【春告編閑話休題】和なる装い それぞれ
閑話休題的な話。
飛ばしても別に支障は全くありません。
某RPGのフェイスチャット的なノリで考えてもらえれば。
〘和なる装い、それぞれ
-イーハイたちの場合-〙
「げぇーッ。イーハイそれ見てるだけで寒いんだけど」
「そう? 上着があれば問題ないかなって思ったけど」
「…………まじ?」
王都リューンの知り合いの仕立屋から貰った和服に身を通したイーハイを見たおーなーは、まじまじと彼の装いを見て身震いをするような仕草をした。
それもそのはず、この雪に囲まれた状態で気温も当然低い『東極国』の中で彼は何と肩から手首のガードまでが剥き出しの状態になるような服装だったからだ。
あっけらかんとしてそれを着ているイーハイの姿はおーなーからしたらありえないのだが。
イーハイはおーなーの姿をじっと見つめ返す。
「…………。それを言ったら君こそ、それ、いる………?」
おーなーは今、浴衣を着込んでいた。
………ひよこサイズの。
どうやら自分の魔力で編んだらしいそれはちゃんと鳥の形に可動するようになっているらしく、変なところにこだわりが見られた。
「ぴーーーーーー!? 要るに決まってんでしょ温泉舐めてんのイーハイ!? 温泉に入ったら浴衣! 浴衣を着てコーヒー牛乳を一杯! 嗜みと定石でしょ!?」
「結構な感じで怒られた!? いやその拘りまでは否定しないけど!」
「というわけでこれは要るの!! 雰囲気は大事なのッ!」
「な……なんかすまん」
「ほっほっほ、まぁ、おーなーの気持ちは分からんでもないのぅ」
「アマノ! ……な、なんか妙に似合ってる」
「おー、いいねー。ポニーテールじゃん。しんせーん」
二人の言い合いの途中で現れたのはアマノだった。
ところどころが光に当たると少しだけ緑に反射する黒い生地が特徴の和装に身を包み、長い赤毛を頭の高い位置で結い上げていた。
「うむ。せっかくなら、ちゃんと纏めようかと思ってのぅ。多少重いのじゃが、まぁいいじゃろて」
「ふーん、いつも伸びほーだい放置しほーだいだったから気にしてないのかと思った」
「手厳しいのぅ、おーなー。儂とて、たまにはの」
「…………もしかして、結構楽しんでるとか?」
イーハイが聞けば、アマノはにやりと笑って。
「さぁ、どうかのぅ?」
と、返した。
〘和なる装い、それぞれ
-ルッツたちの場合-〙
「………よし、できたぜ。マキシマ」
ニックスが帯から手を離すと、マキシマは勢いよく振り返ってお辞儀する。
鉄製のデッサン人形のような体を持つ彼だったが、和装に興味があったらしい。
王都リューンのイーハイの知り合いである仕立屋は、彼が和装の仕立ての話の時に身を乗り出して聞いているのを見て、彼の分も作ってあげると乗り気になり、本当に作ってくれたのだ。
マキシマはそれを着られた事が相当に嬉しかったのだろう。
興奮気味(?)にニックスの手を持ってぶんぶんと上下に振り回していた。
「ははは、よく似合ってるぜ。良かったな」
「お二人共、準備できましたか?」
「おう……って、またお前……すげぇなそれ」
二人が着替えていた部屋に入ってきたのはルッツだった。
いつもの男性的とも女性的ともどっちともとれるしなやかな動作に合わせて、ルッツの着る和服の裾等が揺れて擦れた音を出す。
それを見たニックスは、普段相手の装いなどそこまで気にしない方であったのだが、それでもなお彼の取る所作の一つ一つが丁寧で、流麗とも言える雰囲気を感じさせてくる彼に少しだけ感服した。
「貴方は動きやすそうな服で安心しました。股引ですか? そのズボンは」
「そう言うらしいな。ま、俺のやること考えたらこれが良い。あの仕立屋、よく分かってるよ」
「ふふ、そうですね。マキシマもよくお似合いですよ」
マキシマはルッツの言葉に頭を掻いた。
照れているらしい。
「さて……二人とも準備が済んだようなので、ここからが本題ですね」
「ああ。………っつっても、まずは聞き込みからだけどな」
「地理の把握も早めにしておきましょう。地図の作成はニックスにお任せします。マキシマは、できうる限りで構いません、元素異常などが見られたら、知らせていただけますか?」
「おうよ」
ルッツの言葉に、短く返事をするニックスと、ゆっくりと頷くマキシマ。
二人の反応を見たルッツは一つ頷くと。
「よろしい。では、行きましょうか」
と、踵を返した。
(和なる装い、それぞれ 終)
後から思ったこと
「なんでこれ描いたんだろう」




