72.公園フィーバー
集会場の裏に作った公園が、今大変なことになっている。
あたしは子供たちの交流の為に作ったんだよ?
決して大人たち、精霊たちの遊び場を作ったわけじゃない。
なのに、なんで村の一大イベントみたいになってるの?!
楽しいこと大好きな精霊に止めさせるという選択肢はない。
止めさせたら最後、自分たちで魔改造してしまうだろう。今でも若干してるけど。
ただ、大人が意外だったのだ。
まあ、確かに流行りのゲームを支えていたのは、お金と時間に余裕のある大人たちだったが、それにこれも当て嵌まるのか?
近いのはサバイバルゲームに嵌っている大人たちって感じ?
ちょっと違う気がするけれど、そんなものだと理解しておこう。
大人たちは何故かターザンごっこに嵌っている。もはや木とは呼べず、テーレによって樹となったところから、葦で渡っている。
避難訓練とでも思っておこうか。
ブランコではもっと酷いことになっている。ブランコより飛び降りてどこまで飛べるとか、子供の前でしてはいけないことNO1のことを。
これはどうにかしないといけない。
「シン!」
しきりに遊んだ後で満足しているからなのか、すぐに遊んでいた葦から下りてきた。
「ブランコ、漕げないように風を止めて」
「お安い御用」
突然ブランコが止まる。
カクンと地面と平行に戻った椅子に驚き、落ちそうになっているが、流石おじちゃんたち、ロープを持ち直して留まっている。
「シン、声を風に乗せて」
「おじちゃんたち!子供の遊び場になにしてるの!子供がまねして怪我したら、危ないでしょ!どんな小さい子が遊んでも、みんなで楽しくコミュニケーションとれるようにと作ったの!遊ぶなら別のところで遊んで!」
怪我したら果実水があるとか、言わせないよ。大人の枠組みで考えたら駄目なのだ。
モンスターペアレントがいるわけじゃないから、大丈夫なのはわかっているけど、それは今だけだし。
ブランコとして正しい遊び方をして欲しい。
自分たちが我を忘れて遊んでいたことに、今更気が付いたらしい。皆眉が下がった。
「すまない」
おじちゃんたちには、正しいブランコの乗り方をレクチャーした。これ以外の乗り方はしないことを重々お願いした。どうしてもアクロバティックな動きがしたいなら、村の外で自分たちの責任範囲で遊んで欲しいと。作り方は簡単だから問題ないでしょ。
その代わり、もっと豪快な大人向けの滑り台だけは作ることを約束した。ジェットコースターとかバンジージャンプとか、スリルを味わうのが好きな人がいることも、確かだしね。何でもかんでも禁止では大人もちょっと可哀そうだ。
もっと文明が発達したら、ゴーカートやミニ列車を作りたい。
村の中だけなら、レールを敷いてミニ列車ならいけるかな?
取りあえずこの公園の中だけ一周するぐらいなら魔力も持つだろう。それ以上作って欲しいということになれば、洞窟攻略後ソルと一緒に、気合入れてみよう!
まず、魔石作りだけど、リュックからジャラジャラと出してみる。僅かに魔力は感じられるけれど、本当に微妙だ。これに風属性を付与してみる。
小さな箱を錬金して、土のタイヤを4つつける。風属性の魔石を嵌めてみる。4つほどつけた時にやっとノロノロと動き始めた。
微妙だね。
まあタイヤの部分をソルが持っている鉄と交換出来たら、もう少し進むでしょう。
こんな感じだと地面を平らにして、レールも鉄を含ませないと駄目だろうし、今日は実験が出来ただけでもいいかな。
ミニ列車は作ること決定。
時間が出来たら、メリーゴーランドとかもいいけれど、もっと先のことだと頭から追い出した。
やるときには遊園地を作る時だ。
今はまず公園!
やれることが増えたからと言って、やりすぎてはダメなのだ。
ミニ列車を作ろうとした時点で、まあ手遅れな気もするけれど、自分の中の区切りかな。
そういえば今更だけど、シエロはどこにいるのかしら?
家の裏庭?
好きに食べたらいいと言ってあるから、また果物でも食べているのかな。
思った以上に、食いしん坊キャラになったシエロに、なんとなく頬が緩む。
食べ過ぎてなくなったら、土地にも果樹にも魔力注入して、果実が付きやすいようにしないとね。
なんて呑気なことを思っていたら、いきなり巨大な神気が放出された。
シエロは何を始めたわけ?!
慌てて裏庭に瞬間移動した。
あばばばばっ。
あたしの平穏ってどこにあるの?!
神気が収まって現れたのは、・・・。
あんた、誰?
読んで頂き、ありがとうございました。
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ブックマーク、間違っていないことを祈ります。
(急に増えて、急に減ったりするとショックで固まってしまうので)
二日後の更新は確定です。