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【番外編完結】「醜い」と嫌われた豚令嬢、三年後に元婚約者に嫁ぐことになりました ~ただし離婚前提です~  作者: ボボブラ汁
第一章 本物の婚約者になってみせますわ!

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客室に来たヒューバート様

 その晩餐が終わったあとも、ヒューバート様が親族の皆さまと遅くまで話し合っていたことに、わたくしは気づいておりました。


 彼がわたくしの客室を訪ねてきたのは、皆が寝静まった頃のことです。


 ノックに驚いて、目をこすりながら起きたわたくしは、手探りでマッチを擦り、ランプを点けました。


 いったい何ごとでしょうか。


 ガウンを羽織って扉を開けると、やはりランプを手にしたヒューバート様が、申し訳なさそうに立っておられました。


「寝ていたのにごめんよ」


 わたくしももう十五のレディです。今までのように夜遅く部屋にいらっしゃるのは、良くないと思われたのでしょう。


 彼はしばらく、戸口の前でためらっておられました。


 見るからに疲れきった様子の彼を見て、ご両親の死が重くのしかかっているのが分かりました。


 実際、わたくしたちステイプルトン一家も、優しくしてくださった侯爵夫妻を偲び、晩餐の席ではほとんど口を開けませんでした。


 食事が喉を通らないミラベルを見ているのも、辛かったのです。


 迷わずわたくしは、ヒューバート様の腕を引き、部屋の中へ迎え入れました。崩れ落ちてしまいそうに見えたからです。


「大丈夫ですか?」


 教会ではしゃんとしておいででしたが、まだ十八。埋葬の時は肩が震え、泣くのを堪えているように見えました。


 嘆き悲しむ妹の手前、泣くに泣けなかったのかもしれません。今になって、喪失の悲しみが押し寄せてきたのでしょうか。


 それとも、葬儀が無事に終わって気が抜けたのでしょうか。


「疲れた」


 囁くように零したその声は、少ししゃがれていました。わたくしは彼にソファーを勧めました。


「親族の皆様と、長くお話ししてらっしゃいましたものね」


 申し訳なく思いながら枕元の呼び鈴を鳴らし、侯爵邸の使用人を起こします。


 暖炉に火を入れるほどではございませんが、ヒューバート様が寒そうに見えたので、温かいお茶を持ってきてもらうことにしたのです。


 寝巻きとナイトキャップ姿の使用人に礼を言い、熱々のカップが載ったトレーを受け取ると、ヒューバート様に手渡しました。


 彼はそれを啜りながらソファーにもたれかかり、じっとランプの灯りを見つめるだけ。何もおっしゃいません。


 ですが、お茶で落ち着いたのでしょう。やがて、ポツリポツリと話し始めたのです。


「叔父や叔母が、喪が明けしだい結婚しろって。早く後継者を儲けなければならないからと……」


 わたくしは、ドキドキしてしまいました。


 あら? これはもしかして、もうプロポーズかしら。


 望むところですが、わたくしまだ十五です。上流階級の娘の結婚が早いとはいえ、さすがに早すぎるのではないかしら。


「僕はまだ十八だ。学院を卒業したばかりなのに」

「そうですわよね」


 わたくしだって、入学したばかりですわ。だけどヒューバート様がお困りなら……。


 彼は天井を見たまま、トントンと隣の座面を叩きました。


「シンシア、膝枕して」


 わたくしは嬉しくなって飛んでいくと、いそいそと彼の隣に収まりました。


 彼はカップをティーテーブルに置き、ゴロンと横になってわたくしの太腿の上に頭を乗せ、目を閉じます。


「はぁぁぁ……気持ちいい」


 深く息をついてリラックスしている彼を見ていると、それだけでわたくしは満たされました。


 こういう時、ヒューバート様のことが大好きだと、しみじみ思うのです。


 ですから、プロポーズならいつだってお受けしますわ。結婚にはまだ早くても、そしてこんな寝巻き姿であっても。



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