっているのか、本心からなのか、読めない人だ。
ん? 犬や猫に目のない殿下。サラを見つけたら・・・
いやいや、そうそう学院にいる殿下と、サラが出会う可能性は少ないだろう。
きっと大丈夫。そう信じたい!
姉が嫌な予感に苛まれている頃、サラとへんたいさんは、出会ってしまっていた。
その嗅覚のよさは、なんだろう。 煩悩のなせる技なのか。
ともあれ、サラちゃんの近くには、エドさんがいるので、殿下がサラを浚うという最悪の事態は防げていた。
学院までは、あと少しだ!
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
お姉ちゃま、心配の種はつきないね。