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アラフォー女転生 卵ガチャで目指せスローライフ! 【完結】  作者: 桜田 律 
第一章 5歳 スキル『ガチャ卵』の真相
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6.森の変化

村から森へと行く道は、あたしの足で一時間ほどかかる。それでは時間がかかりすぎると父が抱き上げた。

確かに空を見上げれば陽がだいぶ高くなってきているのがわかる。お昼は近そうだ。

森の入り口で簡単にお昼を食べてそれからか入ろうということになり、村の中を歩いていく。途中村の人たちは森の変化に気がついているようで、何事かと騒いでいた。


「ホセ、森へ行くのか?」

「ああ、安全になったのでな」

「じゃあ、やっぱりあれは見間違いでなく、森の精・・・」

「それに関しては今から森へ行って確かめてから、発表しようと思う」

「ホセが確信しているなら、いい。マリーちゃんの傍にいる精霊がいる限り大丈夫じゃろ」


話を聞きながら、不思議に思う。木こりの中では有名な話なのは分かるけれど、見ただけでドライアドがわかるとか。あ、鑑定?

それにしても村人のスペックが高いのか、これがこの世界の常識なのか。村人1では勉強は必要ないかと思っていたけど、一度ちゃんとこの世界に向き合ってみるものいいかもしれない。


村を出ると少し開けた草原が広がっている。その草原を潤すように2メートルほどの川が流れ、木を倒して作っただけの橋がある。あたしが許されていたのはこの川までだ。

その草原からでも森の様子が違っているのがわかる。


「ここまで、か」

抱き上げられているあたしには、父が息をのむのがわかった。

「同じ森とは思えないわね」

「おお!すげー、昨日と違う!」

うん。違うね…。

家族のそれぞれの感想を聞きながら、あたしも森を見た。


まず、森の大きさが違う。入口のあたりは高さの低い木だったり、疎らだったりと森とは言えない林のような感じだった。それが今どどーんと木がそびえたっていた。

そのそびえたっている木々に、ピンクの綿毛が付いているのが見えた。

こちらに気づいたのか、風に揺られただけなのかわからないが、綿毛が楽しげに揺れる。

もうこれは突入しかないでしょ!

さあ、行くのだ。ホセ号!

出発だ!

父を急かせるように服をつかんで揺らせば、ハイハイとばかりに動き始めた。


森の入り口に入った途端、森の奥にまで行かなければ見られなかった花や薬草が生えている。そして入り口近く、ピンク綿毛が止まっていた近くの高い木には、ポムが鈴なりになっている。


「ここまでか!」

「本当にあの森なのかと疑ってしまうほどに、凄いわね」

「僕、ポム取ってくる!」

「あたしも!」


父から降りて木に向かおうとすると、そのままダメだとばかりに捕まえられた。

「いく!ポム、テーレのごはん!」

「ごはん!テーレとる」

テーレはすぐにポムの木に近づくと、自分より大きなポムを掴んだ。

持てるの?という疑問はすぐに解けた。

ポムが浮いている?

なるほど、森の精が運んでいるのか。


ふわふわとポムがやってくるのをみていたら、あちらこちらからポム(りんご)以外にも、フルート(キウイ)、ペラ(梨)マンダリン(みかん)が漂ってくる。

父に降ろしてもらうと、目の前に貢物のように置かれ山積みになっていく。

森の精からの歓迎の意らしいけど、多くない?


その山積みになった果物をテーレがじっと見ているので、母がナイフを出しポムの皮を剥き食べやすいように小さく切り始めた。

するとその周りに、ピンクの綿毛の塊が集まってくるのが分かった。


「たべる?」

どうやら正解のようで、あたしはピンクの綿毛に囲まれる。

おお!もふもふ。もふもふだよ!柔軟剤を入れた高級タオルよりふわふわ・・・。

幸せ―。

あたしがもふもふに癒されている間、母はずっと森の精に果物を剥いて、切って、剥いて、切ってを繰り返していたらしい。幸せな時間が終わったら、げっそりとしていた。


森の精はかなりの量を食べたようだが、それでも以前森で一日歩き回って収穫できた量の10倍はあるようで、これを抱えて森の中に入るのは得策じゃないと父は判断し、ここでお昼を食べた後森の奥へ入るのは、父だけになった。


エディは森に来たのにと少しばかり地団駄を踏んだが、母が隠していた弓で鳥を打ち落とすと肉だ!と喜び解体を任されることで、満足したようだ。


母よ。弓何て使えたんだね。何気にハイスペックなのを隠しているけど、隠れてないから。多分父と同様冒険者だったに違いない。そうでなければ、偏ってはいるけれどやたらと察するのが凄いことの説明がつかないし。


エディがお母さんみたいな人と結婚する!って言っているうちは、多分隠す予定なのだろう。エディだと餌付けとばかりに肉持ってくる人のほうが好きだと思うんだけどなー。

あたしはもふもふを堪能したし、果物たくさんここにあるし、薬草も近くにあるので不満はない。


持っていたお昼ご飯、といっても朝と同じパンにポムのジャムを添えて、食べた。足りない分はたくさんある果物で補えるという贅沢さだ。


父が森の奥へ向かった後、あたしはお腹いっぱいでうとうとしていた。

テーレも小さな欠伸をする。

うん。のどかで眠たい。

ちょっとだけ…。

目を閉じるとすぐに意識は落ちた。



出張に1週間ほどPC触れないので、更新ゆっくりになります。

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