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溺愛彼氏のキスマーク 愛の縄張りと薔薇  作者: 中道舞夜(Nakamichi_Maya)


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尽くす男

溺愛彼氏のキスマークの彼氏昌大視点の作品です。

百合目線はこちらから。

俺、三上昌大はハウスメーカーの営業職をやっている。

「はい、喜んで。ご要望教えてくださいありがとうございます。」

「せっかく弊社を選んで頂いたので西岡様のために出来ることなら出来るとこまでやらせて頂きます。」


この台詞を名字だけ変えて打合せの度に使っている。


言わされているのではなく本心だ。

お客様の要望を叶えたい、しかし出来るとこまでというのも本音。だから、予算に合わないものは一旦持ち帰ってから無理と伝え代替案を提案する。その分、トータル的な満足感や期待値を上回すように別のところで調整している。人生に一度の大きな買い物だ。後悔しないよう出来るだけのことはしたい。


利益率は保ちつつ、顧客の要望に応える。そのスタイルを維持したおかげで以前担当していた顧客からの紹介という形で友人や家族を担当することもある。


そう、俺は俺が与えたものに満足する見返りをくれる相手には喜んで与える。

恋愛でもそうだ。そして、そんな俺のことを周りは「溺愛」「尽くす男」と言う。





1月最初の連休。正月ムードもなくなり、みな平常運転に戻そうとしているせいか初売りでは長蛇の列を作り渋滞して混雑しているこの道も今日はスムーズに走行が出来た。

予定よりも早く着いたため、次の打ち合わせの顧客宅近くのコンビニに寄り車の中でホットコーヒーを飲みながら時間を潰していると振り袖姿の若者たちが通り過ぎていった。



そうか、今日は成人式か…。

俺は昔付き合っていた彼女、百合の事を思い出した。



百合は、SNSで知り合った。出会った当時は俺が31歳、百合は19歳だった。

俺から見たらまだ子どもっぽいあどけなさがあったが、そのことを本人に言うと「私、周りからは大人っぽいと言われるのに…」と不満げな反応をするのも微笑ましかった。



『やっぱりまだまだ子どもだな』と思っていたが、そのうち百合から頻繁に連絡が来るようになった。百合は隠しているつもりだろうが、メールの内容は好きな女性のタイプや彼女の有無など恋愛絡みの内容ばかりだったので気があることはすぐに分かった。


そのうち、『休みの日っていつですか?何していますか???』という内容が来たので会うことを提案したら数分で『会いたいです!!!!!』と返信がきたので確信に変わった。



『19歳か…若いな。でも早生まれで今年20歳で成人だからギリ犯罪にはならないか…。』

別に悪いことをする気などさらさらなかったが、万が一もっと若く『実は私、高校生でした』なんて日には俺の人生が終わる。本人が同意の上でも、周りの大人たちが関与するからだ。



そして19歳だと、年上の大人の男に憧れる時期なのか?

大人過ぎないか?19歳の頃の俺は同世代の子が良かった。20代後半の女性は眼中に入らず恋愛対象外だった。これは男と女の違いなのか…。自分のことをおっさん扱いしたくなかったが、19歳から見たら俺は十分おっさんなのではないか。何か高額な物でも請求でもされるのか。あの当時はなかったが、パパ活の相手として選ばれた気分だった。



相手に変な言動でもあったら、やましいことは一切せずに大人しく送り届けて帰ってもらおう。もし、純粋に興味を持ってくれているのなら大人の男を演出して楽しんでもらおう。

俺は約束の日に、百合がバイトが終わってから向かうと聞いていたので温かいミルクティーとほうじ茶の2本を用意し、店先で車から降りて待っていた。


「え、昌大さん?迎えに来てくれたの?」


百合は写真で見るよりかは目の印象は薄くさっぱりとした和風な顔立ちだった。写真の加工技術で化けていたのだろう。それでも凛としてどこかエキゾチックな雰囲気もあり、年上に見られるのも分かる。

子どもっぽく見られないようにするためか、黒のニットとタイトスカートだった。しかし、底が厚いブーツが学生っぽさを醸し出している。それでも背伸びしようと頑張ってくれた百合に好感を持った。



一方の俺は、年が離れすぎていると思われないようにライトグレーのダウンジャケットにデニムにスニーカーとカジュアルな格好にした。



小走りで駆け寄ってくる百合。

「バイトお疲れさま。好みが分からなかったからどっちがいいかな?」と手渡すと、「飲み物まで用意してくれるなんてすごい!昌大さんすっごく優しいね」と驚きながらミルクティーを選んでいた。


担当の顧客でもそうだが、結婚記念日や誕生日は覚えている。そして日が近くなったら打ち合わせの時に手土産を持っていくと喜ばれた。高価なものではない。1輪の花でも、驚きとうっとりした顔で喜ばれる。百合もコンビニで140円のドリンクを大事そうに握り微笑んでいた。


車に乗り、走り出すと「私、男の人がこうしてお迎えに来てくれたの初めてで…。なんかすっごく嬉しくてドキドキしちゃった」と教えてくれた。

店に向かう途中もそわそわしながら辺りを見渡し、視線が定まらない百合が面白くて観察していた。


「百合ちゃん、美人でモテそうなのに彼氏とかいないの?」

「そんなことない、全然モテないし彼氏もいないよ」

すごい勢いで慌てて手を振り否定する百合。

モテるでしょ?と聞いた時の反応で大体わかるが、たぶん百合は縁がなかったんだろうなと想像がついた。


「昌大さんは…思った通りかっこいい…です」

語尾が少しずつごにょごにょしているのが、褒め慣れていない感じで新鮮だった。



店では料理の取り分けをしながら百合の過去の恋愛を聞いた。

片思いが多かったこと、告白されて一瞬付き合った人はいるが百合に引っ張って行ってほしかったらしく遊びに行こうなど誘いも連絡もなくデートもしないまま自然消滅となったそうだ。2人で出掛けたこともない人を付き合った人数にいれるのかも微妙。と苦笑していた。


「昌大さんは、どんな女性と付き合っていたんですか?」

俺は返答に困った。19歳にはどう答えるのが正解なのだろうか…。




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