M8[暗闇のハンター]
煌炎の頬に雫が垂れる。
だがその時、
監獄の壁が
木っ端微塵に破壊され、
その瞳に映るは黒い影。
Ι
Ι
M8[暗闇のハンター]
Ι
Ι
暁:
「ジャストッ!!」
アールゼロ:
「よし、
要人を救出する!
狭山、任したぞ」
狭山:
「って、
面倒事は俺かよ!」
ぶつぶつ言いながらも
アールゼロの
コクピットから
素早く降りて、
煌炎にかけられた
鍵を壊しはじめる。
ハイド:
「この声……
おお、奇跡的、いや、
運命的な出会いだ!
今度こそ私は君を
絞殺台に吊し上げよう」
アールゼロ:
「ん、またあいつか。
…皐月、
灰燼を奪取しろ」
皐月:「わかってる!」
皐月は自分に課せられた
仕事を予想していたかの
ような素早さで、
近くに用意しておいた
トラックで
基地周辺を捜索する。
それとこれは余談だが、
皐月は実は
予想していたのではなく
知っていたのだ。
狭山だけが仕事の内容を
知らされていなかった!
もちろん態と。
ハイド:
「くっ、急いで機体を
取りにいかねば‥」
アールゼロ:
「暁、先に内部に侵入し
爆散せよ!」
暁:
「了解!」
ハイドラの手には
幾つもの時限爆弾。
その設置作業に
暁は向かった。
‖
煌炎:
「どうしてあなた達は
敵である僕を!」
狭山:
「あ?
そんなの知ったことかよ
ただ、アールはちゃんと
そこらへんのことは
考えてるんだろうよ」
煌炎:
「アール?」
狭山:
「おうよっ!!
突如現れた
俺たちの救いの神!
なんてったって…っと、
これ以上は言えねえな。
とにかくすげえよ、
あいつは‥」
煌炎:
「………」
‖
ハイド:
「ハイド・クロケット、
新型を
使わせてもらうぞ」
基地技術者:
「お、お待ちを!
まだその機体は未完‥」
ハイド:
「《ライトニクス》
出るぞ!!」
‖
[皐月:
「アール、灰燼は
回収したぞ」]
[アールゼロ:
「よくやった。
先に合流ポイントに
向かってくれ」]
[皐月:
「了解した‥」]
よし、計画の
第一段階が終了した。
あとは‥‥
[狭山:
「アール!
こっちも終わったぜ」]
[アールゼロ:
「よし、
今から暁を向かわせる。
お前は彼女と
一緒に基地から脱出。
ポイントに向かえ」]
[狭山:
「おうっ!‥」]
これで第二段階が
終了した。
あとは本部に‥‥っ!?
思わず言葉がつまる。
何故なら、目の前には
見たことのない
黒いボディに
黄色いラインをもつ
新型がいたからだ。
しかも四足歩行型の。
ハイド:
「くっくっく。
この完璧な機体に
さぞや唖然と
しているだろうな。
《ライトニクス》。
可変機能を
初めて搭載した
クロケニアの最新鋭。
ああ、素晴らしい」
アールゼロ:
「………」
(どうする…
今戦って勝てる機体か?
いや、おそらくは
何らかの機能が
ついているはず。
見極めてからでも
遅くはない。
…しかし…いや‥)
ハイド:
「《ラッシュ》!」
まるで狼をモデルにした
その機体は、
輝くラインを
残像にしてしまうほどの
高速でアールゼロを
襲ってきた。
アールゼロ:
「(速いっ!!)」
振り上げた右肩は
無残にも食いちぎられ
火花が飛び散る。
アールゼロ:
「な、鋼鉄を
噛み切るなんて‥」
ハイド:
「………(酔った)」
逃げるが得策か‥
ハイドラは踵を返し、
全力で離脱する。
ハイド:
「ま、待オブエバ‥」
自機に完全敗退した
ハイドだった。
Ι
Ι
煌炎:
「……」
ガチャリ、ガチャリと
静かにはめられた手錠を
外そうとしている
煌炎のその前には、
モニターを通して映る
愛機、ルフェストがいた
暁:
「……アールから
通信がこない」
狭山:
「あいつなら
大丈夫だよ!
なんてったって、
俺たちの救いの神だぜ」
皐月:
「(アール‥‥)」
静かな雰囲気の中、
ピーピーピー、と
赤ランプが点灯する。
通信がはいったのだ。
[アールゼロ:
「総員、全速力で
このエリア一体から
離脱しろっ!!」]
怒鳴り声とも言えぬ
その言葉には、
焦りが垣間見えた。
[暁:
「アール?
一体何が‥‥」]
[アールゼロ:
「50機を超える
クロケニアの機体が
このエリアを数分後に
通過する!」]
[皐月:
「何!!」]
[煌炎:
「(!)」]
[アールゼロ:
「合流ポイントを
F3からH5に変更する。
通信を切る‥‥」]
暁:
「に、逃げるわよ!」
煌炎:
「‥‥」
‖
兵士:
「…総督、現状を
申し上げさせて
いたたぎます」
?総督:
「うむ、
どうだろう状勢は?」