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アラフォー女転生 卵ガチャで目指せスローライフ! 【完結】  作者: 桜田 律 
第一章 5歳 スキル『ガチャ卵』の真相
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18.茸の出汁と胡椒

みんなでおしくらまんじゅうのようにキャッキャッとした後は、エイエイオー!と拳を上げてやる気を出した。

お昼を食べた後は、豆をグンミが洗って桶に浄化を掛け、リュビが茹でて、テーレが塩や麹などを入れて混ぜながら調節をする。その後あたしが熟成を掛けたら、味噌が出来ちゃう。

しょうゆも似たようなもので、リュビが小麦を炒るという作業が増え、熟成掛けた後、テーレとあたしが必死になって絞るだけだ。


自分だけ仕事がないと言っていたソルには、予告された通り穴を掘って固めてお風呂づくりをお願いした。ボッチだ・・・と嘆く彼には、排水溝なども作れるのはソルしかいないとよいしょ。

張り切って作ってくれている。

記憶を取り戻してから心のノートに書いたやりたいことリスト、中々の進み具合ではなかろうか。


あ、お味噌が出来たなら出し汁が欲しい。干し茸を作るべし。

早速麹の入った傘以外が残っているので、それを軒に並べた。

後は・・・。


考えている内に眠くなってきた。朝から感情の起伏があったことと、色々頑張ったので疲れたのだ。

リュビの尻尾に包まっている卵の横に、あたしも寝転がることにした。朝夕は肌寒くなってきたけれど、昼間はまだポカポカ陽気なのと、火の精のリュビは温かいもふもふ。すぐに眠った。


起きたら夕飯前で、母があたしを起こしに来るところだった。

「マリー起きたの?」

「うん。いろいろできた」

言葉で説明は難しいので、一緒に夕ご飯を作ることにした。

今までもよくわからない野菜を切ったり千切ったりしたことはあっても、並んで作ることはなかったと思う。これは張り切って美味しいご飯を作らねば!


「かーさん、このみそにさとうとしょうゆ、おさけまぜて。まぜたらおにくにつけて」

「不思議なにおいね」

そう言いながら微妙な顔をしている。あ、発酵食品が苦手な外国人多いって聞いたことがあるけど、それかな?あたしも納豆は苦手だったから、独特の匂いは好き嫌い分かれるよね。駄目だったらみそ汁は諦めてスープにすればいいし、焼けばお味噌の匂いも変わるから多分大丈夫だと思う。


「おにくくさみなくなるのと、やわらかくなるよ。やけばにおいかわる」

「マリーが折角作ったものだし、食べてみましょ。あの不思議なソースも美味しかったし」


母はそう言って混ぜたものをお肉に塗り始めた。

今日はお味噌汁は止め、明日から作るかどうかはもみんなのお肉を食べた反応で決めることにして、鍋にお水を入れ干した茸を入れて戻す。

その他名前も知らない野菜たちを刻んで入れて・・・あ、胡椒らしきものを擦らないと。


ゴリゴリゴリゴリ、ゴリゴリゴリゴリ、当たりだ!

胡椒の風味が匂ってくるとニンマリする。ただ胡椒が大きいと沢山使えるからいいけど、削るのが大変だね。ミルが欲しいな~。


茸を戻した戻し汁の香りにテンション上がりながら、お肉の端切れ、野菜と塩コショウをいれ混ぜるて煮込むだけ。あとは灰汁をとるだけの簡単スープ。

ちょっと掬って飲んだだけでも、ジーンと来る。流石魔改造茸に魔改造胡椒。失敗するわけがないと思っていたけど、高級料理店並みの美味しさ。お酒造りを手伝ってくれている、村のみんなにも食べてもらいたいから、茸をもっと探して秋の間に沢山干しておかないとだよ。もちろん胡椒も増やして収穫するよ。


「スープは凄く美味しそうね」

いい匂いにつられてスープを少し掬って飲んだ母は、美味しかったのか、また掬って飲み始めた。三度目掬いかけたところを止めてみた。

「なくなるよ」

しょんぼりした顔をしてお玉を下げた顔は、お肉がないと知った時のエディとそっくりで、なんだかほっこりする。

いつかもっと余裕が出来たら、鶏がらスープとか豚骨スープとかも出来るといい。


「凄くいい匂いがするな」

「お腹空いた」

帰って来た二人はまだかと言わんばかりにテーブルについて台所を見つめる。母は急いで味噌に漬けていたお肉を焼きスープを装った。

テーブルにお肉とスープとパンが並ぶと、待ちきれないとばかりに手を合わせる。

「精霊に感謝を」

言い終わるや否や、エディが凄い勢いでお肉を口にした。


「これ、メチャうめー」

「匂いは気にならないし、風味が付いていいわね」

「酒にあいそうな肉だな」

それぞれ感想は違うが、口にあったのは間違いないようだ。


あたしも味が気になるからフォークに突き刺し、一口入れる。

うーーーん。いつも食べているお肉とは思えない。これ絶対に味噌汁も美味しいよ。魔改造万歳だ!


テーレたち精霊も自分たちが作った物が気になるようなので、野菜スープと果物を食べている。

「これ、いいね」

「美味しい」

中々好評だ。


精霊達と言えば、美味しいものが好きな食いしん坊のイメージがあるのだけど、テーレがいうには本当は食事はいらないらしい。空気中の魔素や加護のある動物や植物、人間から魔力を吸収するだけでいいのだとか。

ただそれだけで足りない時に魔素を含んだ食べ物を食べることで補う。または食事は嗜好品みたいなもので、娯楽のような楽しみ方らしい。

ここにいる精霊たちはサクレが魔素で満たしているから、あたしから魔力貰わなくても大丈夫で、食事は好奇心だという。

いいね、いいね!好奇心旺盛であれこれ興味を持ってくれたら嬉しい。きっと素敵な魔改造が行われてさらに美味しいものが生まれるに違いない。

ニッシシ。マリーも悪よのー。


食べた後はかーさんをお風呂に誘い、干していたマンダリンの皮を入れてお肌つるつるになってみた。

かみの毛には最後にリーアの実を絞ったオイルをつけて、完成!

どうだと踏ん反り返ってみたら、ニッコリと毎日欲しいわね。と凄まれた。

知っていたはずなのに美容に関する情熱を見誤ったらしい。


なんでも程々から始めなければ自分の首を絞めるのだと、昔を思い出し遠い目になった。

ああ、やっちゃった。調子乗ってやっていると全部自分の仕事になるんだよね。

もう遅いけど。

明日はリーアの実を収穫して絞るのが仕事に加わった。


村の人にお風呂を勧めるのは、もうちょっとだけ待つことにしよう。




※リーア・・・花はジャスミンのような芳香を放ち乾燥させると香りのいいお茶になる。

       花が終わった後生った実を絞ると、香りのいい美容オイルが出来る。

誤字報告ありがとうございました。


また良かったら二日後に是非、遊びに来てください。


次回『ジャムパンと新しいもふもふ』予定

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