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191.ダンジョン再び

結局マリーはダンジョンに潜ることにした。

ゆっくりと今を楽しもうと思っても色々ままならないのなら、サッサと義務を終わらせようと決めた。

負の魔素が溢れているのがダメなのなら、一気に無くせばいい。受け持ったダンジョン以外に出来たなら、それはそこの国の責任。聖女と称号を貰っていても、それはマリーの責ではないのだから、関わらないと決めた。関わり合った人が助けを求めるならば、その時考えればいい。

その勢いのまま、シャンスと全属性の精霊を連れ、ダンジョンへ潜った。

精霊村だけで消費するならば、今でも肉だけでいえば、10年は要らないぐらいにある。いや、15年、20年はあるかもしれない。なにせダンジョンの階層が増えれば増える程、手に入る量が増える。

だから戦利品は二の次で、魔素を消費するための攻略を目標にした。


「さあ、皆のモノ、遠慮はいらない。やっちゃって!」

ここには人間と言えばあたし一人。

これでもかという加護と杖のお陰でほぼ死ぬことはない。

強いていうなら、ダンジョンさえ壊さなければ問題ないということ。

となれば、多少のやんちゃはOKなわけだ。

60階層の宝石とお酒が出る階からすすむ。

あのすえた臭いは苛立つし、腹も立つから特に一気にすすむ。


浄火が使えるリュビとお酒と聞いて…とばかりにグンミが浄化で無双。

普通にしたら蒸し焼きになるほどの熱の蒸気の中を、淡々とアイテム拾いをした。

宝石も見慣れるとただの綺麗な石に見えるとか、バチが当たりそう。銀行員が札束がただのモノに見えてくるというのに似ているかも?

お酒だけはグンミが水の精を引き連れてかき集めている。そこにはあたし如きが口にすべき問題ではないので、任せている。

それにしても酷い。

80層までこの最悪な層が続くとか、普通に潜ったら魂抜かれるよ?

こんな場所、誰が耐えれるの!!

結界で今は臭いも完全に遮断して大丈夫でしょとかいう問題じゃない。見た目も最悪。

脳に刻まれた臭いは、完全に断ち切られない。

青空とか、花の甘い匂いで癒されながらとかもなく、ヘドロだよ?

食欲がわかない。


精神的には1日潜っていたような気疲れだけど、時計を見ればまだ半日。うそでしょ、と思いながらも意地で80層を終えた。


ぐったりしているあたしの前では、水の精がハイテンションで跳ねている。

確かに最後の80層のボスを倒した後のお宝は、コレクターにはたまらないものだろうと思う。

前世界であった、宝石であしらった瓶に入った最高級のお酒シリーズが、お宝箱に仰々しく入ってた。1本で何億とか値段が付いてたようなもの。

これ1本で争いが起きるんじゃない?そう言わしめるような瓶。

鑑定してみれば、何の冗談なのかと思う代物。

時価 50億円(50,000大金貨)なんだそれ。最高級のダイヤモンドとサファイアで作られた瓶に神が作りし酒。エリクサー。寿命が100年延びる。

不老不死でない分ましなのか?

そう言う問題じゃないけど、――精霊王がもつならいい気がする。

これは断じて、人間が持つものじゃない。


「グンミ、精霊王にそれ捧げておいて。一番ふさわしいと思うから」

『うん!ありがとう!』

「グンミも他の水の精も頑張ったもんね!」


精神を復活させるために、その日はダンジョンを終えた。

家に戻った時も酒の気配を感じた奴らが寄って来ないように、精霊王に捧げるお酒なのだから悟られるなと精霊達に言い聞かせれば、大きく頷いてくれたので安心して寝た。


次の日もダンジョンに潜った。

81階層からは100層は、がらりと雰囲気が変わって砂漠だった。

当たり一面乾いた砂ばかりで、普通にしているだけですべての粘膜がやられてしまうような砂嵐が時々起きている。そればかりか砂嵐で前が見えないこともあるというのに、容赦なく太陽が煌々と照らし、皮膚が焼けてやけど負うのが決定だね、と言わんばかりだ。

これあたしたち以外では攻略無理だね。普通に歩いたら、砂の中に足が埋もれていくんだよ。蟻地獄かよ!と叫んだけど、自分の背が低いだけだった。

でも、蟻地獄もあったみたい。シャンスに乗って悠々と空を飛んでたから気づかなかったのだ。

ソルが地形探索でお宝探しをしていて気づいたわけだが、地下には巨大なミミズみたいのやら、蟻、地蜘蛛、モグラ、サソリ、蛇とかそんなのがうじゃうじゃいたらしい。ヘドロの次は虫とか?悪意の塊である。

ちなみにドロップ品は麻で出来たマジックバッグ。見た目は30ℓぐらいの大きさのぼろっちい袋だけど、300ℓ(約10倍)収納できる袋だった。

ソルが頑張った分だけ、手に入れた。

下に行く階段だけ見つけて下に潜っていったので、数は余りない。

それでも90層になれば見た目は蛇皮に変わり、約20倍入るものになったし、100層のボスでは虫のオールスターだったから、一切の自重しないで杖で薙ぎ払った。

こてこてに宝石を付けた宝箱に入ったものは、龍の鱗で作られた時間停止のついたマジックバッグだった。


「これは父さんが持ってたらいいかも。どこかに交渉に行くときに、あらゆることに備えれそう」


さてと、時間を確認すれば入って5時間程。

この面子ならば、攻略本をもってきているようなものだから、本気になれば早い。時間も早いし、次の階の様子を見て上がろうかと思った時、異変が起きた。

『ココア!ダンジョンに誰もいないことを確認して‼』



読んで頂きありがとうございました。

ラストに向けて、あと少し頑張ります。

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