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95.魔道具オーブン1号とチーズ



今までも小さなコンロみたいのはあったし、パン屋に作った魔石竈はある。

だけど火加減や火力を調節できる、あたしが知っているオーブンではない。

パン屋のおじさんと話した時に、本当はオーブン造ろうとしたんだけど。断られている。


慣れてない物で作ると失敗するし、継ぐ者が火の加減を知らないのは困る、と。

10歳若かったら、変えてもらっただろうがな、とも。

豪快に笑っていた。


確かにその日によって、出来具合が違う。だけど、それも職人の醍醐味だと思うし、この村でしか通用しない人を作りすぎるのも、確かに問題かもしれないとその時に思った。

パン屋のおじさんには感謝だよ。


魔力竈とオーブンの違い?

魔力竈は魔力を注入して火加減を変えていく。だから、長年の経験がものをいう。外側がこんがりだけど、中が生焼けなんてことも修行中はあるそうだ。薪じゃなく魔石になった分だけ火加減が楽になったから、かなり失敗はなくなっていると聞いている。

流石だよね。


オーブンは温度も時間も設定できるから、素人でも使いやすいと違いは歴然だ。だけど結局何度でどれだけの時間が必要になるかとか、使い熟さなければならない為、慣れるまでは使えているとは言えないデメリットもあった。

その分、長年の勘で目で見ながら焼けるほうが、楽かもと思った。

パン屋のおじさんの言い分、本当に納得。


そんなオーブンだけど、大量のお肉を焼くという事だけを考えたら、かなり画期的。

その間に手が離せて別のことが出来るし、長のようにレアでいいなら尚更便利だよね。一度に両面焼けるなんて。

しかも野菜も一緒に焼けば、つけ合わせも一緒にできるし、あのサボテン牛乳でチーズが出来たら、更に料理の幅が広がる。

これは早く作っていかねば!


色々考え事をしていたら、色々と目の前で準備が整っていた。

ソルさんや、流石です!

リュビはゴルフボールより少し小さめの魔石に、魔力を入れていた。

黒ずんだ石が、深紅に染まっているところを見るのはとても綺麗で、見ごたえタップリだ。


「箱はどれぐらいの大きさ?」

「横2m、高さもそれぐらい、奥行きはその半分ぐらい」

「そんなに小さくて大丈夫なんか?」

「母さんが扱える限界の大きさ。あたしだと鉄板持つので精一杯」

「た、確かにな。まあ、ええやろ」


それから大きさが決まったので、それに付随する中に並べる鉄板や、熱の伝わり方など考慮しながらなんとか見た目だけはそれらしくなった。

取り合えず、稼働させてみる。


「リュビ、熱の伝わり方は一定になってる?」

「鉄板の中の方は、微妙だな。真ん中に仕切りを作って、二段にするほうがいい」

「あ、そうだよね。わざわざ全部にしなくてもいいか」

「それはいいが、マリーは何故わしに高さを2mで作ってほしかったのだ?」

「丸焼きというか、内臓など全部出して、その中に野菜とか米とか入れて焼いたり食べたら、美味しいかも?と思って。やったことないからわからないけど」

「ソル、熱を伝える板は取り外しが出来るように出来ないか?」

「そうじゃな。魔石の量がいるが、こんなデカい魔石じゃなくてよくなるから、誰でも作りやすくなるか」


横でふんふんと聞いていたが、声だけ聴けば、可愛い容姿の精霊が話しているとは思えないよね。熟練の職人さんと話している気分だ。

そして、家でオーブンを使い慣れたら、あたし用にミニサイズのを作ってもらおう。

焼きおにぎりが食べたいときとか、ちょっとパンを焼いて食べてみたい時とか、ちょっとしたときに便利だと思うんだよね。


あ、オーブン出来たらチーズを使った料理が美味しい。チーズに必要なのは、塩とレモン。

レモンか・・・。こっちに近いのはあるんだよね。たしかリーネ?だったかな。見た目も緑だしみかんみたいな形だから、見た目は柚子の青いままの感じに近い。使ってみてダメだったら、考えよう。サボテン牛乳だから動物性じゃない分、豆乳チーズに近い味になりそうだし。

オーブン作ってもらう間に、あたしはチーズもどきを作ってみよう。


では、リュックから鍋とミニコンロを取り出しまして。

「森の精さ~ん。あのサボテン牛乳取ってきて。美味しくできたらあげるから」


何処からともなく現れた様々なピンク色の森の精。好奇心満載でわくわくが伝わってくる。

この調子だと気合入れて取ってきそうだ。急いで鍋だけでなく、サボテンの葉を並べて置ける箱を錬金で作った。


「この中に中身が出ないように、並べて置いてね」

返事をするようにフルフルと震えたすぐに、森の精は飛んで行った。

う、わぁぁぁぁ。

可愛んだけど、数が多くてちょっと引いた。

いつの間にこんなに増えたのだろう?


ダメだ。呆けている場合じゃない。先ほど飛んで行ったばかりなのに、早速帰ってきた子たちが居た。

「あ、とりあえずそれらはこの中に入れて。後、リーネを何個か森からとってきて欲しい」


葉を逆さにして鍋に牛乳を入れるとすぐに、森の方向に向かって行ったところを見ると、どうやら取ってきてくれるらしい。リーネを取ってきてくれた子たちには、一番に食べてもらわないとね。


さあ、レッツチャレンジ!


あれ?あたしなんでチーズ作ることにしたんだっけ?

我に返った時には、遅かった。

チーズはまだかと順番待ちをしている森の精の行列が、目の前にあった。



読んで頂き、ありがとうございます。


相変わらず、マリーは興味があることに動きますねぇ。

何の為に脳内メモをしたのやら・・・( ;∀;)


 Merry Christmas!! 

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