表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/193

41.白いもふもふが村に沢山やってくるらしい

ここはソルとリュビに任せて、お迎えの準備をするためにまずは家に戻った。


家に常備されている果実水ポーションをぐびっと一気飲みして魔力を補充。

(残念ながら腰に手をやるのは、忘れていた)

うん。魔力も体力も満タン。


だけど質量的に満タンにならないのが、胃である。

グーグーと抗議をし始め、何か食わせろと訴えかける。


それもそのはず。村総出で肉祭りとばかりに焼かれているからだ。辺り一帯肉汁の香りで空気が覆われ、口の中まで涎で一杯になって油断をすれば溢れようとする。

危険な兆候だ。


口の周りをクイっと拭くと、気合を入れて口を結び宴会会場まで小走りに向かった。

宴会会場になっている村唯一の広場に行くと、そこではど真ん中でドドーンとお肉の塊が置かれていた。

流石あのデカかったイノシシ。迫力がある。

これならきっとフェンリルの長も満足するだろう。


次々に焼きやすい大きさ、だけどフェンリルが食べるに相応しい分厚いお肉に切り分けられ、太い串に次々とさしていく。そうして出来たお肉の山が次々に焼かれるのを待っていた。


あれ1つも全部食べ切れないと思うけど、ガブっと一口はいってみたいな。日本でならレアだとどうしても好きになれなかったけど、ここでは加護がいっぱいでお腹壊すこともないし、過保護な精霊たちがいるからすぐに体調整えられるからね。興味が出たものはちょっと口にしたくなる。


お腹が空きすぎて話が逸れた。

あたしにしか出来ないことをしなきゃ。


『シャンス、もうすぐ村に着く?』

『あ、マリー。マリーだ!』

シャンスが凄くはしゃいでいる。大量のお肉でも仕入れたかな?


『ええとね、みんなで行ったらきっとお肉が足りなくなると思って、今回狩ったの全部持っていくことにしたの。あとね、長が人間にはお肉だけでなく素材?もあった方がいいっていうから食べられないのも、持って帰るね』

『あ、うん。ありがとね』

なんて気遣いが出来るフェンリルだ。隣村のやつらに爪の垢を煎じて飲ませてやりたいね。


『でね、村の人たちをびっくりさせたら駄目だから、小さくなっていくって』

『・・・すごい』


フェンリル、流石森に君臨しる獣王。どれだけの力を秘めてるのだろう。

シャンスの育て方も間違ってないか確認したいから、時間があれば色々と聞きたい。


『でね、』

『あ、ごめん、なに?』

大事な念話中だった。意識を飛ばしている場合じゃない。


『小さくなれるなら、みんな行きたいっていうの。大丈夫?』

ん?みんな?

『えーと、みんなってどれくらい?』

『うんとね。マリーの両手ぐらい?』


・・・・・・。

両手は2本だけど、それならみんなとは言わない。ということは、10本?!

『とにかく、たくさん!』

『わかった。小さいままでゆっくり来てね。頑張ってお肉焼くから』

『みんなすごく喜んでる。ありがとう、マリー』


ここにシャンスが来たときと同じような大きさのフェンリルが10匹!

シャンスは今でも可愛いけど、あの時の抱きかかえられる可愛さとは違う。あのふわふわ、もふもふがもう一度味わえるということですか!

もふもふの中に埋もれることが出来ってことですか!

これを喜ばずにいられるわけがない。

きっとお肉を目の前にしたフェンリルは、キラキラとした目で見つめてくれるに違いない。


こうしてはいられない。すぐにでも母さんに伝えて気合を入れてもらわねば!

あたしもタレの種類を増やすよ!


必死に走って母さんを呼ぶ。

「母さん、母さん!」

「もうすぐ村に来られるの?」

「そうなんだけど、それ以上に気合を入れないと」


その言葉で村の人の視線が向く。

「フェンリルの長だけじゃなくて、みんなが来るみたい」


「あ、でもね。長が大きいままだと迷惑かけるから、小さくなってから村に来るって」


色々と対処に長けている村の人たちでも驚きを隠せないようで、一気に騒めく。

「おい、マリーみんなって、精霊の森に住まわれているフェンリル総勢で?」

「そうみたい。両手ほどといってたから、多分10匹ぐらい」

「いやいやいや、10匹ぐらいって」

「凄いよね。真っ白でふわふわのもふもふが勢ぞろいだよ」


「・・・ホセの大変さを痛感したよ」

どういう意味よ。

ぷーとほほを膨らませて抗議をしてみたが、他の人たちは深く頷きその言葉を肯定した。


え、あたしの感覚がズレてるの!

え、誰か答え合わせして。

常識をこの世界の常識は何が正解?


「いいんだよ、マリーちゃんはそれで」

「そうだな。その感覚の違いが今の村なんだろうな」


そこは否定しないけど、感覚がズレてていいと言われると逆に本当に大丈夫なの?って心配になるんだけど。

目で訴えかけても誰も答えてくれなさそうなので、とりあえず保留にしてタレを作ることにする。

美味しいって、もふもふに囲まれることのほうが今は最優先事項なのだから。


さて、タレは簡単に子供用の甘口タレ(色んな果物を摺り下ろした果糖の甘みあり)

次にフェンリルも大丈夫 普通のタレ(ニンニクショウガをタップリ摺り下ろし、臭みを消すハーブや薬草を細かく刻み攪拌させたもの)シャンス参照

最後に酒飲み用に普通のタレに辛みをつけた辛口タレ(磨り潰すと豆板醤みたいになるものを投入し、攪拌させたもの)


これで完璧な布陣だ!

さあ肉を焼くのは他の者に任せて、接待は完璧にしてみせるよ!

さあ、やっておいでもふもふちゃん。


次回「やってきたフェンリル(もふもふ)達」


読んでいただきありがとうございました。


出張前にストック書くぞ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ