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29.出発

朝とてもスッキリ目覚めました。春の陽気に誘われて二度寝、なんてする必要がないくらいシャキッと!

黒助とソル以外の精霊とシャンスは、あたしのワクワクが伝わっているのもあるようだけど、みんなでお出かけというのが嬉しくてたまらないようで既にテンションがMaxだ。

確かに今までこんな大所帯で村を出たことがなかったもんね。


起きて朝食を食べたら持ち物の最終チェックをしてから出発だ。

「こら、エディゆっくり食べなさい」

「わかってるよ」


母さんに怒られていても何のその、当然エディも村の外に出るのは初めてなので、昨日からテンションが高い。それにつられていつもは少し控えめの土の精の「ミミ」さえも落ち着かないようで、コレクションの魔石を並べていたりする。魔石並べてどうするのだろうか。よくわからない行動だと首を傾げていたら、ソルがそれに2つほど足していた。


「もしものことがあってはいけない。これも持っていけ」

「そうですね。どのような事態が起きても対処できるように、頑張ります!」

「ああ、任せたぞ。車に何かあれば大変なことになる。必ず夜は問題ないか確認をするように。何かあればすぐに呼べ」

「わかりました。ソル、私頑張ります」

任せたとばかりに頭をポンポンと撫でると、そのまま車の最終チェックに向かった。


くぅ――――――!見ちゃった、見ちゃった、見ちゃったよ。この世界でラブコメなんて見ることないから、思わずガンみしてちゃった。恋愛脳何てここ何年も動かせてないからきゅんとする。メッチャ気になるのだけど、精霊達って恋愛で増えたりするのかな?

子供出来たりしたら、可愛いんだろうな。ソルの子供か・・・。


出発前の準備とか、最終チェックとかやることはあるのは分かっていても、目の前でみたことの方が脳内では優先される。少女漫画とか、恋愛小説とか読みたくなったよ。この世界の本ってどんなものなんだろうね。萌えって大事!


「マリー、食べ終わったなら持っていく物を入れなさい」

「はーい」

久しぶりの妄想は楽しかったのだけど、強制的に終わらせてしまった。残念。


気持ちを切り替えて。

着替えを2着ほどと、まずは調味料を色々足していく。

まず塩や砂糖・胡椒は常備しているから、乾燥キノコ、味噌、醤油、お酒を瓶に詰める。後は野菜類を適当に袋詰めして、バッチリ!


食料は母さんの領分じゃないのかって?7歳になるとお手伝いの域を超え、主力戦力として期待されている。魔女っ娘として火の扱いをしっかり練習した結果、誰よりも上手くなっていたからだ。これはリュビの加護が関係しているのだと思う。

刃物の取り扱いなんてこっちでは5歳からバッチリ習うし、危ないなんて誰も言わない。というか、ナイフが使えないと薬草やいろんな収穫の手伝いが出来なくて、村でなんて生活できない。だから捌くのはお手の物だ。

あ、そうそういざという時の為に、果実水ポーションが出来るように、精霊の泉の水も樽で持っていこう。これさえあれば、魔力関係なく回復できるからね。

「森の精さん、美味しい果物が欲しいの」

季節に関係なく出来るこの果実は本当に重宝する。


「いいよー」 

サクレでそよいでいたピンクのもふもふ達が果実に集まり、袋を一杯にしてまたサクレに戻って行った。

「ありがと」

「いってらー」

通常運転の森の精に手を振って、いよいよの車に乗り込む。


「父さん、運転の仕方分かった?」

「ああ、意外と簡単だ」

ソルに運転の仕方を習ったようで、ばっちりのようだ。

本当はあたしがしたかったのだけど、流石にそれは父さんも母さんも怖かったみたいで、頼むからやめてくれと頼まれた。どう考えてもあたしが一番慣れてるんだけどな。とは言えないので、渋々引き下がった。安全運転第一のあたしのドライブテクニックが披露できなくて残念。


でもまあ、運転といってもオートマモードは、自動運転に近い。行先は精霊たちの案内で進むし、余計な木々はテーレが岩などはミミが除けさせてくれるので、障害物はない。速さは一定で馬車の全速力並みなので、それなりに進むと思う。大型の動物や魔獣が出ても、シャンスの一噛みで勝負はついてしまうし、馬車には結界が掛けられているので、直接ぶつかるモノはない。

これで冒険だといったなら、舐めているのかと冒険者に言われるレベルである。


もしも!のことがあれば、即座にマニュアル運転に切り替え、ブイブイと飛ばす予定だ。


「では、行くぞ」

かなり緊張している強張った声で父さんが出発を告げた。

「動いた!」

エディのはしゃいだ声に精霊たちも一緒に声を上げた。

一応森の中に入るまでは偽装としてフェンリル車としているので、シャンスが先頭で車に繋がれている。それをみた村人たちも初お目見えの車に、歓喜の声を上げる。

あたしが思っている以上の熱気に、ちょっと引き気味だ。


「すごいね」

「そうね。今までは森の中に入ることも、村の外に出ることも命がけで中々出来ることじゃなかった。それが可能になってきたことで、これからの選択肢が広がったから、外を見てみたいと特に成人して間もない子たちが思うのは、当然かもしれないわね」

「母さんや父さんみたいに?」

「・・・そうね。いい経験にはなると思うわ」


自動で進むというのに、緊張して口数も少なくハンドルから手を離せない父さんに車は任せて、母さんの話を聞いていた。

どうやらあたしたちの旅が成功すれば、成人した若者たちをつれて順番に近くの町へ行商に行く計画が立てられているらしい。

勿論この車ではなく、結界を張った馬が引く馬車でだ。

なるほどね。

そのあたりのさじ加減は大人に任せると決めたのだ。今気にしても仕方ない。あたしは、あたしの旅をするのだ!


「シャンス、森まで一気にレッツゴー!」

「「レッツゴー!!」」

精霊達のGoがかかった時には、一気に車が進みあっという間に村が見えなくなった。

ひぇ~。

君たち、はしゃぎすぎじゃないかい?

ちょっとだけ不安になりながらも、この先に何があるのか楽しみで仕方なかった。


次からまた二日更新に戻ります。

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