表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アラフォー女転生 卵ガチャで目指せスローライフ! 【完結】  作者: 桜田 律 
第一章 5歳 スキル『ガチャ卵』の真相
9/193

8.水の精は酒の精と名付けよう

水の精と何故か寄ってきた森の精と一緒におしゃべりしていると、父が帰ってきた。


「父さん、どうだった?」

水の精を突くのも飽き近くで薬草を取っていたエディがかけよった。

ニヤリと笑った父は、背中に背負っていた物を見せた。


おお、大きい!鹿?


この世界の鹿がこの大きさが普通なのだろうか。だって角が凄いよ。

このまま武器になるんじゃないかと思うくらい。この角で突かれたら間違いなくあたしは、あの世行きだね。

エディは興味津々だけど、角なんてどうでもいい。武器のように振り回して足に落として大けがする未来しか見えない。


そういえば、あたしなんで前世死んだんだろう。覚えていないことは、ある意味幸せなのかもしれない。

死因がわからないから、何かが怖いとか、トラウマが全くないのだから。


そのかわり・・・食べ物のことはよく覚えてるんだよね。

どれだけ食い意地が張ってたんだか。


食べ物の事考えたら、ダメだね。

よくラノベで食べ物改革しているのを読んだけれど、自分の身に起これば納得しかない。

食べることが好きで、甘い物、お酒が好きだったアラフォ女は、その年齢特有のお肉がついているぽっちゃりさん。

わかるでしょ?


醤油や鰹節がめっちゃ、欲しい。

海が近くにないからカツオは無理でも醤油に近いのがないかな。

あれば万能調味料。


今だって鹿をよくわからない薬草か塩だけの味付けよりも、醤油でタレを作りたい。絶対にタレにつけたお肉、美味しいと思うんだよね。

だって・・・臭みがあるお肉はちょっと苦手。


頑張って食べているけど、記憶が戻った後食べたらちょっと嘔吐しかけたのは、記憶に新しい。そんな贅沢でちょっといやな5歳児の舌を持っていたりするのだから、切実だ。


はあー。無い物ねだりだな。スキルがあってある意味便利だけど、万人ができることじゃないから、やっぱり不便に感じる。


醤油の作り方なんて知らないし、変に張り切って作って、カビだらけで食中毒とか嫌だ。


仕方ない。ないものは無いのだ。出来ることをするしか無い。まずは、目の前の果物たちから油でもとって、揚げ物にしてもらおう。


絞ったカスとお酒でお肉を漬け込んで、焼くために柔らかくするのもありだし。

美味しいものは正義!美味しく食べる為の試行錯誤はするのだ!

ちょっとお腹空いてきたよ。


そんな食べ物に想いを馳せていると、あたしを除けた3人で帰りをどうするかという話をしていた。

確かに・・・。

予定外に、荷物が多い。


父は大鹿担いでいるし、母とエディは果物持って帰るし、あたしをどうやって持って帰るかということ?


いやいやいや、歩くし。しかも、二人で持って帰れる果物の量じゃないと思うの。

それともファンタジー的なあれ、もしかして収納袋とかあっちゃう?

どうなの??


耳を傾けてみたが、

結論、我が家にはなかった。

残念、無念。


魔物の中には子育てを自分の袋の中でするのがいるらしく、その袋を加工すれば出来るらしい。

カンガルーみたいな魔物ってことだね。

いいねーいいね。

卵からそんな子出てくればいいよね。

ついでにあたしもその袋に入っちゃえば、移動が楽そうだ。

そう都合よくはいかないのが、ガチャの宿命だけど、夢見ることはやめてない。


そういえば、次ガチャが出来るのいつになるんだろ。

マニュアル本とかないから、なんでも試してみないと。


卵に想いを馳せていたら、荷車に乗せられるところだった。

「あれ?」

やっぱり、アイテムボックス的なものが?!

「マリーはボンヤリしてるからなあ」

「そんなことない」


前世よりもシャキシャキと、機敏に動けている。

「ボンヤリ?トロイの間違いだし」

「おっとりというの!」


エディの声に、強くは反論ができない。

何故ならこの荷車はエディが村から借りてきたものだから。

本当にいつの間に?だよ。


エディは10歳とは思えないほど、力持ちだし走ると速い。エディだけが恵まれているのかといえば、それもまた違う。一つ上のリリーもまた、6歳とは思えないほど動ける。


おかしい。

前世よりは動けている、心の中で言い訳するしかない。


いや、異世界だ。諦めるは早い。一つ歳をとれば同じぐらいにはなるはず!

あのかーさんの子だし!

森へも行けるし、この子達もいるしね。


「ねー」

ただ心の安寧の為に同意を得ようと、首を傾げながら精霊たちに声を掛ける。

「「ねー」」

この以心伝心、満足!


ただねー。何故かあたしに張り付いている、テーレの眷属である綿毛な森の精ならともかく、グミのような水の精とも、何故か完全に念話では意思疎通が出来るようになっていたことである。

その前でも、酒!だけははっきり聞こえてきてたんだけどね。


グミちゃん、謎生物である。

テーレの眷属になったのかな?

後でとーさんに聞いてみよ。


『お酒、お酒、美味しいお酒!』

・・・。

やっぱりお酒しか言わない?


『果物の数だけ風味の違う、お酒があるー。穀物の種類だけ、味わいがあるー♪』


通だね。昔々はそんなに酒作られていたのだろうか?どこかにそんな資料あるかな?

作れるのなら作ってみたね。

今は残念ながら5歳で飲めないけど、お酒好きだから熟成させればいいだけだ。


『お酒があれば、大地が潤う。新しい命が産声あげる。幸せ一杯!』


『幸せ一杯で火の精が地面温めて、地の精が増え作物育つ。空の精増えて夢広がる!王の帰還!わっしょい、わっしょい。お酒もってこい』


な、何気にすごいこと言いやがりましよ。この水の精改め、酒の精。

これ、村の寄り合い案件ですよ!


スローライフって、騒動大きくする暮らしじゃないよね?

違うよね?!

しかもあたしにだけ聞こえて、これ父母に聞こえてないとか、勘弁してほしい―――――!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ