表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第1話「潮風に混ざる毒」

潮の匂いは、常に真実の周辺にいる──。

港市メルリオンの埠頭に、私は小さな薬車を押して歩く。紺野さら、二十歳前後の移動薬師だ。今日も、港の風に混ざる塩気と魚の匂いの中で、妙な匂いを嗅ぎ分けながら人々の悩みを解く。


「さらさん! また港の商人が倒れたって!」


見習いのユナが駆け寄る。手には真っ青になった商人の手首の写真がある。


「ふむ……匂いは……」

私は鼻先に手をかざし、薬車から取り出した小瓶に目を落とす。小瓶の中で淡い青色の液体が揺れる。匂い──いや、微妙な違和感がある。これは……食中毒か、あるいは……。


埠頭では、船乗りたちの話が錯綜していた。誰も倒れた理由を知らず、噂だけが跳ね回る。「港に呪いか?」なんて、馬鹿げた話も混ざる。


「とりあえず現場に行きましょう」

私は薬車を押し、リアム巡察官のいる現場へ向かう。冷静な彼は、何も語らず、ただ私を見た。情報の混乱と匂いの混ざり合う港。今日も、解毒のための小さな戦いが始まる──。


船の潮風、薬の香り、そして人の弱さが渦巻く港町で、私の推理は走り出す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ