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君は醜いね
今度こそエロくしません!
「約束だったろう? シンシア」
ヒューバート様は、わたくしに優しい口調でそうおっしゃいました。
けれど、そのヘイゼルの瞳は、まるでコインのように無機質な光を放っていました。
いつもなら感じられるはずの温かみは、そこには微塵もなかったのです。
「君との婚約は偽装だった」
もちろん、承知しておりました。
「僕に好きな人ができたことが、君には我慢できなかったんだね」
わたくしは唇を噛み、うつむいたまま顔を上げることができませんでした。
その通りだったからです。
偽装などではなく、本当に婚約者になりたかったから。
わたくしを、選んでほしかったのです。
「気づかなかった僕が悪い。まさか君まで、僕を狙っていたなんて」
「ご、ごめんなさい……いつか振り向いてもらえるかと──」
「君のことは、女性としては愛せない」
彼が呟いたその言葉の中に、わたくしは嘲りを感じ取ってしまいました。
被害妄想だと思えればよかったのに……でも……彼は、はっきりこうおっしゃったのです。
「君は、醜いね」




