第2話 宴
2022年12月
「皆さん1年間お疲れ様でした!今年はたつきがあの会社から退職することができ、転職準備に入りました!!皆で支えながら来年も頑張りましょう!かんぱーい!!!」
「「「 かんぱーい!!! 」」」
俺は、エンジニア集団と自称しているグループのメンバーと忘年会に来ていた。
「落合、退職とか転職準備の件ほんまにありがとう助かったわ」
彼は落合一貴。高校の頃からの友人でこのグループに誘ってくれた男でもある。
「いやいや、まぁ頑張るのはこれからやから、メンターとかいろいろなサポート、できる限りはしたるから頑張ろうや」
「俺等も、サポートできることはしたるし頼ってくれよ〜」
笑いながら言ってくれた男は高橋隆史。落合と同じ専門学校だった男だ。
他の2人、鈴木大介と柿谷隼也も笑いながら頷いてくれた。
彼らも、隆史と同じく落合と同じ専門学校で同じ部活動だった。
そこに後から、俺が加入したが皆優しく受け入れてくれた。
俺は、この日1件目で飲み過ぎ3件目の途中まで記憶が無いくらい酔うほどに楽しんでいた。
仕事という枷が外れて浮かれていたのだろう。
2023年3月
「どうされました?」
「あの…、去年の11月末に退職した会社の給料未払いについて相談したいんですけど。」
俺は、労働基準監督署に来ていた。
あのブラック零細企業は、退職した俺に給料を払わなかったのだ。
俺は、3回ほど未払い給料についての請求通知書を送った。
だが、相手方からの返事は無かったのだ。
給料が未払いなだけではなく、雇用保険被保険者証も送られていないのだ。
俺は、退職する前に社長と事務員に書類で、実家に雇用保険被保険者証を送付してほしい旨を書いて渡していた。
それすらも無視されていたのだ。
俺は、失業手当を受け取りながら、転職のための勉強や準備をしようと計画をし、退職をしたのだ。
その計画は、この会社のせいで台無しになった。
俺のモチベーションはほぼ底についており、この頃には勉強はほとんどしていなかった。
自己管理能力がないことを改めて実感した出来事である。
無事に給料未払いの件で、是正勧告してもらえることになった。
だが、雇用保険被保険者証に関してはハローワークの管轄だそうだ。
1ヶ月後給料は振り込まれたが、給料明細もなく勤めていた頃の半分程しか振り込まれていなかった。
2023年5月末
毎月末、所属しているエンジニア集団の月例報告会がある。
俺は先月から出席していない。嘘をついて欠席したのだ。
そこから連絡もしていない。
あれだけ支えてくれると言ってくれたメンバーに勉強をしていないことを知られ、何を言われるのかと思うと怖かったのだ。
だが、勉強をする気になれない。
俺は、毎日VTuberやストリーマーの配信を見たり、登録しているサブスクでアニメや映画を見る毎日を過ごしていた。携帯の料金は滞納していた。
「はぁ」
自分の自己管理能力の無さに辟易する。
現実逃避するように、俺はアニメや映画の世界にのめり込んでいた。
未払い給料だったお金で、買ったタバコを吸う。
最後の一本であった。
俺は、ダウンロードしていたアニメを見ながらタバコを買いに行く。
そこまで遠くないので歩いていく。
平日の昼間、小学校が近いので小学生たちがグラウンドで遊んでいる声が聞こえる。
休み時間だろうか。
赤信号をチラチラ見ながらアニメを見る。
青信号になったことを確認し、スマホを見ながら歩き出す。
「ふふっ」
歩き出して数秒後であった。
「危ない!!!!」
イヤホンの隙間からそう聞こえた気がした。
ドンっ
ご精読ありがとうございました。
今回は「忘年会」でした。
このような物語や物書きをするのが初めてなので、勉強のため、どんな感想でもいいのでくださると嬉しいです。
評価、いいね、ブクマもよろしくお願いします。