M6[敵対する運命]
暁:
「嘉山さんの敵ぃぃ!!」
煌炎:
「君は…なんで!?」
鋼が擦れ合う音。
辺りには火花が散る。
暁:
「つ、強い‥」
煌炎:
「ルフェストでも
手こずる相手か‥」
すかさずルフェストが
ハイドラの腹部に
蹴りを入れ、ハイドラの
動きを怯ませる。
暁:
「っ、しまった!」
煌炎:
「そこだっ!」
エナジーサーベルを
振り上げた、その時、
皐月:
「暁だけでも、
やらせはしない!」
救援のため突進した
皐月の攻撃は、
ダメージこそ
与えられなかったが、
暁のハイドラとの距離を
空けることができた。
皐月:
「大丈夫か、暁!」
暁:
「ありがとう
ございます、皐月さん」
煌炎:
「………」
敵は残り
あの2人だけなのか?
いや、まだどこかに
彼らに指示をしている
誰かがいるはずだ。
次の瞬間、ルフェストは
向きを変えどこかに
行ってしまった。
Ι
Ι
M6[敵対する運命]
Ι
Ι
レイソル:
「(奴の力量は
予想以上のものだな。
これが、戦いか‥)」
その時、通信が入る。
[暁:
「アール!アール!
そこから逃げてっ!」]
突然の声。
それに伴いレイソルは
センサーを確認する。
しかし、反応はない。
[アールゼロ:
「どうした暁」]
[暁:
「あいつがそちらに
向かいました!」]
[アールゼロ:
「しかし、
反応はないぞ」]
[暁:
「ビルの屋上を
つたっているんですっ!
だから、早くっ!」]
アールゼロ:
「屋上!?……上か!!」
逆光で
眼に映るのは黒い影。
しかし、何が起ころうと
していたのかはすでに
暗示していた
煌炎:
「お前さえ倒せば!!」
アールゼロ:
「灰色……灰燼がっ」
マシンガンを囮に
黒煙で姿を隠す。
煌炎:
「逃がすかっ!」
しかし、
この地域一帯に
残っていた機体は
既にルフェストのみと
なっていた‥‥
Ι
Ι
テロリスト第2本部
それは昔、レイソルが
ハイドラを棄てた鉱山の
最奥部に位置していた。
D2:
「………で、
お前は誰なんだよ」
テーブルの一角に
座っていたD2が問う。
このとき
俺は基地にあった
宴会用の仮面を一時的に
借りていた。
もちろんこれは俺の
趣味ではないことを
忘れないでくれ。
アールゼロ:
「誰……というと?」
皐月:
「俺たちはまだ、
君のことをまったく
知らない。まだ信用
しきれないんだ」
アールゼロ:
「……俺はアールゼロ。
今はそれだけだ」
D2:
「はぁ?
説明になってねえ
じゃねえかよ」
アールゼロ:
「黙れ、D2」
D2:
「なっ!
俺にもなあ!
親から授かった立派な
名前があんだよぉ!
狭山っつうなー!!」
アールゼロ:
「……普通だな」
暁:
「ええ、普通よ」
皐月:
「いなくても
そうわからない名前だが
気にしないでくれ」
狭山:
「俺たち昔から
連れ添った仲間なのに、
この言われようは
何なんだよー!!」
皐月:
「ところでアール」
狭山:
「皐月ぃぃ!?」
アールゼロ:
「なんだ」
皐月:
「君はこれからも
俺たちと一緒に
来てくれるのか?」
アールゼロ:
「そんなことか、
当たり前だ………あ」
俺…学生だった‥
暁:
「……アール?」
アールゼロ:
「な、なんでもない。
…さて、これからの
行動なんだが」
テーブルに地図を広げて
話を続ける。
アールゼロ:
「仲間が少なすぎる。
あと、ハイドラの武器や
燃料。あと技術だな」
ΙーーーーーーーーーΙ
ΙーーーーーーーーーΙ
Ι/////…………Ι
Ι…………(・)…/Ι
Ι………(・)///Ι
ΙーーーーーーーーーΙ
ΙーーーーーーーーーΙ
アールゼロ:
「このポイントに
これから向かう」
皐月:
「ここには
何があるんだ?」
アールゼロ:
「ああ、おそらく
この2箇所の
どちらかに‥‥」
ふいにテレビをつける。
するとどのチャンネルも
朝刊の一面を飾るような
慌てぶりでキャスターが
ニュースを読み上げる。
[たった今入った情報です。今日6時未明、クロケニア日本第18区において、テロリストと思われる者によるライフライン断然事件が起こりました。これに伴い、現場付近の基地から5機のハイドラが出動しましたが、隊長1機を残して全滅した模様です‥‥]
狭山:
「へへっ!
もう俺たちのことが
ニュースになってるぜ」
暁:
「まだ続きがあるわ‥」
[…しかし、政府はテロリストによる域を超えていると結論し、その場にいた試作機のパイロット、素戔嗚 煌炎を傷害、故意過失、反乱分子の疑いで先程逮捕されました‥‥]
アールゼロ:
「やはりな‥」
暁:
「あなたはこうなること
を予測して?」
アールゼロ:
「ああ。そして
この地図にある点は‥」
[…現在、素戔嗚 煌炎は北拘留所に隔離。刑は後日決定される模様です。では、今日はこれで‥]
皐月:
「じゃあ…
このポイントは‥」
狭山:
「拘留所!?
ってことはまさか!?」
暁:
「救出するの!?」
アールゼロ:
「彼の名前は日本人。
しかし何故向こうに
いるのかは不明。
何か野望が
あるからなのだろう。
それが私たちで
叶えられるものなら、
彼は良い仲間になると
思うのだが?」
しばらくの
沈黙が流れた。