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66.ゴーレム

シエロに乗って空から下を見る。

しまった!あたし、高いところ苦手だったんだ。

心臓がバクバクと音を立てて流れる。足がいきなり竦んで、シエロに乗っているのも覚束ない。

それでもここで降りるわけにもいかず、シエロに突伏くするようにして鬣を掴んでいた。


暫くすると心臓の音も静まり、マリー自身も高い所になれてきたのか、平常に戻ったようだ。

「マリー大丈夫?」

「うん。大丈夫になった」

「うんとね。神様が騎乗スキルとバランス感覚を授けたって」


ほお。そんなことをしてくれたのか。神も中々気が利く。

「聖女が天馬に乗れないとか、ありえないからと」

体裁を気にしてだった!

それでも、きにしてくれていることには変わりがない。細かいことを気にしても仕方ないから、有難く頂いておこう。


空から偵察が出来るようになったので、気配を探りながら先ほど感じた異変の元を探る。

カランキ村から数キロのところだから、そろそろのはずなんだけど。

あ、いた。

石、いや岩の塊?が動いている。これは、あのラノベに出てくるゴーレム!

喜んでいる場合じゃない。あいつが拾って食べた分だけ、どうやら少しずつ大きさや見た目などが変質しているみたいだ。

足跡が段々大きくなってきているから、間違いない。


「シエロ、ゴーレムって核を壊したら動かないんだっけ?」

「そうだよ。でもあれはミスリルとかで出来ているわけじゃないから、壊せばいいよ」

「そう、だね。シエロなら一発?」

「残念ながら、マリーの命の危険がないから使えないよ。魔石食べているだけで、何かあったわけじゃないから」


ああ、なるほど。そういう判断になるんだ。『裁き(ジャッジメント)』は、確かに百発百中の最強スキルだけど、万能ではない。となると、あれを壊すなら、鉛の玉、鉄球みたいなものをぶつけるとか、上から落とすとか?


「あれ?シエロ、前足で壁を簡単に粉々にしてたよね?」

「うんとね。魔石をあまり食べていない段階なら出来たと思う。だけど、ちょっと堅くなりすぎてるかな」

じゃあ、やっぱり鉄球落としてみるしかない。

「シエロ、真上に飛んでね」


真上に来たのを確認して、いざ。

「鉄球、大きさ直径15cm 5連発」


頭の部分は半分ぐらい欠けたけれど、核は頭にないらしく問題なく動いている。それどころか修復するために魔石を拾い始めた。

それがあった!先に拾わないと。


魔石探索。う、頭がズキズキする。こんなに広範囲だったなんて。それでもここですべて拾わないと、ゴーレムが復活する。

すべて魔石、あたしのリュックの中に入れ!『来い』


あ、久々の魔力不足。

「シエロ、よろ・・・」


父さんの声が遠くから聞こえた気がした。

「マリーをよくも!」


目を覚ました場所は、自分の家のベッドだった。

家の外では夕飯の支度を始める人たちの声が聞こえる。どうやら今日連れてきた子供たちのお世話をしてくれている人たちのようだ。


「この村では子供が少ないから、着替えが少ないわね」

「そうね。とりあえず切ってお直しが出来るように、みんなにお古を出してもらってるのだけど、足りるかしら?」


今が初夏に入り始めたぐらいだから、大丈夫かな?

心で返事をしてみる。

良かった。みんな好意的に見てくれている。


「マリー、起きたの?」

奥で夕飯を作っていたと思われる母さんが、様子を見に来てくれた。

「うん。お腹空いた」

この匂いはあたしの前世から大好きな肉じゃが!お味噌汁、米!


母さんがここにいる時点で、危険は去っているということだ。あれからどうなったか詳しく知りたかったが、それよりも本能が食事を欲していた。


「ご飯を食べながら、その後のことは話すわね」

流石、母さん。わかってる。

「子供たちは?」

「サンがいるから、みんな安心してご飯も食べてるわよ」

「良かった・・・」

「ご飯を食べたら、一緒に集会場に行きましょう」

「うん!」


ご飯を食べながら状況を聞いてみた。

あたしがシエロの上で魔力不足に陥った時聞いた声は、やっぱり父さんの声だったらしい。

洞窟を見つけて帰ろうとしているときに、大きな魔力がカランキ村の方に向かっているのが分かり、シャンスに乗って駆け付けた時、あたしがぐったりとしているのを見て、頭に来たらしい。

父さんの手により、ゴーレムはミスリルの斧で一発で壊されたそうだ。

父さん、凄い!


その後もあたしと一緒に村に戻りたかっていたが、母さんが戻る代わりに父さんが、エディと一緒にカランキ村に留まることになったらしい。


「どうして?」

「エディがあの洞窟が崩れかかっているって言ってたでしょ?」

「うん」

「あれからエディとミミが洞窟を調べていたら、もっと奥に空洞があることが分かったの」


流石にエディとミミだけで洞窟を掘るのは危ないから、どうしようかと思っている時に父さんの登場だったわけだ。

「だからマリーはちょっと休みなさい。体を壊すわよ」


洞窟は見つかったし、カランキ村のことも父さんが見てくれるなら、とっても安心する。

「ねえ、母さん。それならリュビやソルは?」


母さんは「ブレないわね」と乾いた笑いをした。

「見つけた洞窟に留まって確認をするそうよ」


それなら重要事項だから仕方ない。

だけどもふもふ成分足りなくなってきたよ。

それに子供たちにも紹介したかったのに、残念。きっともふもふには癒されると思うんだけどなぁ。


シエロの鬣?もちろん、良い感じだよ?

でも、全身がもふ、っていうのが欲しい。

わかる?

疲れた時には柔らかくて温かいものを抱きしめるとストレスが減るっていうし。

もふ、もっふ。

仕方がないから、リュックを抱きしめておこう。



次回「笑え」

読んで頂き、ありがとうございました。


ブックマーク&評価、ありがとうございます!

仕事が忙しいのと、ちょっと躓いていたので更新速度落ちそうなのですが、

頑張って書けそうです。


誤字脱字報告もありがとうございました!

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