M3[出逢い]
レイソル:
「……何?」
思わず操縦桿から
手を滑らせる。
シータ:
「危ないだろっ!?」
レイソル:
「元凶はお前だろ!」
シータ:
「私が何したって
言うんだ」
レイソル:
「…どうして
俺の家なんだ」
シータ:
「私には家がない」
レイソル:
「今までどうやって
生きてきたんだ?」
シータ:
「私は基本死なない」
レイソル:
「…………」
信じろというのか…
死なない?
しかし、あの爆発でも
生きていたのなら
もしかして本当に‥
レイソル:
「…わかった。来い」
シータ:
「まずは家賃とかだが」
レイソル:
「要らん。
こんなデタラメ人間から
取る気はない」
シータ:
「払わないと
言おうとしたんだ」
何なんだ本当に……
レイソル:
「炭鉱に着いたぞ。
降りろ」
着いたのは、
滴り落ちる水の音が
空間いっぱいに
広がるような
暗いところだった。
シータ:
「ここからどれくらい
かかる?」
レイソル:
「20分もあれば」
閑散とした住宅街。
日はすでに落ち、
光源は街灯だけだった。
シータ:
「都会……ではないな」
レイソル:
「旧東京の
ドーナツ化現象
みたいなものだ」
シータ:
「旧東京だと?」
レイソル:
「ん、どうした?」
シータ:
「いや、何でもない」
レイソル:
「そうか‥‥」
歩き始めて15分くらい
経っただろうか。
レイソル:
「ここだ」
シータ:
「普通だな」
レイソル:
「もうすぐ都心部に
引っ越すんだ。
余計な仕様は外した」
シータ:
「家族は?」
レイソル:
「弟と妹がいるが
家には俺1人だ」
シータ:
「何でだ………
いや、聞かないでおく」
レイソル:
「ふっ、入るぞ」
シータ:
「失礼する。
まずは食事を
出してもらおうか」
レイソル:
「…何様だ?」
シータ:
「シータ様だ」
レイソル:
「追い出すぞ」
シータ:
「リアルに殺すぞ」
レイソル:
「(こ…こいつは)」
M3[出逢い]
朝、嫌いではない学校に
行く。引っ越しが
済んでいないので
朝は少し憂鬱だ。
何より遠いからだ。
シータ:
「レイソル‥‥」
レイソル:
「俺は学校に
行ってくるからな。
家の鍵は置いておくが
外には出るなよ」
シータ:
「心配するな。
冷蔵庫は空にしておく」
レイソル:
「まだ寝ぼけてるのか?
行ってきます」
シータ:
「おかえり‥‥」
…大丈夫だろうか、
あんなのに任せて。
学校
教室のドアを開ける。
レイソル:
「おはよ…がっ!!」
何が顔に飛んできた?
テスラ:
「はー、はー……」
ヴィラジ:
「あ〜あ。
ご愁傷様、レイソル君」
レイソル:
「痛た……」
起きあがるとテスラが
息をきらしてる。
…待てよ、俺の椅子が
ないってことは‥‥
後ろを見ると俺の椅子が
見事に大破してた。
テスラ:
「レイの…レイの…っ」
レイソル:
「テ、テスラ?」
テスラ:
「馬鹿ぁぁぁぁぁ!!」
レイソル:
「俺がぁぁ
何をしたぁぁぁ!
……グハッ」
ああ、厄日だ‥‥
保健室
レイソル:
「ん……んん」
ヴィラジ:
「大丈夫か、
レイソルさんよっ」
レイソル:
「俺は…何で?」
ヴィラジ:
「昨日お前夜に誰かと
歩いてた?」
レイソル:
「………何?」
ヴィラジ:
「それをテスラが
見ててさ〜
嫉妬しちゃったわけよ」
レイソル:
「嫉妬?
何でテスラが俺に?」
ヴィラジ:
「お前本当にまだ
気づいてないの?
テスラはさ‥‥‥」
突然勢いよく
ドアが開く。
テスラ:
「レイーー!!」
思いっきりテスラが
レイソルに抱きつく。
レイソル:
「あ、あ‥‥」
テスラ:
「死んでなくて
よかったぁぁ〜」
レイソル:
「あ、ばら骨が…
あ……ガクッ」
ヴィラジ:
「あれ?
レイソル?
レイソルーー!」
キーンコーン
カーンコーン…
ルクタシー……
俺を殺すなと
刻んでもいいか?
‖
‖
同時刻、炭鉱の奥
?:
「ガチャ、ガチャ
……いける、この
フロートなら!」
?:
「一発勝負だからな」
?:
「みんな、行くぞ!」
‖
‖
レイソル:
「体育か‥‥」
抜け出そうかな…
そんなことを考えながら
教室で着替えていた時。
ブーー
校内放送が入る。
放送:
「生徒のみなさんは
至急教室に戻り、
先生方は各職員室まで
戻ってきてください。
大至急お願いします」
ブツッ…
クラスメートは
何のことか理解が
出来ていないようだ。
しかし、かくいう俺も
まだ何のことか……
ヴィラジ:
「おい、レイソル!
テレビ見ろよ!」
レイソル:
「テレビ?」
携帯で確認してみる。
すると‥
[たった今
入った情報です!
旧東京都心周辺に
改造されたと思われる
ハイドラが3機
確認されました。
彼らは鉄道などの
ライフラインを断絶し、
旧東京都心部の人々が
隔離された模様です。
正規軍がこの事態の
鎮圧に向かっていますが
旧東京都心の人々が
人質になっているため
救出に難を極めている
とのことです。
警察はこの‥‥]
レイソル:
「これは……!」
ヴィラジ:
「おいおい嘘だろ!?
マジでかよ〜!」
……きる。
この部隊をうまく
手駒にできれば
世界を変えることが
できる!
ロラ…
シュアリー…
お前たちを今度こそ
助けてみせる‥
レイソル:
「ヴィラジ!
ちょっとトイレな」
そして駆け出す。
ヴィラジ:
「え、おいっ!
レイソル!まさかっ」
すまん、ヴィラジ。
この機会しかないんだ。
‖
シュイーーン!
軍人:
「こちらH−C。
目標を捕捉した」
軍人:
「了解。
合流します」
軍人:
「いや、
私1人で構わん」
軍人:
「しかしっ!」
軍人:
「この前の鬱憤を
晴らしたいのだよ…
奇跡的に助かった
この、
ハイド・クロケット
少佐がぁ!」
?:
「ちっ!
もう来たか」
ダダダダダダッ!
マシンガンを連射する。
ハイド:
「逃がさんよぉ!」
それを見事にかわして
改造されたハイドラの
頭部を掴む。
ハイド:
「はっはっはっ!
断罪だぁ!!」
?:
「う、嘘だぁぁ!」
ドオォォーン!
凄まじい轟音と同時に
機体は爆破した。
レイソル:
「……これはっ!?」
住宅が立ち並んでいたと
思われる場所は
戦地を感じさせるように
なっていた。
ニュースの通り
鉄道は瓦礫と化したか。
しかし、民間人は
大丈夫なのか?
ニュースでは避難誘導を
していたのか?
軍人:
「ん、おいそこの学生!
何で
こんなところにいる!」
レイソル:
「あ、いやこれは‥」
しまった、
見つかったか‥
軍人:
「さては……
共犯者かっ!」
レイソル:
「ち、違います!」
軍人:
「信用できるかっ!」
銃口がこちらに
向けられる。
?:
「!
あんた何やってんの、
こっちよ!」
レイソル:
「え?」
いきなり現れたその手に
驚いて一瞬
動けなかった。
?:
「早くっ!」
軍人:
「待てっ!」
機関銃を撃ってきた。
俺はただの学生なのに!
軍人:
「くそっ、どこに
行きやがった‥」
足音が遠ざかっていく。
?:「……ふー」
レイソル:
「あ、ありがとう‥」
容姿からして俺と一緒
くらいか‥
?:
「…何でこんなところに
学生がいるのよ」
激しく横目で
睨みつけられてる。
レイソル:
「まあ、ちょっと‥」
?:
「ふーん。
…ビビッ、ビビッ!
ん…くっ!
もうここまでっ!」
レイソル:
「あの、どうし‥」
?:
「あんたはここに
隠れてて」
そう言い残すと
彼女はどこかに
走り去ってしまった。
訂正
やっぱり名前に
漢字入ります