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96.あたし、チーズ作っただけなのに!

確かにチーズは出来た。

一掬いして舐めてみたが、あっさりとした豆乳チーズと熟成させていないフレッシュチーズの真ん中ぐらい?の風味だ。

取りあえず、熟成させてみる。


また一掬いして食べてみると、先ほどよりはやはり味がしっかりした。プロセスチーズぽくなった。これならば癖も少なくて、食べやすい。

カビを付けるようなのは怖くてできないから、考えない。


実験は終わった。

終わったが、こんなにも食べさせてあげる程作れていない。

これは一気に作るべき?

自分がやらかしたこととはいえ、自分の目の前がピンク一色とか、何の冗談かと思う。


「マリー・・・」

仕方なさそうにして見ているソルとリュビに、取りあえず笑っておく。


こうなったらやったろうじゃないの。

宴会用の鍋をドンとリュックから出し、コンロでは時間がかかるから竈の上で一気にチーズにすることにした。

「ソル、熱伝導のいい竈作って」

「リュビ火加減お願い」

ここでチートを使わないなんて手はない。

その間に、あたしはせっせと鍋に牛乳を入れるのだ。


「「はい、はい」」

必死に入れて、入れて、入れて、混ぜて、混ぜて、混ぜて、リーネを入れて、混ぜて混ぜて、そして、濾す!

本当ならば量からして一時間や二時間かかるところを、精霊チートさんに頑張って貰って30分でできた。

ただ、腕がだるい。

自業自得なので、仕方ない。


「それではこのお皿に出します!ただしこれはあまり甘くないよ。だから甘くしたいなら、好みでジャムかけて」

ホイップ入れて砂糖入れたら、クリームチーズのような甘さが出たのかもしれないが、(予測)出来ればこの後塩とか入れて、料理にも使いたいからジャムを掛けるようにして見た。


出来た3分の2を大皿に出し、その横にジャムを入れた瓶をだして並べた。

ポム(りんご)フルート(キウイ)ペラ(梨)マンダリン(みかん)まず4種類。魔力たっぷりの果物ジャムは、精霊にとって必須。


「どうぞ!」

そういえば、先頭の森の精からマイスプーン・マイお皿らしき可愛いものがセットで出てきた。

え、何処から出てきたの?!

驚いてみていると、皆示し合わせたように、同じ動きをした。

チーズを一掬いして好きなジャムを次に投入して、混ぜる。混ぜて、混ぜてジャムの色に染まったら、そのままスプーンでパクッと。

たまらん!とばかりに一斉にプルプルと震えた。


あ。

久しぶりに見た光景が目の前にあった。

食べた者たちが輪になって踊り始める。

水の精のように酒盛りでテンションが上がっているわけではないので、とても可愛いと和みながら見ることが出来た。

気にいって貰って何よりだ。


『チーズとジャムのハーモニー♪』

『踊れ踊れ、新しい我らの糧が出来た』

『祝いだ祝い。我らの仲間を今こそ増やそうぞ』

『我らが楽園ダンジョンに、幸あれ』


えーと?

どういうこと?

リュビとソルを見たが、何故か無表情になっていた。

「やっぱりマリーだな」

「だよな」


む?

「ダンジョンに新しい植物が出来るということよ」

どこからかやって来たテーレがいう。

「え、ダンジョンにもう植物植えてるの?」

「まだ、だけど。時間の問題ね。マリーはこれ作りながら、チーズに果実が入っているのを思い浮かべなかった?」

「え、もしかして?」

「自分たちでもすぐに食べられるように、作って欲しいと頼まれたわよ?」

ああぁぁ・・・。

だから、ダンジョンなのか。


あたしもおやつであれが簡単に食べられるのなら、凄く嬉しい。表でも作れないことはないから、万が一外に出てもレシピがあると言えるしね。

これでこの反応ならば、チョコレートは大合唱付きの、輪舞になるね。

これは絶対に外には出さないぞ!ダンジョン限定にすると決めている。

いつも頑張ってくれている精霊のおやつ指定にして、外に持ち出し禁止にで。

あ、でも母さんたちには絶対に内緒にしておくことと、精霊たちに口止めをしておかなければ。契約者には嘘が言えないから、黙っておくとしか出来ないけどね。だから聞かれないように、必ずダンジョン内で食べることと決めて貰ておこう。


「じゃあ、テーレ。一緒にチョコレートの木もお願い。板チョコの実が出来たら、みんな美味しく食べられると思うんだ。溶かしてパンにかけてもいいし、・・・後は追々で」


テーレの目がピカッと光った気がしたので、そこで止めた。

限度が何処なのか微妙だけど、程々にしないと精霊達が凄いんです、だけでは難しいし。


「わかったわ。ミルクチョコレートとダークチョコレート、スィートチョコレートにしておくわ。後は蜂蜜?だけど、蜂蜜は森で蜂たちをスカウトしてきた方がいいかしら?・・・だとしたら、それらを管理している森の一族も一緒に。そうなると他の部族も来たいといいそうだし。長と相談からしら?」


テーレさんや。そのハチミツはいいのだけど。その森の一族とか、その他の部族とか、何ぞや?ダンジョンで保護するということだよね?いきなり知らない人たちで溢れているとか、ちょっと勘弁ですが?

迫害されている人たちがいるというのなら、ダンジョンはそんな人たちに安らぎを与えたいために作るのもあるから、囲うのはやぶさかではないけど、ね。大事になるなら先に言っておいてよ?


ブツブツと独り言を言いながら考え事をしているテーレに、大事の予感を感じて冷や汗が出る。

チーズ作っただけなのに、何で事態が明後日に向かって行く気がするのは気のせい?

・・・・・・。

気のせい、じゃないね。こんなになってから、第六感が働かなくていいことない?

あたしは、平穏なスローライフ送りたいだけなのだけど?


読んで頂き、ありがとうございました。

評価&ブックマークとても嬉しいです。

あ、誤字方向もありがとうございます。謎な間違いには、自分でも苦笑ですw



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