22.魔法少女デビュー?
お盆休み。短い夏休みともいう。
二日に一回は更新出来たらいいな~。
お墓参りや細々としたことをここで纏めてやらなければと思うと、意外に忙しい?
皆様も熱中症に気を付けて下さいね。
森の入り口についたらシャンスから降りて、リュビとソルを護衛に腕を組み仁王立ちする。
今日があたしの魔法少女デビュー!
「マリー、何度も言うが絶対にここから動くな」
「わかってる」
「リュビ、ソル、マリーを頼んだ」
「もちろん!マリーに傷一つ負わせない」
なんとも頼もしい護衛精霊たちである。
もう何回聞いたかわからない注意事項を聞きながら、胸元にあるペンダントを見た。エメラルドのような輝きに満ちた魔石は、一目で価値が高い物だとわかるものだ。
これはソルが100年間ため込んでいた物の一つで、それにテーレの結界とグンミの浄化がソルによって錬金されている。
これは今日の朝念のためにと渡されたもので、多才な精霊たちに脱帽である。
まあ、これがなかったら村の中でもない限り、5歳児を一人にする親なんていないし、絶対に誰か大人をつけられていた。都合が悪かったあたしの勝手でわがままを言ったのだが。
とーさんは糠に釘状態のあたしに諦めたのか、言い疲れたかシャンスを連れて森の中へ入っていった。
エディといえば、森に入りたかったのにとブーブー言いながらも、お目付け役としてあたしが目に入る浅い森で狩りをしている。
大人はダメだと言ったが、エディは子供だから許容範囲だ。
エディは面白がってやりたがるかもしれないけど、ここから動かない限り止めることはしないと思う。
ではまずは、水を試してみよう。グンミが近くに寄って来て、僕の真似をしてねと水球を出した。
「水よ」
呪文はなんとなく言いたくなった。流石に中二病なんて言葉がはやったけれど、あんなセリフは言えない。
「あ、でた」
「じゃあ、あの岩にぶつけてみて」
「うん。エイッ!」
雪をぶつけたぐらいの威力だ。逆に敵なら怒らせてしまうだけかも。ならば、高圧洗浄機のように一点集中でジャー―――――――――――――ッと。
当たればかなり痛そうだ。これなら逃げる隙を与えてくれる気がするよ。
「うん、まずますかな。スパッとこんな感じで切れたら勝てるよ」
・・・なるほど。いつも穏やかなグンミだけど、やるときはやるタイプなのか。グンミが水を放った場所にあった、雑木がなくなっていた。
5歳児なんで、取りあえず水は高圧洗浄機で大丈夫。
「次は俺様だな」
リュビが同じように火球をだし、先ほどグンミが倒した雑木に向けてなげると、ボオォぉぉぉ――――――――――――ッ。 跡形もなくその木だけが燃えていた。
おおおッ。流石火の中位精霊。他を燃やすことなくターゲットだけ狙えるのは凄い。
凄いけど、火の扱いは普通でも難しい。これは一人ではやってはいけないと案件だ。
怖気づいていると、グンミが消すから大丈夫だよ。って応援してくれるが、森の近くで火は焚き木ぐらいじゃないとダメだと思うよ。
幾らグンミやリュビが優秀でも、人間の常識に合わせないと大変なことになる。
でも折角なので、火を出せるかだけ試しておこう。
「火よ」
うん、出せるね。もし遭難をしてもこれなら大丈夫。
「大丈夫なのに」って煽るグンミとリュビは宥めておいて、最後の地の加護を確認する。
これが出来たならどこでもお風呂に入れるし、遭難しても屋根付きで寝られる。それにこのペンダントがあれば、盗賊や魔物、動物に襲われなくていいってことだもんね。みんなで夜ぐっすり寝られるなんて、凄くない?
なんだか、燃えてきた!
「俺の出番か。ちゃんと聞いておけよ」
「うん!」
ソルの説明によると穴を掘るぐらいなら魔力をぶつけるだけなので簡単にできるが、土を使って錬成するとなるとイメージを確実に土に伝え、またそれらを固めるとなれば水で混ぜて火で乾かすという作業を錬金術ですることになるので、魔力をかなり要するとのこと。
確かに工程が多いもんね。魔力を使うと言うのは納得。
あれ?じゃあ、錬金釜みたいなのがあれば、薬草とかで薬を作ったり、調味料を作ったりすることが出来るってこと?
「錬金釜がなくても、俺にはできるが・・・。そうだな、人間がするには魔力操作が抜群にうまいことと、バカみたいに魔力がいるから難しいかもな」
「れんきんがま、いいなー」
「うん、まあ、その内作ってやらないでもない」
「ほんと!」
テンション上げ上げだ!
材料がわからないから普通には出来ないけれど、この世界の材料をいろんな組み合わせをしていたら、カレー、カレー粉が出来るかもしれない。
よし!それなら小さい物からチャンレンジと思っていたから、まずはカレー皿いってみよう!
ちょっと深めの楕円形のお皿
「れんきん」
ちょっと不格好な形だけど、それなり?
うーん。ごついから重たい。
もう一度!
「れんきん」
今度は先ほどみたいに歪んでない。
でも見た目が野暮ったい。
「れ・・・」
「あぁ・・・マリー、マリーが綺麗なお皿作るなら、土選ばないとダメだぞ」
あぁ・・・。そりゃそうだ。肝心なことを忘れていたよ。人間であるあたしが精霊と同じように魔改造が出来るわけがない。
まあ、臨時でその時だけ使うだけなら、こんなものか。5歳の体で土探しは出来ないだろうと諦めていたら、ソルから素敵な提案がされた。
「白いのが作りたかったら、川の底の砂がいいんじゃないか?」
ソルは渡ってきた川を指さした。
ナイスアイディア!と思ったが、流石にこの時期に昼間であっても、川の水が冷たくて潜れない。
「とって来てやるよ」
「ソル!大好き!」
抱きついて感謝を示すとともに、もふもふも楽しむ。一石二鳥だね!
相変わらず精霊たちの毛はフワフワで温かい。いつまでも抱きついていたいけれど、今は錬金だ!
後ろ髪惹かれながらもソルから離れ、皆と一緒に川に近づく。
目の前に白くてサラサラとした砂が山になっていく。
この触り心地いいね!お皿にするよりも、村に持って帰って砂遊びしたら楽しそうなんだけど。
思わずその辺に落ちている棒を砂の真ん中に刺す。
「このぼうをたおさずに、どれだけすなをあつめることができるか、きょうそう!」
競争という言葉に反応して、精霊たちも砂の周りに集まる。
「よーい、ドン!」
リュビ、グンミ、ソル、あたしで砂を掘り始めた。
たのし――――い!
あれ?
砂遊びで終わったよ。
次回「23.錬金と米 そしてシャンスの能力」