M4[ゲリラ工作戦]
レイソル:
「あ、おい!‥‥」
ゲリラのような格好を
していたが、
あれは明らかに
俺とほとんど
同じ世代じゃないか。
レイソル:
「…ったく。
これからどう動くか‥」
ダアァァーーン!!
この廃屋のビルに
弾が飛んできたらしく、
屋根の一部が
1階に落ちてくる。
レイソル:
「くっ……ん?」
2階から
見えていたものは、
大きな無線機のような物
や死んだ人間だった。
見ただけでわかる、
顔は下を向いているが
その出血は酷く、
腕は垂れ下がっていた。
無線機か‥‥
レイソル:
「ここに避難場所で
連れてこられたと
いうことは、
ここにはよく行き来する
ということ。
つまり、テロリストの
本部の可能性があるな」
2階へと続く階段を
崩さないようにそっと
のぼってみる。
レイソル:
「…やっぱりな」
今となってはただの瓦礫
だが、その下にはここら
一帯の地図があった。
他にも
作戦会議のためか、
長テーブルもあるし
皿などもあった。
そして何より‥‥
レイソル:
「もし、この無線機が
壊れていなければ、
きっと、繋げば‥‥」
[?:
「おい!
命令を仰ぐ!」]
レイソル:
「(仰ぐ……
つまり、この男が
司令官か)」
[?:
「応答!、早く!」]
!
この声はさっきの。
やはりテロリストか。
レイソル:
「こちら……あ」
…不味い。
俺の声はすでに
知られている。
俺がここで声を出せば
俺の身がどうなるか
わからない。
[?:
「……どうした?」]
……これしかない。
[?:
「どうし‥」]
レイソル:
「聞こえるか、
テロリストたちよ」
Ι
Ι
M4《ゲリラ工作戦》
Ι
Ι
[?:
「!、誰だお前!?
犬飼はどうした!」]
レイソル:
「彼なら瓦礫の下敷きに
なって死んだ」
[?:
「何だって……
お前は誰なんだ?」]
レイソル:
「俺の名は……」
名前か…
まあ、俺の好きな漫画の
主人公の名前でいいか。
実際、似てるやつも
いることだしな。
レイソル:
「…R−O
《アールゼロ》だ」
[?:
「アールゼロ……
お前は何をする気だ」]
アールゼロ:
「何か?
決まっている。
まずは、この現状を
打開しないとな」
[?:
「…アール、
そんなことできるの
あなたに」]
あの女か。
うまく流してくれるな。
アールゼロ:
「もちろん。
君たちの現在地などの
知り得る限りのデータを
ここのパソコンに
送ってくれ」
[?:
「…信用しても
いいのか?」]
アールゼロ:
「死にたく
ないのならな」
[?:
「……わかった」]
……ピピッ!
来たな。
……敵戦力は9、
味方戦力は伏兵を含めて
残り4か。
地形もまあ悪くない。
あとは、
敵の戦術を見抜く力と
手駒の使い方だな。
アールゼロ:
「……よし。
ではここに載っている
識別ナンバーD2とD3
は南南東の方角に移動!
D1とD6は
そのまま武器を構えつつ
散開しろ!」
[テロリスト:
「了解!」]
Ι
Ι
目的地についた
D3。
彼はおもむろに
無線のスイッチを切り、
D1と
プライベート通信回線
を開いた。
D3:
「なあ、皐月。
あんなよくわからない
奴の言いなりに
なるのかよ?」
皐月:
「犬飼が死んだんだ。
他に指揮をとる者が
いなくなったいじょう、
彼に今は従うしかない」
D3:
「だからよぉ!
あのアールゼロとかいう
よくわからないやつを
信じて戦えるのかよ!」
皐月:
「それは‥‥」
[アールゼロ:
「D2、D3。
およそ13秒後に
付近の廃ビルを片っ端
から破壊しろ」]
D3:
「了……ってはあ!?
何だよ
その13秒後って!」
[アールゼロ:
「敵の移動中に生じる
地面を通して伝わる波を
ここの機器を使って
計算した結果だ」]
D2:
「じゃあその廃ビルを
片っ端から破壊しろって
いうのは?」
[アールゼロ:
「…時間だ。俺の合図に
合わして撃て」]
D2:
「いやだから何で」
[アールゼロ:
「やればわかる。
……3、2、1、
…今だ!」]
D3:
「あーもうっ!
やればいいんだろ、
やれば!」
ダダダダダダダッ!!
ドッ、ドダダダガダ!!!!
そして廃ビルは勢い良く
倒壊した。
敵兵:
「うおっ!
何だどうし‥あああ!!」
徘徊していた
敵ハイドラ2機は
見事にビルの瓦礫の
下敷きとなって
爆破した。
[アールゼロ:
「…ということだ」]
D2:
「う、嘘だろ‥」
D3:
「た、倒した…
俺が、敵をーーっ!!
…痛ぇ!」
喜びのあまり、
両手をコクピット内で
振り回し痛がるD3。
[アールゼロ:
「(実際俺もここまで
うまくできるなんて
思っていなかったが、
…できる。
こいつらを使えば!)
……次だ。
D1、D6。
出番だ」]