M5[降りたつ黒白]
[皐月:
「わかった」]
[D6:
「D6了解」]
Ι
Ι
M5[降りたつ黒白]
Ι
Ι
時を同じくして、
ある計画が実行
されようとしていた。
?:
「うーん‥」
設計図片手に
ペンを耳にあて、
その男は、
地上に張ったテントの
下に立っていた。
研究員A:
「どうしました、
ナハトさん?」
ナハト:
「ん〜…
それがね、すでに
起動しているはず
なんだけどね、
この《ルフェスト》は」
研究員A:
「理論上はですよね。
現実はどうなるか
なんて、一種の運
みたいなものですよ」
ナハト:
「語るね〜」
そう言いながら
笑うものの、
実はかなり作業は
急ピッチで行われていた
ため、内心焦っている
はずだった。
?:
「ナハトさんっ!
この原動力に
問題があるんじゃ
ないですか?」
ルフェストに乗っていた
高校生ぐらいの少年は、
大声で叫んでいた。
ナハト:
「原動力ぅ?………あ」
何かに気付いたように
ナハトはルフェストの
動力パネルを開く。
ナハト:
「やっぱり…
接続ケーブルが
外れてたか〜」
ハハハ、と
マイペースに笑う。
?&研究員A:
「ナハトさん!」
ナハト:
「あー、はいはい。
怖いね〜君たち」
?:
「元凶が
なに言ってるんですか」
ナハト:
「怒んない怒んない。
せっかちだな〜
煌炎君は。
そんなに死にたいの?」
煌炎:
「違いますよ。
自分は、死なないために
戦うんです」
ナハト:
「捉え方の違いだよ」
‖
その頃……
皐月:
「す、すごい‥」
D6:
「まさかここまで
あっさりいくなんて‥」
D3:
「アール最高だぜっ!!」
アールゼロ:
「仕上げだ。
一気にたたみかけるぞ」
‖
ナハト:
「どう、準備いい?」
煌炎:
「はい。
お願いします」
強く操縦桿を握る。
研究員A:
「緊張しないでね、
煌炎君。
……今回が初めての
任務だけど、早速実践に
入ってもらいます。
標的は敵、
強奪されたと思われる
ハイドラ数機。
武器は‥‥」
そこで言葉がつまる。
煌炎:
「?」
研究員A:
「ボソッ…
ナハトさん、
何ですかこれ」
ナハト:
「ボソッ…
何って、武器だけど?」
研究員A:
「ボソッ…
こんな高価なもの、
うちの経費で
まかなえました?」
ナハト:
「ボソッ…
ああ、僕たち研究員の
給料から前借り
してるから、アハハ」
研究員A:
「……武器は
こちらで用意した、
腕内蔵型のショットガン
と、
電源を入れると熱が出て
金属さえも切り裂く
エナジーサーベルを
使用してください‥」
煌炎:
「あの…
大丈夫ですか?」
ナハト:
「心配ないから
気をつけてね〜」
煌炎:
「はあ……
ルフェスト起動!」
カメラアイが
怪しく緑に光る。
研究員A:
「健闘を‥‥」
‖
…敵支部まであと6分。
そろそろ俺も行くか。
[アールゼロ:
「…聞こえるか。
私も合流地点に向かう。
誰かよこしてくれ」]
[D6:
「なら私が」]
[アールゼロ:
「わかった」]
Ι
Ι
通信が切れてから
数分後、元本部に
一体のハイドラが来た。
外の壁も破壊されていた
ため、そのまま機体に
乗り込む。
D6:
「…やっぱり
あなただったのね」
レイソル:
「俺の正体は
秘密にしてくれるか?」
D6:
「いいわよ。
但し、条件がある」
レイソル:
「条件?」
D6:
「あなたの目的は?
何故私たちの
活動を手伝うの?」
レイソル:
「……決まっている。
世界を、変えるためだ」
D6:
「…本当にそんなことが
できるとでも?」
レイソル:
「不可能はない」
D6:
「大それた話ね。
でも、今はあなたの力が
必要だか‥」
コクピットに
表示されていた
緑の点が1つ消えた。
レイソル:
「…これは、まさか‥」
‖
D2:
「うわああーーっ!!」
皐月:
「丹羽ーーっ!!」
しかし、
その声も虚しく、
D2のハイドラは
跡形もなく破壊された。
煌炎:
「……ごめん」
皐月:
「何なんだ、
あの機体は!?」
Ι
Ι
《ルフェスト》
ハイドラと同じ系列に
属すが、ナハト公爵に
よって造られた
オリジナルの機体。
その基本スペックは
高く、ハイドラ10機分
以上にも及ぶ。
Ι
Ι
[アールゼロ:
「…どうした!」]
[皐月:
「丹羽……D2が
新型機にやられた」]
[D6:
「そんな…
…丹羽さんが!?」]
[アールゼロ:
「私たちも急ぐぞ」]
[D6:
「はいっ!」]
Ι
Ι
D2:
「こんにゃろーーっ!!」
マシンガンを薄灰色の
機体に連射する。
煌炎:「くっ‥」
しかし、それをすかさず
全て避けて頭部に
拳を殴りいれる。
そして腕の装甲をパージ…
ダダッダダダダ!!
D2:
「うおおお!!
まだ死にたくねえ!!」
煌炎:
「殺しは…しない」
ハイドラは膝をつき、
前へ傾き、倒れた。
‖
くっ……
残りはD1と6だけか。
ここまできて…
あの機体
スペックはなんだ!
煌炎:
「……新手か」
アールゼロ:
「薄灰色の機体…
デザイン…
スペック…
特殊武装…
クロケニアの
最新鋭か?」
煌炎:
「……」
D6:
「アール、
降りてください。
あいつは…危険です」
アールゼロ:
「…わかった。
随時指示をする。
……死ぬなよ、暁」
暁:
「もちろん‥‥!」
そして戦いが始まる‥
ルフェスト
《本文参照》