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1200文字で完結・最強の力を手に入れた友人

作者: 鳳仙花

「どうやら俺は最強の力に目覚めてしまったらしい」


友人宅で時間を潰していた時、いきなり友人が無意味なほど重々しい表情で俺に言ってきた。

あまりにも創作世界っぽい言葉だったから無意識に発した独り言かと思ったが、どうやら違うらしく、俺は話を合わさないといけない雰囲気だった。


「…まぁなんだ。最強の力って具体的になんだよ?言葉通りパワーってことか?」


「あぁ、戦闘能力的な超人パワーだ。しかも最強だからスーパーマンっていた方が分かりやすいかもな」


「なんのゲームの話だよ。もしソシャゲだったら一時的過ぎる最強だな」


「いいや、ゲームじゃない。……とりあえず実際に見せた方が早いな」


そう言って友人は近くにあった月間雑誌を手に取るなり、力を入れた様子すら無いまま指先の力だけで一部を引きちぎってみせた。

まるでバトル漫画みたいなアピールの仕方だ。

そんな第一印象があったため、俺は異様な光景に対して呑気に応えた。


「あー…、今の手品か?それでも結構なインパクトはあるが」


「違う、これは手品じゃない。なら腕相撲しようぜ。視覚で分からないなら体感した方が良い」


「マジで最強なら俺をケガさせるなよ~」


俺としてはよく分からない流れのまま、半信半疑で腕相撲をすることになったようなものだ。

だが、友人の力が凄いと理解したのは握った瞬間からだ。

体型や筋肉量に見合わない異常な力。

それを俺は本能で感じ取るなり、自分でも気づかない内にちょっと変わった腕の動きをしてしまう。


「なっ!?うわっ…!」


驚きの声をあげたのは友人だ。

腕相撲していたとは思えない派手な動作でひっくり返り、尻餅を着いてしまっている。

この出来事に友人は数秒間ほど呆然とした後、にやりとほくそ笑んできた。


「そうか、なるほどな。俺が最強の力を手に入れたに対し、お前は最強の技術を手に入れたわけだ……。まさか小さな動きだけで俺の力をそのまま返すとはな」


「この状況から考えると、俺達だけじゃなく他の人も最強の何かを身に付けているかもな。それこそ最強の射撃や最強の五感、最強の俊足ってのもあるかもしれない」


「そりゃあ厄介だ。……だけど、俺の力とお前の技。この二つが組み合わせれば無敵じゃねぇか?」


「そうだな。よし、一つ取ってみようか?」


「あぁ、取ろうぜ。世界の天下を!」


こうして俺達二人は圧倒的な戦闘能力で悪人を成敗しつつ、真の最強を目指すことにした。

しかし最強のコミュニケーション力に最強の頭脳、そして最強の政治力という先導力や集団能力に長けた奴らの方が結果的に強く、俺達二人はボスの立ち位置では無く武力の駒として最強になってしまう。

でも、毎日愉快に暇を潰して血沸き踊る日々も悪くねぇな。


「……って、夜に思いついたんだ。どう思う?」


あまりに暇すぎたのか、今のような脈絡ない作り話を友人はしてくれた。

当然俺は話半分も聞いておらず、ソシャゲで課金しながら適当に会話を合わせる。


「そうか。最強の妄想力だな」


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