こんさば。
ねえ。覚えてるかな。
あの日も確か、粉雪の舞う、寒い日だった。
あのことを未だに忘れられない僕は、女々しいのかも。
でも、僕の中ではずっと消えてくれていない。
それほどに大きな出来事だったんだ。
君は突然、僕にこう言ったね。
「明日から、会えない。話すこともない。今日限りだ」って。
目の前の景色がぐにゃりと歪んだよ。
それくらい、ショックだった。
君に僕の気持ちを伝えても、君は頑として譲ってくれなかったのはどうしてなんだろうと考えることが、今でもあってね。
きっと二人のために必要な別れだった。
それを薄々感づいていたからこそ、あの日の君は、はっきりと別れを告げたんだろう。
なら、あの時の僕は何かできたのではないか。
ああいう残酷な最後を迎えずにいる道は、なかったのか。
どうして僕らは、その最悪の結果を招いてしまったのか。
答えが出ない。
粉雪が舞う空を見ると、いつも思い出す。
けれど、考えがまとまることは、今まで一度もなかった。
君は今どうしているのだろう。
どこにいるのか、そもそも生きているのかすら、わからない。
あの別れは本当に正しかったのだろうか。
連絡先だけでも教えるべきだったのではないか。
今からでも探すことはできないのかと思って、それなりの筋に頼んだこともあった。
まあ、無駄足だったのだけども。
ねえ。あれからずっと後悔ばかりだよ。
粉雪を見ると、思わず立ち止まって、後悔ばかりしてしまう。
僕は君のことを忘れられない。
粉雪は、僕を……
即興小説トレーニングより
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お題:僕の嫌いな粉雪 制限時間:15分