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42.やってきたフェンリル(もふもふ)達

それから間もなくして到着したと念話が届いた。

ではではと迎えに出ようとして、隣村の人たちの目に触れることに気が付く。

これって大丈夫?


ここは父さんを召喚!

父さんと事情を知らない相談役の村の人たちに、フェンリルがここに大集合することを伝えた。


「想像もつかないな」

「摩訶不思議な現象に慣れてきたと思っておったが、流石マリーだ。規模が違うのー」

「そう、おう?」

「フェンリルが人間と関わっているというだけでも凄いことだ。それを普通といい、長まで来るだけでも大騒ぎなのに、群れを連れてくるとかあり得ないことじゃ」

「マリーは大物だな」

いやー、褒めてくれてテレテレだよ。


「はあ~。マリー褒められていると思うのが凄いな」

大物って誉め言葉じゃないの?ん?


「まあ、今はそれどころじゃない。お待たせするのも悪いし早く入っていただこう」

そうだよ、そうそう、それを相談しに来たんだ。


「じゃあ、門を開けて一気に雪崩れ込んでもらったのでいい?」

「その表現もどうかとおもうが、お待たせするほうがダメだろう。隣村の人たちには白狼の子供を見回りに使っていると言えばいい」

おお!所謂テイマーですね。

職業テイマーって憧れるね。


ということで、もふもふさんを召喚です!

外側につけられた門を開けると、シャンスを先頭にもふもふさん達が入場してきた。

すぐに村の門を開けたので、そのまま駆け足で入ってもらう。

小さくなってもらったとはいえ、さすがフェンリル。光に透けると銀糸とも金糸にもみえる見事な毛並みで、艶やか。見事な毛並みに、堂々たる風格。

思わずほおぉ、と声が出たほどだ。

うっとりするよ、素敵なもふもふ達。


当然隣村の人たちは突然現れた神々しい白いもふもふに、唖然として固まっている。それをいいことに、さっさと門を開けた人に閉めてもらった。

きっとお肉でも食べたら自然解凍するでしょう。


さあ、フェンリルたちのおもてなしタイム!


すぐにシャンスが駆けてきて、飛びついてきた。

抱きかかえられるぐらいの大きさ懐かしい。

「シャンス、頑張ったね!ケガはない?」

「ないよ!沢山倒したの!」

「偉い、偉い、シャンスカッコいいよ!」

えへへ・・・なんていうシャンスが可愛くてモフモフしながら抱きしめていたら、襲われた。


おおおおおっ、もふもふに襲われている。あの憧れの風景に今、あたし、なっている。

サモエドの子犬に埋もれている映像に、なんて羨ましい光景だ。可愛いもふもふがいるあそこに行きたい!と画面に向かって悶絶していたあの光景。

ああ、きっとこれは、世界樹たちに迷惑をかけられたご褒美だ。

最高――――!


「これ、マリー殿が困っている」

このイケメンバリトンボイスの主は誰?

もふもふが引いた後に見えたのは、なんとも凛々しい顔立ちのフェンリルだった。

一目でこのフェンリルが長だと分かる。それぐらい他のフェンリルとオーラが違う。これが王者の貫禄というものだろうか、目が合えば思わずひれ伏せてしまいたくなるぐらい神々しい。


「長、この度は森の危機を救って頂き、ありがとうございました」

大事なことは一番に言わないと意味がない。

素早く起きて、キリッとした顔で言った。


まあ、よれよれのワンピースで、フェンリルの毛だらけの締まらない格好ではあるが。

そこは必殺「子供だから」で行ってしまおう。


「よい。森の危機は我らの危機でもある。そなたには森を浄化してもらった恩もあるし、助力はおしまんよ」

首を傾げるあたしに長は続ける。

「サクレを増やしてくれたであろう。そして『種』とその連れを保護してもらっている。この世界の重要人物の警護は、大事だからな」


重・要・人・物

フェンリルの長に言われると、重みが違う。だけど世界の重要人物とか、誰?って思う。

以前のあたしなら委縮して意を痛め、胃薬の開発なんてしそうだけど、なんだろうね。世界に溶け込むと言うのか、馴染むと言うか違和感がなくなってから、なるようになる。なんて呑気なことを思えるんだよね。ゲームで言う精神性(Mind)が上がったという感じ?と言えば分かりやすいかも。


「フム、やっぱり面白い」

考え込んでいたあたしを観察していたようで、納得顔で頷いていた。


「面白いですか?」

「面白いな。シャンスだったか、マリー殿に懐くのもわかるよ」

何が面白いか言う気もないようで、そのまま顔を宴会会場の肉に向けた。


え、あたしの面白いは肉に負けたの?!

そりゃー美味しくなるように工夫はしたけど・・・。でもまあ、肉に負けたのなら仕方ない。美味しいは世界を制する、絶対的支配者だ。

お腹が同時にぐぅううと鳴る。

結構な音で、ハラハラとして見ていた父さんたちも、緊張が解けたようで笑いが起きた。

レディとしてはあるまじき行為だが、父さんたちの役に立ったのならいい。


「長、村のみんなでお肉沢山捌いたの。しっかりと食べてから、森の事教えてください」

そう言った途端に、あたしの周りにいたもふもふ達は、肉が盛られている場所に走り去り、波が引けるように居なくなった。


露骨な態度にしょんぼりだよ。

項垂れたあたしの両肩に肉球が乗る。

「シャンス!と長?」

「マリーのお肉おいしいの」

「と、散々自慢されたのでな」


なるほど。その判断に悔いがないよういただき、しっかりとおもてなしさせて頂きましょう。

―――といっても、焼くのは大人だけどね。


お腹空いた。

さあ、食べるぞ!


読んで頂き、ありがとうございました。

出張期間に入ります。

二日に一度は更新できるように、頑張ります。


次回「良き隣人とフェンリルの長の考察」

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