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ミルクティ色の仔猫の話  作者: おーもり海岸
1.サラちゃん はじめてのおつかい In 学院へ
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9. 仔猫は、逃げたいっ!

いつの間にやら、賞金首となりました。

人気者というべきなのか? (違

「にぁっ♪ にぁっ♪ にぁっ♪」

エドさんも、ベルさんも、無事なのがうれしくなって、駆け寄ります。

エドさん、だっこ~…

あれ?

ふと、目の端に何かが見えました。


横を見ると、小さいねずみのおもちゃがありました。 あ、鈴もついているんだ。

動くたびに、チリンチリン♪とかわいい音がします。

ねずみのおもちゃに目は釘付けになり、思わず、追いかけてしまいました。


『わあ、ねずみのおもちゃー!』

『…! サラ、戻れっ!!』

ベルさんの声に、はっとなり、気がついたら目の前には帽子を深くかぶった男の人がいます。


「ほぉ、なるほど、珍しい毛の色だな。茶でも、金茶でもない。うすく桃色をのせたような…

 うむ、これは是非、持って帰りたい。」

ぞわっとしました。逃げなくちゃいけないのは、わかりますが怖くて、怖くて動けません。

やだ、触んないで~っ!


「ガアァウッ!!」

「う、うわぁぁぁ、ウルフ・ハウンド!!」

駆け寄って来たベルさんの威嚇で、男の人は、転がるように逃げて行きました。

ああ、怖かったよう。


「こっちだっ!」

「いたぞ、例のウルフ・ハウンドも一緒だ!」

「金貨だーーー!」

ひえぇぇぇぇ、一体何人いるんでしょう。私は金貨じゃありませんよぅ。


『これは、キリがないな。サラ、エドに匿ってもらえ!』

ベルさんは、そう言うと私のリボンを咥えて、頭を左右に揺らし、ポーンと放り投げた。


「ミニャッ!?」

上手に放物線上を描いて、サラはエドさんの手に捕られた。

やっとエドさんに抱っこしてもらえたので、思わずしがみついてしまった。


「うまいぞ、ベル!

 よしよし、サラちゃんは、少しの間、俺の懐に入ってな。すぐに済むからな~」

そう言いながら、騎士さんの制服のボタンを開けて、サラを撫でながら、制服の内側の大きいポケットに入れてくれた。もう、外の人が怖かったので、エドさんに抱っこされてとても安心してしまった。


「誰だ、賞金なんかかけやがったのは! ウチの隊のウルフ・ハウンドにまで手を出そうとはいい度胸だ」

『サラは、わかるが、なんで、オレまで・・・』

えー、だって、ベルさんカッコイイもん。

子供たちにも大人気だったし、とっても強いし!


「どうやら、二頭セットで、金貨3枚出すっていっている好事家バカが出た。

 ベルの背中に乗っているサラを見て、セットでほしいと、言い出したらしいぞ」

・・・これが、好事家というものなんですね!

目の付け所はいいんだけどなぁ。手段が残念だよね!


結局、寄ってくる賞金目当ての悪党達を、エドさんは、難なく倒してしまった。

・・・5人も。エドさんって、何者!?

そして、ごめんなさい、エドさんの実力を見くびっていました。


「このままじゃ、キリがないな。それに賞金が出るとわかったら、まだまだ増えるだろう。

 こうなったら、学院へ直接行かないで、離宮の方から入って行こう!」

王宮の中に入って、離宮の方から学院へ回れば、王宮警備隊や、近衛隊の人も居るし、警備も厳しくなるので、ゴロツキさん達は近寄れなくなるんですって。


大分邪魔されましたが、学院、近づきましたよ! お姉ちゃま!




さて、その頃のアレク姉さん >>>>>


「なんですって、サラが狙われている?」

本当に待つだけというのは、辛いのだと噛み締めています。

可愛いサラが、一生懸命に会いに来てくれているのに、邪魔だてする者がいると!?


「ええ、姉上。サラが警備隊のウルフ・ハウンドの背に乗っている姿が可愛いと、

 城下で評判になったそうです。

 その評判のせいで、一部の好事家が、賞金を出し、ゴロツキや、チンピラの類を煽ったようですね」

「・・・まぁっ! なんてことかしら!」

 許せません。可愛いサラに手を出そうとするのも、そのサラを助けてくてた素敵な犬さんに手を出すことも!


「カール、警備隊に引き渡されたこの連中から雇い主の情報を集めなさい!

 ウチの子に手を出したら、どういう目にあうか、思い知らせてあげましょうっ

 アル義兄さまにも、連絡を。

 『サラを狙う不届きものがそちらにいますので、宜しく。』と言っておけばお解りになる方だから」

依頼者が貴族であるというのなら、こちらにもやり方というものがあります。

何なら、社会的に抹殺して差し上げますわ!


「姉上、落ち着いてください。 そんな禍々しいオーラを放っていると、サラが怖がります」

「・・・・・・そ、そうね、そんなに黒かったかしら、気をつけないと!」

いけないわ、思わずどうやって懲らしめてやろうかと、想像を巡らしていたものだから。

サラと離れると、これだから。癒しがないって、ダメよね。


「・・・カール、サラを助けてくれている素敵な犬さんとサラの画像ってあるのかしら!?」

「そうですね、それは、すぐに手配しましょう!」

真っ白なウルフハウンドに守られているサラ・・・、いいわあ! これは絶対に見逃せないわっ!!


この後、サラは、仔猫の姿をしている事を知り、いつもは冷静沈着で通っている「氷の女神」の執務室から、

「きゃあぁぁぁぁぁぁっ! 可愛いっ、ウチの最高っ!!」と、叫ぶ声が聞こえたとか。


すみません、まだまだ、好事家たちは追いかけてきます。

サラちゃん、頑張ってくれ・・・!

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