表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
181/193

180.ダンジョンと生活の変化

ダンジョンに潜ったことで村の生活にも多少の変化が生じた。

基礎知識を卒業し15歳を超え希望した者は、新しく出来たダンジョンに1~5階のみ5人一組で潜ることが出来るようになった。その後冒険者希望者は、狩人の弟子ということで、森の奥への狩りが許されるようになる。一人前とされた後に、村を出ることが許される。

冒険者希望ではなく商人希望のものは、5階までのダンジョン突破後、基本的なお金の使い方~簡単な簿記を覚え、利益を生むことの大切さを習う。そのことを理解したうえで、ボルテモンテの町に行くことが許さる。

それ以外では村での生活をメインとする者も多い。農業や新しく出来た肉や魚の加工業、織物や小物づくりなど製造を生業にする者、パン屋や金物など家が元々作っていたものを引き継ぐ者など様々だ。


それらを目指して頑張っているのが15歳以下の子供たち。

基礎知識…算数(足し算、引き算に加えて割り算、掛け算(九九))

    …国語(基礎文字を覚え読み書き・文章力をつけること)

    …生活(お金の単位や精霊村の決まり事・他の村と精霊村との違い・道徳等)

    …精霊について

    …社会(精霊村にある職業の見学や体験など仮弟子制度)

    …魔法(魔力の使い方・禁忌事項)


で、これらが確立されてくると当然教本が必要になる。

紙、作ったよ。

鉛筆も消しゴムも。

記録に残すということがどれだけ大事が、それがわかるのはきっと先の事になると思うけど、自分が勉強した証は大事だと思うのだ。

で、教本だけでなく本も作った。

はあぁぁぁ。

簡単な物語は覚えてるよ?この世界に合うように書くのも、まあ…出来るよ。冒険ものはいいんだよ、冒険ものは。お姫様とかこの村の子供たちにはイメージ沸かないし、そこに憧れる要素が何処にもない。王子様が幸せにしてくれるなんて話、今のこの村にはない方がいい。自分が自分の世界を切り開く、そう思って欲しいし、そうであってほしい。

これは村の大人たちの総意だ。まだまだ完成された村ではない。この村を出た時、自分たちに何かあった時に、何も自分から出来ない子にはなって欲しくない。親としての望みだ。

だから…冒険ものが多くなるのは、仕方ないと思って欲しい。ここには聖女はいるけど、悪役令嬢なんて人はいないし、王様もいない。

商人が成功する話や、薬屋が困った人を助ける話、テイマーが活躍する話が精一杯だ。

勿論長文なんて書かないよ。小学生が読める程度のものにしている。

―――なんで?って。

書く時間なんて、どこにあると思う?

後はこっそり街へ行って、買ってくるだけだ。

ああ、あたし専用の秘書が欲しい。車をこっそりだけど作ってるのだから、ワープロぐらいなら作ってもいいかな?

でも…印刷か。

文明を知っているって、善し悪しだよね。何処までも出来るからこそ、欲が出てきてしまう。

でもあたししか出来ないことを広めるのは、正直気が進まない。

考えすぎてもダメだから、まずは手書きで頑張ろう。



スライムの『テツ』が元の大きさ、2mのアイアンスライムになったところで、ダンジョンに35階まで潜ってみようという話になった。

――だが、その前に片づける案件が出来た。

第二弾のボルテモンテへの商談に行ったものが無事に帰ってきたのだ。

グランとグレイトから大体の話は聞いてたから、何の話か予想出来るけど。


今回持って行ったものは、干し肉、魚各種干物、最近作り始めた缶詰(魚・肉ともに色々)野菜・精霊島セカンドの果物、各種薬草で作った薬と果実酒。今回の料金はそこそこ高額設定で、かなりの量を持って行ったのに、瞬間的に売れ1日で完売している。だから戻りが早かったのだ。


「今回持って行った量の3倍は欲しいって?」

父さんのところに報告に来た人が、町長代理からの手紙をもらってきていた。

手紙には嘆願書と書かれている。

今回日持ちがする食料が多くあったため、凄く有難かったというお礼から始まり、国内の混乱が収まりきれず、国内、領内に食料がとにかく足りてないとのこと。出来れば3倍の量が欲しいこと。その半分は町長買い上げで、ブレイロットの街まで届けたいことが書かれてあった。

国王暗殺事件があったのだ。そりゃ――――混乱は続くでしょ。


3倍。まあ…それぐらいの量ならば、出来ないことはない。

だけど、その後が怖いのだ。

ボルテモンテの町とブレイロットの街だけに精霊村が関わっている、という事実だけを言われだすと面倒だ。別に国王を助けることになったのだってついでだし、食料を融通するようになったのも、マーティンさんが頑張ったからであって、贔屓をしているわけでない。

精霊村に辿り着いた者とだけ交渉するとか言ったら、行商に言った子達が誘拐されても困る。

(絶対に出来ないし、返り討ちになると思うけど)

一番馬鹿な見本は、精霊村を侵略してやろうとするやつが出てきそうだよね。アシルさんやマーティンさんが危なくなるようなことは避けたい。

さて、どうするのか。

父さんたちの話し合いが始まった。



え?

あたし?

不本意なことに…。

―――ダンジョンだよ。

長に拉致されて35階のボス『暴れ牛』をやっつけて、40階を目指しているところ。

当然ダンジョンで出てくる物は、肉と魔石で。

50階層にいるという『狂牛』目指しているのだそうな。

自分たちだけで行ってくれてもいいのに。



読んで頂きありがとうございました。

ブックマーク&評価ありがとうございます。

細々と更新!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ