表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミルクティ色の仔猫の話  作者: おーもり海岸
1.サラちゃん はじめてのおつかい In 学院へ
1/72

1.仔猫は、待っていられない

短編にしようかと悩みましたが、とりあえずヨロヨロ運転ではじめてみます。よろしくお願いします!!

私のお姉さまは、

氷を日に翳した時の綺羅をそのままにしたような銀の髪と、宝石のような紫の瞳を持つ、それはそれは、きれいな人なのです。

私のお兄様は、

春の日を溶かしたようなやわらかい金色の髪に、若葉のような優しい緑色の瞳を持つイケメンなのです。

イケメン、っていうとお兄様が嫌がるのだけど、多分、ほめ言葉なんだと思うの。


そして、三番目の私、サラは、

うすぼんやりとした茶色とも金ともつかない髪に、いまひとつ はっきりしない金茶色の目を持つ、

できそこない娘なんです。



春になって学校が始まり、お姉さまもお兄様もなかなかおうちに帰って来れません。

大好きなアレクお姉さまは、すごく優秀で「生徒会長せえとかいちょう」というものになられたそうです。 (執事さんが教えてくれました)

さすがは、お姉さまですねっ! 

でも、生徒会のお仕事がすごく忙しいそうで、なかなかおうちに帰ってきてくれません。

今年の春からは、カールお兄様も学院に通っています。まだ10歳なのですがカールお兄様は、天才だから特例とくれーで、飛びすきっぷするんだそうです。よくわかりませんが、これもすごいことだそうです。

おうちの執事さんもメイドさんたちも喜んでいたので、いいことだと思います。


でも、でも、私はあんまりうれしくありません。だって、大好きなアレクお姉さまにもカールお兄様にもなかなか会えないんだもの。

これって、わがままかなぁ、と思って我慢しているのですが、もう一週間もお二人のお顔を見ていません。

こんなことは初めてなんです。お母様は私が1歳の時に亡くなって、お父様は「研究」でいつもお出かけですが、お姉さまとお兄様だけはいつも一緒にいてくれたのに。


アレクお姉さま、カールお兄様、早く帰ってきてくれないかなぁ。

表に面した窓に頬杖をついて、馬車が来ないかと、ずっと待ってしまいます。






「…無能。 さっさと去れ」


私の目の前でぷるぷると震えていた男子生徒は、私の言葉を聞くと同時に駆け去った。言葉を聞き取れるなら最低限の仕事位してくれ。時間の無駄だ。


「・・・姉上、これ以上 人を減らさないで下さい。それなりに使い様はあるんですからね。」


ため息をつきながら、私の投げ捨てた書類を拾い上げる我が弟カールは、なかなかにいい性格だと思う。この春に入学したばかりだが、使える奴は全て使う。

でないと、この鈍重な生徒会の仕事が終わらん。

今まで生徒会にいたメンバーが卒業し、新たなメンバーに代わる。 慣れた人は減るのに新学期のことで仕事の量はうなぎのぼりだ。 社会に出た時のシュミレーションだとほざくが、大人が楽したいだけ、ではないのか?と私は疑っている。


「…ミルクティが足りない。」

思わずつぶやきが漏れる。


「はいはい、 淹れましょうか? それとも我が家の?」


・・・本当に性格のいい弟だ。

わかっている癖に追い討ちをかけてくる。多分、自分も学校に留め置かれるのが不満なのだろう。将来の事を考え、さっさと学校を終わらせようとしていたのを、無理やり生徒会に引っ張り込み、コキ使っているのだから。

可哀相か、と思う反面、弟だけ早くに帰って妹に構うだなんて、許せない!

やはり、当分、コキ使おう。 弟とは、姉のパシリであるべきだ。


「・・・姉上、なんか、ろくでも無い事を考えていたでしょう?」

と聞かれたので、とぼけておいた。 察しのいい弟で嬉しいぞ、姉は。


我が家は三人兄弟だ。長女の私アレクサンドラから5歳離れて弟、カール。更に5歳離れて、妹のサラディナとなる。長女の私も、弟のカールも褒められた性格ではないが、どういう訳だか妹のサラは天使のように可愛い。生まれた時からの私の許嫁、ウォルフに言わせると、「シェンブルク家の奇跡」なんだそうだ。

褒められると同時に貶された気がしたので、軽く蹴り飛ばしておいた。

妹のサラは、5歳。 可愛い盛りだ。姿を見つけると走り寄ってくる姿に、わたしカールを好いてくれているのがよくわかる。

「お姉さま、大好き!」と言って抱きついてくると、ウチの妹は、マジ天使!と叫びたくなる。

(妹バカ上等だ!)

姉の私と違って、温かみのあるミルクティ色のふわふわした髪は、なでるととても気持ちいい。仔猫のような琥珀色の目は、とても表情豊かだ。柔らかいサラを抱っこしているだけで、癒される気がする。たまに弟と取り合いになるが、負ける気はない!

ただ、サラは可愛いすぎて、外に出せない。先日の姉、兄、義理兄による保護者会議の際も、「不逞の輩に絡まれる可能性が高い為、サラの単独外出は、絶対禁止!」と決めたばかりだ。

過保護だと? そんなことは、サラと外出したとき毎回複数のロリコンに絡まれたり、拐われそうになっている事実を考えてから言って欲しい。まあ、全部撃退したがな。


そんな事を考えていたら、どんどん妹に会いたくなってきた! さっさと仕事を仕上げて伯爵家うちへ帰り、妹を堪能するのだ!






さっき、執事さんが来て、

「多分今日も、アレク姉さまとカールお兄さまは、お戻りになれないとのことです。」

と残念そうに教えてくれました。


ちょっと泣きそうになったけれど、一生懸命「お仕事がんばってくださいって、言ってね」と言いました。

うん、本当は、さみしいんです。 すっごく、かなしいんです。

お気に入りのソファーのクッションに埋もれても、気分が落ち込みそうになります。


・・・そうです、お姉さま達が帰って来れないなら、私から会いに行ったらいいんですよね。

いえ、こっそり行って、物陰から、そおっと見るの!それで、帰って来たら、あの時観ていたんですよって驚かせるの!!

内緒で、お姉さまや、お兄さまを見に行くのは、すごく素敵な思いつきです!

ああ、なんだかワクワクします!


そして、内緒でお出かけする方法を、思いつきました!

待っていてくださいね、お姉さま、お兄さまっ!!


本日、二話投稿できるといいんですが。。。がんばります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ