M15《裏切り覚悟》
レイソル:
「要は誰かひとりでも
倒せばいい話だ」
人混みの中を呟きながら
ガツガツ歩いてく。
目標はホールハウス。
絶対見つけてやる。
暁…お前以外をな。
暁:
「あ、キミは‥」
レイソル:
「うん?」
しまったぁぁぁあっぁ!!
優先順位最下位に
見つかってしまったか!
しかもこの状況、
なにか嫌な気がする。
暁:
「ちょっとこっち来て」
レイソル:
「お、おい!」
Ι
Ι
M15《裏切り覚悟》
Ι
Ι
レイソル:
「うぐっ!」
暁:
「あなた、この学校の
生徒だったのね」
ホールハウス裏の
人気のないところへ
呼び出されたあとは
ずっとこの調子だ。
壁に何度も叩きつけられ
襟を掴まれたまま
睨みつけられる。
表舞台とは大違いだ。
レイソル:
「さ、さあ?
なんのことや‥」
暁:
「とぼけないで!
あなたがこの学校の
生徒であると
わかった以上、
あなたは私の監視下に
置かせてもらうわ」
もし監視下に
置かれた以上、
俺の実質的権力は
うしろの暁に握られ、
きっと今までの戦闘は
無為に等しくなる。
俺には皆を勝利へと導く
絶対的な自信がある。
そう、悪魔的絶対能力、
…ルクタシーだ。
この状況を打破するには
これしかない。
実験的にもいいだろう。
レイソル:
「暁…ん、あれは?」
暁:
「え?」
今だっ!!
《今日見たことは
記憶から消し去れ》
‖
暁:
「……あれ?
私何してんだろ‥」
暁が目を覚ましたのは
それから
10分後のことだ。
Ι
Ι
レイソル:
「これでオーケー、と」
俺の手の甲には
生徒会印のスタンプが
煌びやかに輝いていた。
結構目立って
恥ずかしいが…しかし。
レイソル:
「これで面倒な
クラスの出し物に
参加することは
正当な理由で出れないし
なによりクイズか。
面白半分に
やってみるか」
内心ワクワクしている
こんな高ぶった感情は
一体何年ぶりだろうか。
思い起こせば、
すべてはあの戦いが
原因だったかーー
ーー「お兄ちゃん!」
「お兄ちゃん!遊ぼっ」
『レイ兄ちゃん』ーー
今はもう聞くことの
出来ないあの声。
行方不明なのか
もう死んだのか、
真偽ははっきりしない。
テスラ:
「あ、レイ〜!」
レイソル:
「オレハヨウガアル。
イソイデカイジョウニ」
踵を返してよーそろ。
テスラ:
「違うって。
店のことじゃないの。
レイも出るんでしょ、
クイズ大会」
…俺はまだ誰にも
大会に出るなんて
話してはいない。
もしかしてあの現場を
テスラが見ていたのか?
レイソル:
「まさか見たのか!」
テスラ:
「え、見たもなにも、
手の甲にはっきりと」
…忘れてた。
テスラ:
「私もホラ!
ナンバー2に勝ったの。
レイは誰を?」
レイソル:
「あ、ああ。
確かナンバー4を‥」
テスラ:
「ナンバー4!?
どこにいたの!?」
ものすごく
食いついてきた。
暁がどうかしたのか?
テスラ:
「ナンバー4って
ああ見えて生徒会で
1番の実力派なのに、
それに勝っちゃうなんて
レイ凄いよ!」
ホントは
気を失ってる間に
こっそり押した
だけなんだけどな。
レイソル:
「なら一緒に
会場まで行こうか。
そのつもりだろ?」
テスラ:
「え!…あ、うん、
じゃあ行こっか」
レイソル:
「ん、他になにか
用事があるなら
そっちの方に行って‥」
テスラ:
「ち、違うよ違う!
ささ、行こっ!」